奥三河がアツイ!
天竜奥三河国定公園。
愛知高原国定公園とならんで、愛知県の山間部は中々ワンダーな場所だ。
しかし範囲が非常に広く、これといって全国的に有名な名所が目白押しというわけでもなく、観光コースとしては今ひとつ弱いものがある。
その反面どんな時期でも混むことがなく(香嵐渓は除く)、温泉も有り地元民がのんびりと自然を堪能するには絶好の場所ともいえる。
快調に飛ばす奥三河ロード!ただし制限速度内で。
まず向かうのは三河田口駅跡。
画像はwikipedia「三河田口駅」より引用
かつてここに豊橋鉄道田口線の終着駅、三河田口駅があったが昭和40年に営業休止したのち廃線となった。
廃線後はそのまま放置され、徐々に朽ちてゆく様子がマニアの間で話題になっていた。
しかしとうとう2011年に倒壊し、その残骸だけが残る無残な姿になってしまったという。
出来ることなら立っている状態が拝みたかったがせめてもの、その残骸だけでも見届けることにしよう。
設楽町の役場付近から足助街道33号線を下ってゆく。
かつてあった駅は市街地からはかなり離れているといわざるを得ない。
距離にして2.1km、高低差150mあるらしい。
坂を下ると分岐が見えてきた。
駅舎は曲がってすぐの所にあり、廃駅跡は広場になっているとのことらしいのだが・・・。
広場になってしまった。
この広場の右には川があり、真夏のこの日釣りか川遊びの車が数台止まっていた。
ん?もしかして今さっき通り過ぎた道路右側のもさもさ・・・。
「駅裏」!
ここに駅舎があった間違いない証拠。
三河田口駅は現在は倒壊した残骸も片付けられてすっかり跡だけとなっておりました。
多くのマニアが訪れるらしく、Googleにて「三河田口駅」を画像検索すると在りし日の姿や徐々に倒壊してゆく衝撃的な姿を見ることが出来る。
傾いた駅舎の写真から、傾斜のある土地と思っていたが現地は平坦だった。
鉄道の駅なので当たり前か。
次に向かうのは蔦の淵。
東栄町にある滝なのだが、案内も少ないので判りにくい。
このとんでもなく暑苦しい格好は日焼け防止(兼蚊避け)のため。
嫁に借りた帽子は似合う似合わんは別として、ないと命にかかわる。
それほどこの日は暑かった、2013年猛暑の夏!
さてこの蔦の淵というこの滝、何と「奥三河のナイアガラ」との異名を持つ滝。
何だと?
どんなにすごい滝か知らんが、それはいくらなんでも言い過ぎではないか?
どうも愛知県は「瀬戸大正池」や「東海のミニ尾瀬」だの言わしておけば好き放題。
せめて大分の原尻の滝くらい似ていれば名乗ることも出来よう。
ザーーーーー。
ううむむむ・・・。
意外と大きいか。
もっと近くに行って見よう。
階段を下ってゆく。
あららら?水辺に来てしまった。
周りは草生えまくり、どうも夏場のこの季節はどうにも進めないようだ。
再び高台から見下ろす。
観瀑台や釣り人の大きさからするとそこそこの落差はあるようだ。
100歩譲って増水時にはナイアガラのようになるのかもしれない。
さて、この日最もメインの場所も意外と知られていない。
国道151号線を東栄町側から走っていたら案内板がなかったので通り過ぎてしまったほどだ。(単に見落としただけだと思うが)
山間で日もすっかり傾いたので暑苦しい長袖を脱ぎ捨てスタンバイ。
でも暑い。
乳岩峡とかいてちいわきょうと読む。
売店(到着した時には閉まっていた)のそばに車を止め、乳岩川をさかのぼること15分、そしてさらに徒歩10分、そして一周30分で乳岩と通天洞めぐりのコース。
山の看板にあるこの時間表示がまた当てにならんのよね。
最初はここも川原なのか、岩盤の上を歩く。
やがて山道になり、川の横を登ってゆく。
のぼりは霊山として祭られているためか。
それにしても今日は暑い。
川の水はひたひた、とても澄んでいて、水遊びに興ずる子供たちもいる。
さらに上流へ、やがて川の水はほとんどなくなり、いよいよ乳岩一周コース入り口に着いた。
ん?一周20分?
下界の看板よりも減ってないか?
ふむふむ、昇り口は左周り、ここに戻ってくるというのか。
んじゃちょっくらぐるっと行って参りますか。
岩の間にへばりつくように設置された梯子の数々。
見上げれば首が痛くなるような遥か上空へ伸びる伸びる。
これが通天洞というやつか。
しかしどこのどなたか存じませんが、このような登山道に設置されている梯子や柵など、最初にここに設置したした人には頭が下がる思いである。
うえええ、これを登るのでっか?
しかししぶーのさんよ、いくら高所恐怖症とは言ってもこれしきの梯子ごときで怖がっているようじゃあまりにも肝がこますぎやしませんか?
ああそうよ、これしきの梯子でもちびるほどこえーよ!
それは高さゆえの恐怖もあるが・・・。
この梯子、ボロボロですがな。
形あるものはいつか壊れる。
頑丈な鉄製の梯子もいつか誰かが踏み抜くわけでして、それがいつ来るのか判らない。
当然その役割が自分である可能性も、特に体重の重い人ほどその栄えある瞬間に立ち会える確率は高い。
登山は自己責任、たとえそこで梯子が崩れて転落しても、設置した人や管理している人を恨めない。
「ええい!あそこまで登ればクリアじゃ!」
と登ってみたものの、上にはまだまだあるし・・・。
両側と頭上から迫り来る巨岩の圧迫感は半端なく恐怖を感じる。
まるで天を見上げるように登ってゆく梯子。
しかも登りきってから狭い岩の隙間をすり抜ける。
ようやく空が見えてきた。
あれが最後の梯子だ。
見下ろすと岩の隙間から遥か彼方に下界の森が見える。
後ろから登ってきた若いカップルがひーひーと声を立てている。
あの二人はその後ついて来た様子もなかったが無事だったのだろうか。
この梯子、引き返すほうが怖くないか?
休憩していると後から登ってきたおっちゃんが「二度と来ねぇ!」そう言い残して追い抜いていった。
ひとたび登ってしまえばそれはそれは平穏な道が続く。
風天道という岩に巨大な穴が開いている奇妙な光景が見えてきた。
この中をくぐって進む。
下りにも多少階段はあるものの楽勝。
岩に開いたでっかい鍾乳洞。
そのうちの大きいほうには階段があり入ることが出来る。
結構な急階段で案の定所々朽ちているがもはや感覚が麻痺してしまっている。
中にはたくさんの石像が祭られていました。
古来から日本では山岳や奇岩など信仰の対象とされてきたが、これらを背負って登ってきたということになる。
こんな所まで。
この鍾乳洞を出ると間もなく乳岩一巡の最初の地点に戻る。
あの梯子を避けたくば本来の左回りではなく右回りで通天洞の上まで行き、また引き返すというのも安全な順路かもしれない。
いやいや、あの恐怖の梯子を登ってこそ乳岩めぐり、くれぐれもお気をつけて!
今日も大いに汗をかいたのでクールダウンのため川に足を浸してみた。
信じられないほど冷たく気持ちいかった。
帰りはすぐ近くにあるうめの湯に寄って山を眺めながらのんびり温泉につかり、汗を洗い流し帰路についた。