折々のお料理

飽くなき食欲が生んだ料理や食の研究

駅弁は値段によって差があるのか?


駅に貼ってあったポスター。
いかにも美味そう。


仕事や旅行で電車に乗って長距離を移動する時、流れ行く景色を眺めながら弁当を食するのもまた楽し。
電車に揺られていると、ろくに体も動かしてないのにやけに腹が減る


というわけで、旅のお供として不可欠な駅弁。


弁当売り場には色とりどりの弁当の見本が並んでいて目移りしてしまうが、悩む原因の一つに値段の差がある。

駅弁は勝手分類するといくつかの明確な分野に分けることが出来る。





テーマがある弁当。
メインになるおかずがあり、そのおかずや地域性が売りになっているもの。いわゆるご当地弁当。
味噌カツ弁当、うなぎ弁当、釜飯、笹寿司など。


全国に同じようにある弁当。
食として空腹を満たすことを重視した、どこでもおなじみの弁当。
おにぎり、サンドイッチ、幕の内弁当、助六寿司など。


この中でもそれぞれ、手ごろな価格の普及クラス弁当、金に糸目をつけずに質を追求した高級弁当がある。

(注・・・・かなり主観が入っています)




旅というのは何かと気が大きくなるものだが(普段は千円もするお菓子なんか滅多に買わないのに気軽に買っちゃうんだぜ)、同じような弁当なのに値段に差がある場合、果たしてどちらを買うべきなのか?

ただでさえ、景色を眺めながら食うという行為は、普段よりも美味く感じる。(これを風流効果という。←勝手に命名)
なので特に贅沢せずとも、いつもの弁当ですら美味く感じる。

いやいや、せっかくの旅、この弁当も大いに楽しむべきである。ここは大いに奮発するべきである。









二つの弁当を用意しました。

 


どちらもいわゆる幕の内弁当
今回、純粋に値段と内容を比較する為に、地域性を持たない弁当をチョイスしてみました。

幕の内弁当とは芝居の合間(1幕、2幕の間)に食する弁当という意味でこの名がつけられているとか。


車内で食うと正常な判断は不可能なのでわざわざ買って帰りました。





気になるお値段は片や680円、片や1300円

その差は近い。





幕の内昭和?
なかなかのネーミングセンスが気に入った。
レトロの表現か?普遍なる物の象徴か?
幕の内レギュラー(仮名)と命名。


そして特製御膳!
弁当じゃないのかよ。
なにか恐ろしく自信の現れのような雰囲気が漂う。
幕の内エクセレント(仮名)と命名。





腹も減ったので早速検証してみましょう。




幕の内レギュラー(仮名)

白いごはんとおかずが明確に分けられている。
シュウマイ、鳥肉、ちくわの磯辺上げ、牛時雨、白身フライ、焼きシャケ、玉子焼き、かまぼこ、煮豆、昆布巻き、漬物など。
限られたスペースの中に、充実したおかずの取り合わせ。
万人の好みが満遍なく詰まった典型的な弁当。
弁当の見本のような弁当。
何のこっちゃ。




幕の内エクセレント(仮名)

これはまた種類が多い。

地域性を持たないと言うコンセプトで選んだ弁当だったが、この幕の内エクセレント(仮名)はご丁寧に東京名古屋関西の地域性を表現している。

なんかすごいことが書いてある。
普段ならこのような能書きを読むことは少ないが(早く食いたいし)、退屈な車内なら目を通してしまうかもしれない。

煮物揚げ物焼き物、31種類の食材を使っているらしい。


よく見ればしょうゆもソースもついていない。
最終的な味付けの余地を残さないあたり、製作側の自信の表れかもしれない。





同一画面の中で並べてみました。


注・・・二人分です!

ほんの僅かに左の幕の内エクセレント(仮名)のほうが大きいが、ほぼ同じ大きさ。
値段の分だけ量が多くなるわけではない。







ちょっと待て。







その左上のヤツはなんだ?




これぞご当地弁当の贅沢の極み、清流うな重。

なんとこの大きさで1600円!!





不味かったらどうしてくれる!というお値段。





再び、幕の内弁当の検証。

 

煮豆、焼きシャケ、玉子焼き、鶏肉など共通するおかずも多い。
弁当は基本冷めた状態を想定して味付けされているが、その違いはあるのか?



幕の内エクセレント(仮名)は、あさりご飯、シラス山椒ご飯、うなぎご飯、稲荷寿司とご飯部分だけでも凝っている。
煮豆はツヤツヤ、湯葉や生麩、煮タコなど少量のいいものが入っているといった印象。
少量ながらうなぎが入っているのもポイントが高い。

彩りを考えた品揃えと盛り付け。

ご飯のためのおかずというコンセプトではなく、単体で楽しむような味付けで、鶏肉やシャケ、野菜の煮物なども素材の味を生かすため全体的に薄味
味噌カツが手延べ(肉を一旦細かくちぎり、歯ごたえを残しつつ食べやすくしてある)だったり、野菜の面取りがされていたり、にんじんが飾り切りされていたりと何かと手が込んでいる。



幕の内レギュラー(仮名)は・・・

鶏肉が炙ってある。
牛時雨が美味い。
カツかと思ったら白身フライだった。
見た目そのままの味、期待を裏切らない。

コストを抑えつつも、濃い目のはっきりした味付けや鳥を炙って香ばしくしたりと満足感が得られるような工夫がされている。






結論として、

幕の内レギュラー(仮名)・・・・・・・・がっつりと空腹を満たす目的の弁当。
幕の内エクセレント(仮名)・・・景色と共にゆっくり楽しむのが目的の弁当。

に分かれていると言っても過言ではない。
(いや、どちらも空腹を満たすのは同じなのだが。)


もし、今まで普通の弁当しか買ったことがなければ、


「高い弁当も食ってみよう、必ずやその価値はある。」


というのが適しているかもしれない。







さて、清流うな重は・・・


横にして持って帰ったらご飯が寄ってまった。

うなぎにはタレがあまりかかっておらず、妙につや消し仕様。
自分でかけるタレもついていない。
うなぎのタレは炙って香ばしさが出るので生の状態ではあまり美味くない。
だからもともとついていないのか?



おおっ!

甘ったるいタレでごまかしていない、うなぎの味がする。
重箱色の紙製の安っぽい容器とは裏腹に、すげえ美味い!




電車の中で食いたかった。



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