折々のお料理
飽くなき食欲が生んだ料理や食の研究 |
カナリヤシードは美味いのか?
この人。
この生き物の性格を一言で言い表すと臆病。
小さな物音一つでパニックになるほど心臓がが小さい。
初めて見る物、珍しい物にも興味を示さず、好奇心よりも恐怖心のほうが強い。
きっと歴史上、さんざん捕食されたいきさつがあるのだろう。
多くのオカメインコが大好物というひまわりの種、コイツは食いません。
殻を割って遊ぶだけで、中の身はそこらにほん投げちまいます。
フルーツを食わかさそうとして人が手で持って与えても恐れをなして逃げます。
そんな中、大好物なものはカナリヤシード。
カナリヤシードはその名の通り、カナリヤが好む種として名が付いているが、インコの配合餌の中にも含まれている。
カロリーが高いので含まれる割合は少ない。
この種だけは特別で、手に乗せた種を見つけるとそそくさとやってきて、大事そうについばむ。
一粒一粒殻を剥きながら食い、やがて手の中が殻だけになると「ギャー」と怒って手を一噛みした後去ってゆく(困ったもんだ)。
よく見ると不正に食おうとした形跡が・・・。
ギャーッ!
恐怖にも勝るほど美味なる食い物、カナリヤシード。
そんなに美味いものなのか?
食ってみましょうか。
売られているカナリヤシードは殻つきの状態。
米で言えば籾の状態、つまり脱穀する必要があります。
一粒剥いてみました。
殻の表面はつやつやだが、中は黒い。
(黒い種をさらに割るとその中は白い。)
※米の場合、稲穂から籾を分けるのが脱穀、籾殻と米に分ける作業を籾摺りというようです。
専用の臼でひいたり、水車の力で搗いたりしたとか。
しかしこの種を脱穀するのになかなかよい方法が思いつかない。
棒で搗いてみてはどうだ?
いやいや、こりゃ駄目だ。
あまり強く搗くと砕けてしまうし、その前に周りに飛び散って大変なことになった。
鳩や鶏と違い、インコ類のひん曲がったくちばしはこのような種の殻を器用に剥く為に発達したのだそうだ。
仕方がない、地道に一粒ずつ剥いてゆくしかない。
ちみちみちみちみちみちみちみちみちみちみちみちみちみちみちみちみちみちみちみちみちみちみちみちみちみちみちみちみちみちみちみちみちみ・・・・・・。
カナリヤシードは表面がつるつるなので掴みにくい上、手が滑るとどこかへ飛んでいってしまう。
パリパリパリ・・・
ん?
あっ、コラーーー!!
ようやくこれだけ剥けました。時間をかけたのに改めて見るとたったのこれだけ。
30分くらいかかりました。
早速食ってみましょう!
むむむ?
噛むと口の中に広がる粉っぽい食感。
まあ生だから仕方がない。
そして次第に広がるこの味この香り。
どこかで覚えがある。
即座に脳裏をよぎったのはういろう。
名古屋名物ういろうは米の粉を使用している。
基本的には米と同じ穀物、微妙な違いはあれどよく似ている。
米に似ている・・・ならば炊いてみてはどうだ?
水を加えて電子レンジでチーンとやってしまいましょう!
途中、水が干上がって中で種が跳ねまくっていたので水を足し、結構時間をかけたのだが・・・。
あまり柔らかくなる様子はなし。
色も特に変化はなく、「米→ご飯」というような感動もない。
この種、熱に強いのだろうか?
食してみると、微妙に柔らかくはなってはいるものの、基本的な味に変化はない。
甘味のない米といった感じだろうか。
どこかで覚えのある味、粟やヒエといった雑穀の味が近いかもしれない。
そういえばこの種も雑穀みたいなもんだ。
一言でまとめると、
あんまり美味くない。
しかし、インコは種の殻は剥くものの、どうやらその中の種は丸呑みしている。
味もへったくれもないような気がするが、それでも好き嫌いがあるのは不思議なもんだ。