折々のお料理

飽くなき食欲が生んだ料理や食の研究

風香る?ウイスキー知多


知多というウイスキーがある。


ここ数年某連続ドラマの影響かウイスキーの人気が高まっているようで、その証拠にコンビニにも多くの種類が並ぶようになった。

ウイスキーといえば酒屋でごついビンで買うイメージだが、コンビニにはお手ごろサイズもあり気軽に買える。






愛知県知多市。

標高1000mを越える山々に囲まれた静かな高原。
澄んだ空気とアルプスからの湧水に恵まれ、古くからウイスキーの産地として有名だった場所。







すみません、全くの嘘です。

画像も茶臼山高原だし。






本当の知多は海沿いの国際空港セントレアのある半島。


伊勢湾ののどち○んこのような半島。

地名としての知多市は比較的根元に近いが、一般的には半島全体が知多とばれている。




それにしても、知多ぁー???



地名を冠したウイスキーはいくつかある。
同じ棚に並んでいるのは山崎、余市、白州、宮城峡、どこもなにやら美味そうな産地だ。

ウイスキーの産地といえば水や空気が綺麗で、人里離れ大自然に囲まれた場所を想像する




知多半島に何度も行ったことがある愛知県民にとって、あそこで大々的に醸造が行なわれているイメージはない。
とはいえ全国的に有名なミツカンもあり実は醸造が盛んだったりして。

現に江戸から明治の時期、知多半島には200近い酒蔵を持つ国内有数の酒造地域だったらしい。
今でも半田や阿久比、常滑や東浦には酒蔵がある。




サントリー知多蒸留所は人里はなれた山の中、ではなく半島付け根の海沿いにある。


Yahoo地図より引用

思いっきり大工業地帯のど真ん中ではないか。



知多半島の玄関口、名鉄大田川駅から海方向の眺め。

新日鉄の工場群が見える。
海沿いはコンビナートというやつだ。




そんな中、この埠頭には船で大量の穀物が運ばれてくる。


Yahoo地図より引用

この埠頭には製粉工場もあり、ウイスキーもこの場所で作ってしまおうということなのか。




ウイスキーは通常大麦麦芽(モルト)より作られる。

しかしここで作られているのは穀物(とうもろこし)を主体としたグレーンウイスキーだ。
何を隠そう、調べてみて初めて知った。

このサングレイン蒸留所は1973年よりサントリー向けのウイスキーを製造しているとか。




それにしてもこの知多ウイスキー、結構評判もよく、なかなか売れているらしい。




サントリーのWebサイトより。


サントリーウイスキー知多Webサイトより引用

んー?

風香るハイボールだと?




びょー


サントリーウイスキー知多Webサイトより引用



ざざーん


サントリーウイスキー知多Webサイトより引用

しょわわわー、かろんかろん




何だこのCMは?

風の強い断崖の海、ススキ野原にたたずむイケメン。

しかも音楽は「機関車」と「宇宙」と「美女」が揃ったあの大ヒットアニメのテーマ曲。




ススキ茂る野原、人工物のない海岸線、断崖、遠方に対岸も島もない水平線、こんな場所は知多半島にあったか?

 
(知多半島の風景)




たしか知多半島の海岸線はぐるりと道路が囲んでおり、どこも人の営みと密接な海だ。


Yahoo地図より引用

もしあんな場所があれば公園にでもなって有名なデートスポットになっていることだろう。




しかしCMの効果というのは絶大だ。

外呑みの楽しさを知っている者にしてみれば、あのようなシチュエーションでぜひ呑んでみたいと思うわけです。

参考記事「外呑みのすすめ」




しかし現実問題あのような海岸まで行くのにはが必要なわけで、酒など呑んでいる場合ではない。
仮に名鉄(めーてつ)で行くにしろ誰かに連れてってもらうにしろ、あの場所でクーラーボックスからグラスと氷と炭酸水用意して、いそいそとハイボールを作るのもナンセンスだ。
「ちょっと待ってて、おれちょっくらあそこで呑んでくるわ」

それとも背後にペンションでもあり、絶景に誘われて庭先まで出てきたのか。



いずれにせよあまり体験できることではない、だからこそイメージCMなのか。



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他にも山崎、余市、宮城峡などもあり!



もともとこの知多蒸留所で作られていたのは非常に言い方は悪いが低価格帯のためのブレンド用ウイスキーだった。


素人考えでは山崎や白州、余市などと肩を並べるのは微妙な気がしないでもない。


しかし他にはない甘みや香り、軽さや爽やかさが今の流行にマッチし、それらを「風香る」と表現。
ハイボール(炭酸割り)を推奨した、まさにイメージ戦略の勝利といってもよいだろう。




まずは普通の水割りで呑んでみた。

冷蔵庫で作った氷、そして水道水で割る。



酒に関してまったくの素人しぶーの独自の感想。

香り、そして一口目の印象はとにかく「甘い」
非常に甘くて飲みやすい。

ウイスキーによくある、爆発的に口の中に広がる樽の香りが押さえられ、甘みが広がる。

軽い、爽やか、といった呑み易さをあらわす言葉が出てくる。


なるほど、これは美味い。


こうなれば柿田川の水で育ったこの身、水にも氷にもこだわりたい。
(静岡県の三島にいた。)



近所のコンビニまで走り、買ってきました。

ああ確かに、水が美味い。

そうなんよ、水割りって、この「水を呑む」感覚。

なんだろな、一番美味い飲み物って結局水なのかもしれない。

なにやら哲学めいたことをほざいておりますが、だいぶアルコールが入っておりますゆえご容赦ください。




炭酸でハイボールを作ってみました。


写真を撮った日には、なんのかんのだいぶ呑んじまった後なのでビンが空になっています。

「風香る」か、なかなかうまい事言ったもんだ。

ここまでイメージ通りに判りやすいのも、ヒットした要因かもしれない。




もともとウイスキーは洋酒、スコッチやアイリッシュ、バーボンといったなかなか素人にはとっつきにくい感じがあった。

何せビンがでかいし度数キツイしラベル読めねえし。



しかし今や国産ウイスキーは本場のスコットランドでも認められるほどの品質を誇る。

そして地名を冠していることによって愛知県の地味な半島(ごめんよ)が全国的に有名になったということでは、かなりの功績かもしれない。




シブイ香りが美味の山崎は、爽やか路線のハイボールよりも水割りの方が気に入った。

ロックにして少しずつ溶ける氷と共に、ゆっくりと楽しみたい味かも。


(2016.10.31)


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