折々のお料理

飽くなき食欲が生んだ料理や食の研究

地獄汁



それはしぶーのがまだ新婚だった頃。




家に帰ると、台所のコンロの上には怪しげな鍋が乗っていた。




(再現映像)






その鍋の中は・・・

無差別に選ばれた野菜達が、あえて大きさを揃えないという斬新な手法で切られ、塩・胡椒・コンソメで煮込まれたものだった。


当時野菜嫌いだったしぶーのの健康を気遣い、野菜をしこたま食わかさそうという魂胆か、数少ないレパートリーの一つだったに違いない。




確か嫁は料理が大層苦手であったはず。












命名 「地獄汁」




この料理は、その後たびたび台所に姿を現した。












野菜を鍋で煮込む。



ごくごく単純明快な料理。


真っ先に浮かぶのがパタフ

フランスの家庭料理で、「火にかけた鍋」という意味。



pot-au-feu

ああ、ポットアウフューのことですねええええ。

(さっきから発音よすぎ!)








正しいポトフの作り方を調べると、結構複雑で意外と大変だ。

広い意味では野菜と肉を鍋にぶち込んで煮込むという料理なので、できるだけ単純に済ましてしまいましょう。
それゆえに野菜本来の味が生きる料理ともいえる。


キャベツにんじんたまねぎジャガイモソーセージ。

まあ特に変哲もない野菜類。


豪快にぶった切ります。

長時間煮込むことを想定しているのでかなり大きめです。
小さなものが煮崩れることは承知の上。




特にほぐすでもなく、切った形のまま鍋に直行!

ソーセージは「皮が破れるので最初から入れないほうがいい」説もあるがお構いなし。

なんてったってこれは地獄汁ですから。





ひたひたの水で煮込みます。

少なめの水で、上のほうは蒸すような感覚。
野菜からも水分が出るので、あまり水が多いと野菜スープになってしまう。

わざわざ真夏のくそ暑い中、ゴンゴンに煮込みます。




味付けは塩、粒こしょう、コンソメのみ。

粒こしょうは贅沢にたくさん使いたい。
真夏の鍋は、スパイシーにするほうが食欲が沸く。



調味料はこれだけ。
ローレルの葉は手元になかったので割愛。

野菜スープを作る目的ならばスープ部分を味見するが、この料理は野菜部分がメインなのでスープは少なめ、味付けも若干濃いめが合う。





使う調味料が同じならば味付けも同じになるかと言えばそうでもない。

同じ編成でも、オーケストラ(楽団)が違えばサウンドが異なるように、
さらに同じオーケストラでも指揮者が違えば求めるサウンドが違うように、
味付けと言うのはハーモニーと同じで微妙なバランスで成り立っている。


この微妙なバランスを独創性豊かにアレンジすると、ポトフ地獄汁へと進化する。








煮込んでだいぶ小さくなりました。

上に乗っていた粒こしょうも水没して満遍なく鍋の中に行き渡っています。




無差別に鍋にぶち込んだ分だけに、盛り付けは丁寧にしたいところだ。
具ごとに一応分類して見ました。

こしょうが利いていて結構辛いが、暑い夏にはぴったりの料理。





ハフハフと大汗をかきながら、大量の野菜を食うには最適の料理かもしれない。

残念ながら今回のこのポトフは地獄汁へと進化しなかった。






翌日・・・。

更に煮込まれて、得体の知れない料理に・・・


形なんぞないトロトロのたまねぎ、半分崩れたジャガイモ、ふにゃふにゃのキャベツ、スープを吸ってぶじゅぶじゅにふやけたソーセージ。

見てくれはアレですが、味は断然この方が美味い!




本文中の写真にもあるが、こういう料理はスプーンにすべきかフォークにすべきか?
結局結論は、
でした。

スプーンもフォークも、熱いんだよ・・・。


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