折々のお料理

飽くなき食欲が生んだ料理や食の研究

イナゴの食べ比べ その後


以前、イナゴの佃煮は産地によって味の違いがあるのか?という検証をして、多少の違いはあれども特にこだわる必要なしという結論に達した。


 つまり好物はどこ産であろうとも美味、という何とも大雑把な結末だったが、これというもの前回比較した3つの佃煮は伊那、中津川、可児という地域のものだったが、広い日本の中で見ると岐阜県と長野県にまたがる狭い地域でしかない。


可児市は多治見市のやや北辺り。


 3つの産地はこの円に収まり、ほぼ同じ地域と言ってもいいような範囲。
店による味の違いは多少あっても、地域性というものは感じられないのではないだろうか?


 しかし実は前回に1種類だけ買わなかったところがある。
パックが大きくて値段が高いので躊躇ったためである。


今思えば、どうせすぐに食ってしまうものであるし、大量にあってもイナゴの佃煮は常温で保存が聞くので少しずつ消費すればいいわけで・・・
そんな思いが沸き起こり、心の底から後悔していた。
(単にイナゴの佃煮が好物というだけなのだが)



そして約2週間後、偶然にもどんぶり会館のそばを通る用事があり入手してきました。

わざわざ遠回りして入手した大きなパック。




手前は前回も買った伊那産。
たくさん食いたかったので再び買ってしまった。



パックの大きさはほぼ同じ様に見えるが厚さが違う。

重量は伊那産の90gに比べて何と300g!
持つとずっしりと重く、喜びと重さが比例している。
ちなみに値段は920円でした。





驚いたことに2週間前には伊那産中津川産可児産と今回入手したものの4種類の産地のものがあったのだが、今回訪れた時にはなんと小さなパックは伊那産しか残っていなかった。全体的にだいぶ数が減っており、売り場に並んだ様子から、定期的に新しい物が入荷している様子もない。


イナゴの佃煮は人気なのか?


季節物だろうから、全部売れたらこの次のシーズンまで待たなければならないのか。
(イナゴの発生は夏から秋がピーク)
そう考えると4種類もの産地のイナゴを食べ比べることが出来るのは、ある意味ラッキーだったのかもしれない。





んが、しかーし!






前回入手した佃煮はあまりの美味さにほとんど食ってしまった!
今現在残っているのは伊那産のものがほんの少々。

今回買ったのも新たなパックと伊那産。

と言うわけで新たに入手した産地のものと伊那産を比べてみることとなった。





おんや?

前回の比較結果では伊那産のものは色が濃く、味付けも塩辛いという結果だったが・・・

ふとパックの中を見ると色の薄いやつらがいる。

どうも色が濃い部分と薄い部分がありムラになっている。
イナゴの大きさと煮詰まり具合にかなり差があるようだ。
ということは、前回の比較の信憑性は薄い?






そして今回入手したものはどこ産かというと・・・

おおっ!
茨城県産!

かすみがうらっちゃあ関東地方。



これはいい!
他地域の物が入手できるとは思ってもいなかった。
果たして違いがあるのだろうか?


それにしても、どうして茨城県産のイナゴの佃煮がどんぶり会館(岐阜県の土岐市)に売っているのだ?



参考までに前回のデータと照らし合わせ、1g辺りの値段を計算してみた。

可児産3.9円、中津川産4円、伊那産は4.2円、そして茨城県産は3円。


イナゴ1匹がおよそ0.7g(佃煮完成品の実測値、15匹で10グラム。大きさにバラツキがあり、足がもげていることなど考慮)なので、
1グラム4円で換算すると1匹当たり2.8円の計算になる。


イナゴの佃煮1匹≒2.8円


まあそんな野暮なことを言うのはよそう。
値段がいくらであろうとも美味けりゃいいんです。



伊那産(左)と茨城県産(右)


ううむ・・・しかし、見れば見るほどこれは地獄絵図だ。
この一つ一つがと考えると美味いわけである。



茨城県産は全体的にやや小ぶりのものが多いがバラツキの範囲かもしれない。



味は・・・

お?甘い。



第一印象では、伊那産に比べ薄味
そしてしょっぱさよりも甘さが目立つ。


比べると伊那産は醤油が濃いというか塩辛い。



原材料を比較すると茨城県産はイナゴの次に砂糖が使われている(JAS法によると原材料は重量順に表示するのが原則)。
このため箸でつかむと粘り気がある。

前回の比較で甘かったのは可児市産だったが、なんとなくそれよりも甘いような気がする。




意外?にも、関東地方である茨城県産のこのイナゴは薄味だった!





しかし並べて比べれば違いが判るが、単体で出てきたら区別がつかないかもしれない。

 イナゴの食感は本体の部分はにちゃぁと柔らかく、噛めば噛むほどにイナゴ味が口の中に広がり、その反面足の部分はばりっという香ばしい歯ごたえを生む。この二つが合わさって見事なハーモニーを奏でる、まことにもってよく出来た素材だ。

 イナゴの佃煮は甘しょっぱさが最も感じられるが、多少の味付けの変化によって大きな影響を受けないと言うことは、実は母体のイナゴ部分が結構しっかりした味なのかもしれない。



結局はどちらもお構いなしに食ってしまいましたとさ。





おわり。























薄味だと困ることがある。





それは、






薄味ゆえに、いくらでも食えてしまう!

恐らく次の入荷は秋以降なので大事に食わねば・・・。


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