折々のお料理

飽くなき食欲が生んだ料理や食の研究

発酵バターと普通のバターはどう違うのか?


 最近、何かとパンやお菓子に発酵バターという文字を見かける。
 もともとバターの一種としてヨーロッパではごく普通に存在していたはずなのだが、ここに来て日本でも注目を浴びてきている。
本来なら「塩キャラメル」のように、今さら言うまでもないのだが、イメージ的に何となく目新しく、そしてネーミング的にかなりそそる物がある。


 味噌、醤油などは日本人とってはなくてはならないお馴染みの調味料だが、これもいわゆる発酵調味料になります。
 酵母菌などの微生物によって分解されてできたもの、人にとって都合のいい分解は発酵、それ以外は腐敗と呼んで区別している。

 発酵系(広い意味で微生物の力で変化させた食品)は、納豆やヌカ漬けなど、どれもクセは強いが一たびハマるとその美味さの虜になるほどの強烈な物ばかり。
きっとこの発酵バターとやらも、凄く癖があるが一たびハマるともう他のバターでは満足しなくなってしまう、そんな破壊力抜群のバターに違いない!


 と、いうような先入観からか、発酵バターにおいては何となく味や香りが濃厚でクセがあって美味であると思い込んでいるが、どのように違いがあるのかと聞かれたらはっきり答えられるだろうか?
実際の所、発酵バターの味というものをよく知らない。




何はともあれ、実際に食ってみることにしましょう。







プライバシー保護のため画像を加工してあります。


って、発酵バター風味ですかい!

今回、いつものバターが残り少ないので新しく買おまい(買いましょう)と思った矢先、店頭で並んでいたもう一つの商品、どちらにしようか迷ったのでせっかくなので比べてみることにしました。


左が今回入手した物、右が今まで家にあったもの(残りわずか)。


ええ、ええ、もちろん判っていますとも。
本みりんみりん風くらい違いがあります。
我が家では、これを普通のバターと呼ぶのです。





どうせ比べるなら本物の発酵バターを食えよ!
というツッコミはなしとしましょう。





話がややこしくなりそうなので統一します。
ここで言うバターとは、右のバター風味加工品。
今回、発酵バターというのは左の発酵バター風味加工品。
そして出てきませんが本物のバターはリアルバターと呼ぶことにします。


ちなみに製品の裏に書かれていた100g当たりの成分比較は
 

カロリーはほぼ同じ、ほんのわずかに普通のバターのほうが高い。
高カロリー=美味という説が正しければ発酵バターは少し劣ることになる。
それにしても下段のリアルバターはダントツに数値が高い。
もしここにリアルバターを並べて味比べをするととんでもないことが起こる。



ええ、ええ、そんなことは判っておりますとも。




この二つの製品、カロリーやコレステロールは押さえて、バターの風合いを出来るだけ生かしてというコンセプト、リアルバターとでは土俵が違う。
とは言え「風合い」を生かしているのだから、発酵バターとはどんな風味の物なのかというのを理解するには都合がよい。

色を比べてみた

おりょ?
右のバターの方がほんのわずかに濃い。


パッケージの色からして、発酵バターのチューブからはそれはそれは色の濃厚な中身が出るかと思って期待してひり出してみれば・・・薄い。



そのまま舐めてみた。



バター
う〜ん、美味。
カロリーやコレステロールを押さえてこの風味、実によく健闘している。
ニセモノながらあっぱれである。


発酵バター
うむ、美味。
クセのある、それはそれは濃厚な・・・?・・・軽い。
ひと舐めした印象、一瞬バターに比べてホイップクリームを加えたような軽さ、しばらくすると塩味が効いてくる。
心なしか発酵バターのほうが塩がキツイ。
口の中に味が広がってゆくのに時間差がある。
そして何やら独特の香りがある。
この味、この香り、確かに知っている、何かに似ているが・・・。


総合評価
太る物は美味しいなぁ〜!






それにしても、なんか予想と違う。






トーストにつけてみました。

見た目、変わりません。

そのまま舐めたのと印象は変わらず。
発酵バターは濃厚ではなく軽い感じ。
そしてしばらくすると広がる独特の香り。


やっぱり発酵バターのほうには知っている香りがする。
そうか、この香りはトウモロコシ!

 日本で今まで売られていたバターのほとんどが非発酵バター。発酵バターというのは原料のクリームに乳酸菌を加えて発酵させてあり、ヨーロッパではこちらが主流だとか。乳酸発酵しているのでヨーグルトのようなほのかな酸味とクリームチーズのような非常にコクのあるバターなのだそうだ。いわゆる醍醐味というやつですか。言われてみればサワークリームに香りが似ている気がする。

 しかし、普通のバターと発酵バターでは同じ土俵で比べることは難しいかもしれない。イメージからして普通のバターに比べ香りや味が濃厚という予想だったが、それぞれ目指すものが違い、別の種類と考えたほうがいいのかもしれない。

とは言え、結局はどちらもバターなんですけどね・・・。
その差は微妙です。


ここでの記事は個人の感想であり、人それぞれ味覚の鋭さや知識、空腹度合いに左右されます。


追加


「発酵バターの味というのをよく知らない」と言っておきながら、ふと小物入れになっている空きビンを発見。
数年前に、なんか美味そうなので買ったのを覚えています。
中身は凄く美味かったのであっという間に食ってしまったような・・・。


「乳酸菌で発酵された香り豊かなバターです。」

食うとるやないかい!

この他にもトラ○ストバター等、実は何度も(何度も何度も)口にしていることが発覚。
発酵バターなのか非発酵バターなのか、当時そんな区別もなく、ただただおんちく頂いておりました。



【広告】


趣味の部屋に戻る

TOP

inserted by FC2 system