折々のお料理
飽くなき食欲が生んだ料理や食の研究 |
カレーもやしを作る
近所のスーパーでもやしが安い。
閉店近くになるとテープでまとめられて、特価品コナーに山積みになっている。
もやしは美味くて安くてけっこうなのだが、さすがに量が多い。
色々と料理法をめぐらせているうちに、あるものを思い出した。
カレーもやし。
そのカレーもやしは、遠い昔読んだ向田邦子さんの随筆の中に出てきた。
その内容はおよそこんな内容だった。
(前略)
行きつけの定食屋で出てきたメニューにカレーもやしという一品があった。カレー味が効いていてピリッと辛くて美味だったのでぜひ家でも作ってみようと試してみたが、茹でたもやしにカレー粉をあえても、店で出てくるような鮮やかな黄色にならず、どうもうまくいかない。
ある時テレビをつけてみたら、なんとそこの定食屋の主人が料理番組に出ていてそのカレーもやしの作り方をやっていた。そしてその方法は煮立った湯の中にいきなりカレー粉を放り込むという驚きの方法だった。
(中略)
さすが、その発想はなかったわ(驚き感心する著者)。
(以下省略)
かなり記憶が曖昧なため多少の相違はご容赦!
鮮やかな黄色でピリッと辛くて美味い。
作ってみましょうか!
作り方。
煮立った湯の中にカレー粉をぶち込んでもやしを茹でる。
以上!
たったこれだけの情報でやってまう(しまう)のですかい?
思い立ったら行動せずにはおれん性格、調べもせずにやってまいましょう!
とりあえずこの工程さえ間違えなければそれらしいものが出来る。
味付けなんぞ後から何とでもなる!
さて、吉と出るか凶と出るか。
もやし登場。
全く当てもなく試してみるのだから慎重にいきたいと思います。
まずは少量で試してみることにしましょう!
そこまで慎重になるのなら予め調べたらどうなんだ。
湯の量はほんのひたひた、カレー粉はほんの3振りくらい、量にして小さじ半分程度か。
湯の中に放り込んだもやしはカレーの黄色が強い印象で染まった気がしない。
それにしても部屋の中がすごい匂いだ。
すっかり台所がカレーと化してしまった。
すげえよカレー粉!
何も知らずにここに帰ってきたら
「おお!?今夜はカレーか?なにっ、カレーもやしだけかよ!」
となりそうだ。
茹で時間はほんの1分ほど。
もやしはあまり煮過ぎてしなしなになっては歯ごたえがなくなってしまうので、軽くくぐらせる程度。
黄色いカレー粉の中ではほとんど色がついた気がしなかったが、湯から上げてみると結構色づいている。
使用前 → 使用後。
これは成功ではないか?
出来上がりはザルにでも上げるべきだろうけども、竹のザルがインド仕様になるのを恐れて箸で直接皿に陸揚げ。
染まった色といい申し分なく出来上がっているように見えるが、味のほうはどうでしょう?
カレーの香りがするのかしないのか、なにせ台所中カレーの館と化している。
すっかり鼻がやられているようで、口に入れても一瞬味がしない。
しばらくするとこれはなかなか、確かにピリッと辛くて美味い!
断面を見てみた、中まで黄色く染まっていた、恐るべしカレー粉!
見た目といい香りといい辛さといい食感といい、すべて成功なのだが欲を言えば味がない。
塩こしょうを一振りしてみた。
あ、だめだこれは。
カレー粉に対して胡椒の香りが強すぎる。
強烈な香りを放つ割には意外と繊細だぞカレー粉は。
味付けは塩だけのほうがいい。
さて次なる実験は・・・
第1号は食っちまった ↑
カレー粉を増量してみる。
もう3振りほど。
恐らく通算小さじ1杯ほどが入ったことになる。
さらに辛さ増強になるのか?
黄色が濃くなるのか?
結果。
さっきと余り色が変わらない。
使用前 → 使用後。
味もカレーが強烈になったという印象はない。
あまり増やして効果が少ないという結果だった。
ということは案外適当に作っても上手くいくのではないだろうか?
斬新で意表を突くこの料理法、インパクトも充分にあり意外なほど簡単に出来るのでお勧めです!
しかし、カレー粉を使った料理は自分で作るより、人に作ってもらったもののほうが感動が大きい。
なぜなら、すっかりカレーの匂いで鼻が麻痺してしまうからだ。