コントラバスを始めたきっかけ


 私がコントラバスを始めたのは高校に入ってから。吹奏楽部に入部してこの楽器を自ら志願した。全国にある吹奏楽部の影響で実はコントラバス人口は意外に多いが、色々な人に始めたきっかけを聞いてみると、涙なしには語れないものがある。

 吹奏楽部での花形といえばフルート、サキソフォン、トランペット、クラリネットなど、希望者を募れば人気が殺到するパートである。当然壮絶な争いが始まるわけだが、この争いの最中、他のパートも着々と決まり、気が付くと第2希望も第3希望もすでに決まってしまっていて、残されたパートはコントラバスだけに、いや、弦バスだけになっていた…なんて話もよく聞きます。さらによくあるのが「背が高いから」「体が大きいから」「手が大きいから」という理由で顧問から有無を言わさず指名されて始める人も多い。

・・・・・・・・・・コントラバス(正確には弦バス)を始めた3大理由(当社調べ)・・・・・・・・・・

ジャンケンで負けた・くじ引きではずれた

顧問から有無を言わさず指名された

他の楽器から「コントラバスなら音大へ入れる」と転向を勧められた

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・悲しすぎる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 私はなんと自ら志願しました。おかげで他のパートの熾烈な戦いが繰り広げられる中、共に希望者1名(募集2名なので定員割れ)のコントラバスとチューバは自動的に確定した。

 しかし理由はいかんせよ、ひとたびこの楽器を始めて、化け物のような太い弦を指で押さえるための苦行のような練習に打ち勝って、ある程度音が出せるようになると様相が一変する。ひとたび合奏に混じって和音の土台を支える響きを体感すると、「もう病み付きになる!」・・・その後すっかりこの楽器にハマってしまった人たちは口を揃えてこう言う。


 幼少のころから音楽が大好きだった私は、お気に入りのレコードを母親にせがんではよくかけてもらっていた(当時のレコードプレイヤーは全手動でアームを置くのにも技術を要した)。特によく聞いたのがウインナワルツの曲集だった。
 今思えば、当時テレビで放映されていたアニメ「トムとジェリー」の中に、数多くのクラシックの名曲が使われていて幼少の私は非常に興味をそそられたのだと思う。

 残念ながら当時家にはピアノがなく、親戚から貰った電気式のリードオルガンが唯一の鍵盤楽器、それを弾いていた。というより耳で聞いた音楽を同じように再現しようと探り弾きをして遊んでいた。楽譜はまったく読めなかった。
 オルガンでは鍵盤数も少なくペダルもなく、やはりピアノが欲しかった。「きちんと習いに行くのなら」という条件でピアノを買ってもらえることにはなっていたものの、当時小学生高学年、まだ野山を駆け回っていた破天荒な野生児には窮屈な習い事が苦痛に感じられた(これは自分でそう思って敬遠していました。実際習いに行っていたら苦痛でなく楽しかったと思われる)。

こんな風景が懐かしい・・・(イメージ画像)


 やがて中学生になり、周りも流行歌などに興味を持ち出す年頃、ますます音楽欲が高まり、とうとう習いに行くことを条件にピアノを買ってもらった。普通は中学生になったら「勉強と部活の両立ができるか心配」などと言われ、多くの子供が中学入学と同時にピアノを習うのをやめていた中、まったく逆行していた。まるで若者がギター(アコギってやつ)を始めるような感覚でピアノに飛び込んだのであった。

 ひとたびピアノを入手してしまえばこっちのもんだった。なんのかんの習いに行く約束を引き伸ばして(おかんごめんよ)弾きたい曲ばっかりそれはそれは連日弾きまくった。好きなピアノ曲はレコードを聴きまくり(プレイヤーの使い方覚えた)、聴きよう聴きまねで弾いた。楽譜は何とか指でたどって読める程度、基礎は当然めちゃくちゃ。レコードを繰り返し聴いてここはどうやって弾いているのだろう?と楽譜をチェックした。まるでパズルのような楽しさがあった。
 習いに行ってからも練習曲はそっちのけで(先生ごめんよ)弾きたい曲ばかり練習していた。基礎ができていないのでなかなか上手くは弾けなかったが、弾きたいフレーズは何百回も繰り返し弾いた。

 コンサートもよく聞きに行った。その当時ショパンコンクールで優勝して世間でも大騒ぎになったスタニスラフ・ブーニンの来日もあり、わざわざ遠くの都市まで聞きに行ったりもした。巨匠と呼ばれる演奏家のリサイタルに足を運んだり、そのレコードを聴き比べるのも楽しかった。

 興味の的はピアノにとどまらなかった。家に転がっていたギターを使い、友人と当時の流行歌をジャカジャカやって歌ったりもした(今思えばあれはクラシックギターだった。本当はフォークギターやエレキギターだろうけどそんなことはお構いなしだった)。


 高校に入ったら何か音楽(特に合奏)がやりたい!(管楽器もやってみたかった。部活とは関係なく小遣いを貯めて安いフルートなんぞ買ってスカースカーと吹いて遊んでいたりもしました。)

そんな時にふと弦楽器に興味が沸いてしまったのである!

家のレコードの中からバイオリン曲集を発掘、ピアノとも違い持続音、ビブラート、音をのばしながらのクレッシェンド、多彩な音色、そして何より弓で擦っただけで何故音が出るのだろう?そんな素朴な疑問があった。

というわけで、合奏ができる吹奏楽部の中で唯一の弦楽器、これしかないと思った。これがコントラバス(弦バス)奏者としての第一歩、
この時生まれて初めて弦楽器に触りました・・・。


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