コントラバスにまつわる話

コントラバスを弾く仕事をしていると、様々なことが起こります。
ここで起こったことは
すべて実話です。


しまった、見られた!

 演奏の仕事というのは、本番を演奏してギャラをいただくというのがお仕事なのだが、時としてギャラ以外に粋な取り計らいがある時がある。

 その日は暑い夏の日、縁あってお寺の本堂にてコンサートのお仕事。大きなお寺で、境内では多くの出店が並んでお祭り状態、大層賑わいを見せていた。
 本堂の中は冷房がなく、そんな中衣装を着たオーケストラの演奏者は皆汗だくで演奏をしていた。(真夏なのにタキシード!)

演奏会は滞りなく終了し、ふとギャラの袋の中を見ると、見慣れない紙片が入っている。
どうやら境内で行われている出店の金券らしい。


とはいうものの、夜本番の終演後にはそろそろ祭りも終わりに近づき、売り切れや片付けをしているところもある。
そして夕食はつい先ほど本番前に出たばっかりなので腹も減っていない。
さて何に使おうか?

 ちょうど目に留まったのは冷たく冷えたジュース。これはちょうどいい、本番で大汗をかいた直後だったのでありがたい、しかも余ったらすべて持って帰ることが出来る。
 もらったチケットはすべてペットボトルの飲み物になり、演奏者はその多量のボトルを両手に抱えて帰っていった。


そんな所を見られていたらしい。

後日、お中元としてジュースの詰め合わせが届いた。


チェロ・バスの人にしか判らない?

ザーイテン、シュルンゲン、ミーリーオーネン・・・

ミーの伸ばしの音は偶然にもである。


(ベートーベンの第九の一節より)


どこが鯨?

秋になると「芸術の秋」ということで学校での演奏会が多い。

 移動音楽教室、通称音教(おんきょう)というのだが、生まれて初めてオーケストラを生で見たのはこの音教だったという人も多いのではないでしょうか?
 プログラムはどこかで聴いたことのある有名な曲がメイン、楽器紹介や指揮者コーナーなどイベント的な内容あり、生徒達が歌う合唱の伴奏をすることもある。


 そんな中で楽器紹介のコーナー、「弦楽器の弓の毛が何から出来ているか?」という質問に対して、結構な確立で鯨のひげと答える子供達が多かった。

どうやら国民的なマンガで紹介されていることが原因らしい。

 原典は見ていないので詳しくは知らないが、誰もが知る有名なマンガ(未来から来たタヌキ型機械獣と少年達が巻き起こす様々なエピソード)の中に、バイオリンを弾く少女に怪しげな光線を当てたところ、原材料である鯨が出現してしまうといった内容らしい。

 恐らく現在の出版本では修正されているとは思うので、その内容を知る世代は限られているのかもしれない。その証拠に鯨のひげとの答えは徐々に減ってきて、今ではほとんど正解を答える子供達が多い。

 弦楽器の弓の毛は昔から馬の尻尾の毛が使われていた。元々狩猟用の弓矢に滑り止めとして松脂を塗っていたというのだから、すでに楽器としての機能を備えている。

では作者が勘違いしたのか?

じつは鯨が使われることがある。

 
銀線巻きと鯨(イミテーション)巻き

 弓の毛ではなくラッピングという部分、銀線や革を巻いて重さの調節や指の当たる場所の保護がしてあるが、装飾的な意味で鯨のひげを巻いていたこともある。現在の弓はイミテーションなので鯨は出てこない。
 実際に鯨のひげが巻かれているのは、昔からあるオールドの高級弓ということになる。


ああ、またですかい。

 合奏においてのコントラバスの役割は、和音に厚みを作り響きを重厚にすること。チェロのちょうど1オクターブ下をなぞるように演奏することが多く、それが「コントラ」バスたる名前のゆえんでもある。(コントラとは英語でダブルの意味。チェロのさらに下という意味。)

 めまぐるしく音楽が変化するオーケストラの中で、コントラバスが加わる場所というのは、明らかにそれまでと違った厚みのある響きへと変化する音楽の小さな節目にも当たる。

これは何を意味するか?

音楽の節目ということは、合奏練習において指揮者がちょうど止めるのに都合のいい場所

練習中、長い休み(休止)があって指折り小節を数えいよいよコントラバスの出番、いざ弾かんと構えた途端・・・


弾こうと思って構えたら止められる、もしくは一音弾いたら止められる。

こんなことはもう慣れっこ。


どんなゴルフだ?

もはや馴れてしまったので、自分でも特に珍しい光景とも思わなくなったが、この巨大なコントラバスという楽器は日常あまり抱えて歩く姿をお目にかかることが少ない。
もし見かけたら、大抵の人はその大きさに圧倒されると同時に、重そうな物を運ぶ姿に感心される(そんなに重くはないんですけどね)。

知っている人ならば「ああ、あれはバイオリンのおばけでボンボンとやるやつだ」とすぐに判るが、その知識のない人から見たらどんな風に写るのだろうか?

ある日楽器を抱えて住宅街を歩いていると、何やら後ろの方ですれ違った小学生数人がヒソヒソと話している。


「絶対ゴルフだよ」


(違う!)

(違う!)


結構怖いのですよ

アマチュアのオーケストラや合唱団の伴奏の仕事に行く時に気をつけなければならないのは事故
楽器を蹴られた、倒された、ぶつけられた、など悲惨な話はよく聞く。

通常、音楽家仲間しかいないステージ上では、お互いに楽器の存在を意識して気をつけているのであまり事故はおきないが、一般の人々と交錯する仕事ではなかなか注意が要る。
楽器の横を平気で走り抜けたり、椅子や譜面台を運ぶのにぶつかりそうなほど近くを通ってヒヤヒヤすることも多く、休憩時間の楽器の置き場所にも気を使う。

音楽の仕事をしない人でも、バイオリンは何億という名器が世の中に存在して、楽器が高価なのは知られている。
しかし金額の問題ではなく、音楽家にとってどれくらい楽器が大事なのかあまり理解されていない。

さらに小さな楽器は高価なもの壊れやすいものという認識だが、巨大なコントラバスに関しては傷だらけのボロい楽器なので、少々傷つこうが気にしないと思われているふしがある。
演奏中に隣の人の楽器に弓先が当たることもたいした問題ではないのかもしれない。

以前アマチュアの人に
「ちょっと楽器にぶつかっただけなのにどうして目くじら立てるのだ?」
真顔で聞かれたことがある。

「車と同じですよ」
と説明する。

せめてそれが最も判りやすく伝わる説明。

車なら修理が効くし、替わりはいくらでもある。
楽器はない。


脇役なのだけども

コンチェルト(ピアノ協奏曲やバイオリン協奏曲など、ソロ楽器とオーケストラの競演)のようなステージの場合、主役は当然ソリストである。
それは指揮者よりも格が上であり、実際の音楽的重要度はともかくとして、最も注目を浴びるように入退場の順番も優先されている。


演奏が終わるとソリストが客席に向かって頭を下げる。
客席は精一杯ソリストの演奏を讃え拍手をする。
オーケストラのメンバーも楽器の一部を叩いたり足を踏み鳴らしたりと、讃える意思を表明する。

続いて指揮者も頭を下げる。

ソリストは何度も舞台袖から出入りして拍手を浴びる。
いわゆるカーテンコールというやつだ。

その間にオーケストラのメンバーは、ずっとステージ上で座っている。


そしてようやく最後にオーケストラが立ち上がる。

会場は今までよりも一際大きな拍手になる。


ちょっとうれしい。


新鮮な響き

 オーケストラ内において、コントラバスの位置は客席から見てステージ右側の端、すなわち舞台上手(かみて)側に位置することが多い。
 ステージの端にいるうえ、ほぼ立った姿勢で演奏するので目線が高い位置にあり、指揮者と同じ様に他のパートをすべて一望できる。
 コントラバスは小節頭拍の重要な音をつかさどる事が多いので、合奏全体を見渡してオーケストラ全体をまとめる役割も担っている。そのために同じくステージの左端(下手側)の遠く離れたティンパニ奏者とコンタクトをとることもしばしば。


だいたいこんな光景


しかし中には変則的なセッティングもあり、以前お手伝いさせていただいたオーケストラではコントラバスが舞台下手側のファーストバイオリンの横ということもあった。

いつもと正反対の位置になると、プルトの表裏が逆なのも違和感が大きいが、いつもは対岸から聞こえてくるファーストバイオリンの音が目の前で聞こえる。

すげー、この人たちこんな高い音弾いてるよ。
指揮者の顔の左半分はこうなっていたのか。

いや、もちろん判っていたことなのだが・・・

弦楽器奏者は二人一組で1プルトと数える。二人は表と裏というように別れ、譜めくりなどの役割を分担している。観客に近い方が表。


床がすべる!

 チェロとコントラバスには楽器の下部に付いているエンドピンという金属性の棒。この先端が磨耗して丸くなっていたり、床が非常に固い素材だったりすると、しっかりと刺さらずに楽器が固定されすに苦労することもある。

 自分の楽器ならばいつもの状態なので問題ないが、借りた楽器がそうだと慣れずに困ることもある。特に大きな音で一発ブンと鳴らした後に、一瞬遅れたテンポでエンドピンが滑りガクッと楽器が傾く。周りのメンバーは必死で笑いをこらえる



 あるオーケストラ(誰もが知るプロオケでしたが)でお借りした楽器は見事にエンドピンの先が丸くなっていた。この丸さなら、下手をすると床に刺さずに保護のためのゴムキャップをつけたままのほうが滑らないかもしれない、そう思って楽器ケースのポケットをまさぐってみると・・・。

そこから出てきたのはエンドピンゴムではなく一本のヤスリ
どうもその楽器を借りる人は歴代、自分で削って鋭くするのが風習らしい。

もちろん削りましたとも!


学校にレッスンに行くとよくある状態のコントラバス

学校の吹奏楽部の生徒をレッスンしに出向くことがあるが、大抵はかなりひどい状態の楽器が出てくる。
壊れていない楽器はないと断言できるほどの確立で、必ずどこかがやられている。

顧問の先生も、コントラバスのことをよくわかっていない場合も多く、修理の予算も下りずに放置されている楽器も多い。


そんな状態で、非常によくあるトラブル集、ベスト5(当社比)の発表!
(順位は完全に独断です)

第5位・・・割れている、剥がれている。

 縁が欠けている程度ならばまだいいほうで、横板に穴が開いていたり、剥がれた所から中が見えたりする楽器もある。剥がれた所の隙間が開いておらず、ノックしなければ見つからないような場所はビリビリと雑音が出るまで見つからないことが多い。f孔に弓を突っ込んで運ぶ習慣がある学校で、どこかに引っ掛けてf孔の縁を欠いてしまった楽器も見たことがある。

第4位・・・・・・エンドピンのゴムがない

 通常エンドピンは先端が針になっていてステージの木の床に刺して使うが、学校でよく使われている楽器では先が丸まっていることも多い。そこにゴムがかぶせてあるのだが、そのゴムは当然消耗品、中にはすっかり磨り減って金属のエンドピンがむき出しているものもある。こうなると床が滑って楽器を傾けて弾くことができなくなる。

第3位・・・・・・・・・・・・・・弦が古すぎる

 話を聞くと歴代先輩方の間でも弦交換をしたという伝説は残っておらず、買った時の弦が10年間そのままということもあった。弦が傷んでいる場合も多い。駒の上の部分がぶつけて弦がひしゃげていたり、巻きがほつれていると楽器に与える損傷も大きい。錆びが浮いてザラザラの弦はシフトチェンジすら厳しく弓で弾いてもまともな演奏は不可能。弦交換だけでも20分くらいはかかってしまう。ましてや糸巻きの状態も大抵悪いのでなおさら時間がかかる。

第2位・・・糸巻きが緩んで雑音がする

 国産の有名なメーカーの入門用の楽器に多く、糸巻きのツマミが削り出しや溶接ではないために長年の使用で緩んで雑音が出るようになってしまっている。ボンドで止めたりテープを巻いたりと苦労している学校は多いが、残念ながらほとんど解決していない。楽器をしっかり鳴らせば鳴らすほど緩んだところがビリビリと雑音をたてるので、レッスンがはかどらないことこの上ない。

第1位・・・・・・駒が上に曲がっている

 駒周りのトラブルが最も多い。大抵は弦に引っ張られて上方向に傾いてくる。この傾きを時々修正してやることは弦楽器には不可欠なことなのだが、残念ながら実践しているところはほとんどなく、大抵は駒自体が曲がってしまっている。ひどい場合には折れてしまい、ボンドやガムテープで止めてあることも。また、左手の押さえにくさから駒を削って弦高を下げてしまい、大抵は下げすぎて弾きにくい状態になってしまっている。いずれにせよ駒は位置を直すだけでは足りず、大修理が必要な場合もある。


かわいそうなことに、楽器の状態があまりにも悪く、満足な練習も出来ずに上手い下手以前の問題のことがほとんど。
レッスンに行ったはいいが、肝心の楽器が演奏不能でレッスンよりも楽器の修理調整に時間をほとんどとられてしまうこともある。


コントラバスは弦や弓の毛といった消耗品の他は、しっかりとメンテナンスしていればそんなに維持費はかからない。
しかし無知なゆえにメンテナンスを怠るとひどいことになってしまい、大変な出費を強いられる。
出来るだけ短期間で定期的なメンテナンスを、学校もなんとか予算をとりつけて欲しいものだ。



番外・・・・・・指板に印が書いてある

書いてあるのはよくあることなのだが、残念ながらその位置が間違っていることが多い。



エンドピンが曲がった!


これがエンドピン。
楽器の下部にあり、床に刺して使います。


 その日、本番のため電車で会場に向かっていたところ、先に会場に着いた同僚から不吉な知らせがあった。
 楽器は前日の練習会場から専用のトラックで運搬を任せていたので、その日は弓だけ持って本番衣装のまま会場ヘ向かったのだが、電話の内容によるとエンドピンが曲がってしまったらしい。

エンドピンが曲がった?

 エンドピンが曲がったと聞いて、真っ先に思ったのが運搬中にエンドピンが抜け出てしまい、それがどこかに引っかかって曲がってしまったのではないか。だとするとエンドピンを固定している楽器本体の損傷も心配だ。

電話だけでは状況がわからないので早速会場について見てみると・・・。

本当に曲がっているーーーーー!


再現映像。
このくらい曲がっていた。


しかし、奇跡的にというかどういうわけだが、楽器本体のほうには損傷はなかった。
おそらくエンドピンが完全に抜け落ちてしまってから曲がったと思われる。

損害がエンドピンのみと判ってほっとしたのも束の間、このままでは演奏不能
曲がった部分まで本体に挿せなくもないが、これではまるでトルトリエピック。
本番前のゲネプロの時間は迫る。
幸い最初の数曲は降り番なので出番はないが、本番までにこの曲がったエンドピンを何とかしなければならない。


とりあえず近所の楽器店まで走り、リペア室の巨大な万力で挟み曲がりを直す。
しかし渾身の力で体重を掛けても、なかなか真っ直ぐにはならない。
(エンドピンは少しでも曲がっていると楽器に入らない。)

とても人の力では曲がらない。

真っ直ぐにならないのならば仕方がない、曲がった部分を切る!

迫る時間に焦りながら、汗だくになってヤスリと鉄ノコを駆使し、ステージ衣装のまま一心不乱に鉄ノコを動かす。
これから本番のチャイコの6番1楽章のトレモロよりも早く動かし、何とかぶった切ることに成功。

そして再び会場まで走る走る
何とかゲネプロ開始までに間に合った。

ぶった切ったエンドピンはそのまま楽器に無事装着、何事もなかったかのごとく本番を終えた。



しかし、一体どういう事故が起こってこの太い鉄の棒が曲がったというのか?

恐らく、抜け落ちたエンドピンは地面に転がり、トラックに踏まれたのではないだろうか?

 エンドピンの緩み、楽器の固定は前日に演奏者自ら行ったので、パラシュートと同じですべて自己責任、運搬した人や業者を責めるわけにはいかない(パラシュートは使う本人がたたむのが原則、万一開かなかった場合は本人の責任)。

ぶった切ったエンドピンはその分短くはなったが、演奏には全く支障のない長さは残っており、重量が軽くなった分若干楽器の音が明るくなったような気がする。
まさしくケガの功名。

そう思って納得するしかない。


こうして運ばれてくる

 あの巨大なコントラバスは、何かと運搬という問題がついて回る。

 個人持ちの楽器が修理などで店や工房に持ち込まなければならない場合、遠方だったりすると運送便のお世話になる。

 こんな場合、
1・・・貸し出し用の空のハードケースを送ってもらい、
2・・・・・・・・・・・・・・そのケースに楽器を入れて送り、
3・・・・・・・修理が終わるとハードケースと共に届き、
4・・・・・・・・・・・・・・・・・空のハードケースを返送する。
つまりケースを含め2往復分の料金がかかってしまう。

コントラバスのハードケースは、下手をすると一人では持ち上がらないほど大きくて重く、個人の保管や運搬用とはとても考えられないような代物。
あの大きな楽器がすっぽり入るということは当然高さは2mを超え、人間すら余裕で入る大きさ。



 修理用のハードケースは顧客と店の往復を想定しているが、新作楽器がメーカーから送られてくるような一方通行の場合、(メーカーにもよるが)巨大なダンボールや頑丈な木枠に入ってくることが多い。

 
某国産のメーカから届いた状態。

天井に届きそうな高さ、中も外も木なので重さは大して重くはないが、ささくれだらけの木材で作られた木枠はとっても持ちにくい。
この木枠ごと横に寝かし、楽器を固定してある帯をすべて切り、底板をはずし楽器を引きずり出す。

無事に中の楽器を受け取った後は、ひたすらバールのようなものを使って解体作業が待っている。


演奏中の招かざる客


芸術の季節になると学校での演奏という仕事も多い。
オーケストラが学校へ出向き、体育館で演奏して鑑賞する「移動音楽教室」、通称音教(おんきょう)というイベント。
プログラムは親しみやすい曲目で、楽器紹介や生徒達の合唱の伴奏をすることもある。

学校の体育館に全校生徒とオーケストラと教員と保護者が詰め込まれるわけなので当然暑い
そして当然ながら学校の体育館には冷房はなく、窓は全開の状態、いろいろなものが舞い込んでくる。

迷い込んで出られなくなったスズメが上空を飛びまわる中で演奏したこともある。


ある本番で、調弦をしようと楽器の糸巻きを見上げたら、何と楽器のヘッドの部分に一匹の蜂がとまっていた。

 コントラバスのヘッドは頭よりも遥か上空にあるので演奏中いつとまったのかは不明だが、これから演奏という時、下手に追い払って会場中がパニックになってもいけない。
 どうせしばらくしたらそのままどこかへ飛んでいってしまうだろうと思い、しょうがないのでそのまま演奏を続けた


数曲弾き終えて、見上げるとまだいる。
息を吹きかけても飛んでゆく気配すらない。


結局その蜂は本番が終わるまでずっと楽器にくっついたままで、蜂をつけたままの楽器を持って退場、会場の外の渡り廊下で弾き飛ばした。


弓を忘れた!


オーケストラのコントラバス奏者は、楽器は楽団のものを借りて弾くことも多い。
運搬は専用のトラックで運搬係がいる場合でも、弓は自前というのが基本。


ある練習日、プルトの裏の相方が持って来た弓ケースを開けて青くなった。

「弓を忘れた!」

連日の仕事だったが、前夜は弓を持ち帰り、自宅で予備の楽器を使って練習してそのままケースに入れ忘れたらしい。
こんな時、2本入りの弓ケースを持っている人が予備の弓を持っていれば、何とかお願いして貸していたくことも可能だが・・・

その日は偶然にも他のメンバーが弓の見せ合いのため何本も持ってきていたのでその人に借りて事なきを得た。


しかし、演奏するのに最も大事な弓を忘れるとは・・・
実はよくある話。

しかも楽器を忘れたという前代未聞の失態をしでかしたことがある。


楽器を忘れた!


楽器を弾きに来たのに、楽器を忘れるとは何事か?

例えばハードケースにでも入っていて、見た目は入っているか判らないような状態だと、空のケースだけ持ってきてしまったという事もある。
超軽量のチェロケースだと楽器が中に入っていても軽いので、気付かずに空のケースを持ってきてしまうこともありうる。
しかし、ひと抱えもある巨大なコントラバスをいったいどのようにしたら忘れてくるというのか?

実はその楽団の所有する楽器に限りがあり、足りない分は演奏者が自前の楽器を持って行くことになっていた。
たまたまその日は自前の楽器を持ってゆくはずだったが、ついうっかり借りれるものとばっかり思い込んでいた。


幸いその日は本番ではなく合わせ練習の日、結局会場に一番近い人が車を走らせ、家から自前の楽器を持ってきてくれた。

猛烈に感謝である。


コントラバスの部屋に戻る

TOP

inserted by FC2 system