折々のお料理
飽くなき食欲が生んだ料理や食の研究 |
豚の角煮
風向きが変わった。
秋が深まって、海のほうからではなく、明らかに山のほうから吹く冷たい風。
抜けるような青空の中、北の方から流れる速い雲、晴れているのに時折風に乗って小雨が舞う。
気温が低ければ雪になっていただろう。
冬型の気圧配置、この地方ではこの風が冬の到来の合図だ・・・。
冬はいい。
なんてったって暑くない。
外は寒いこんな時期、家の中でぬくぬくと鍋や煮込み料理を食う。
至福のひと時である。
豚ばら肉の塊を買ってきました。
ついでに今夜の湯豆腐の材料も買ってきたのだが、スーパーでは白菜ねぎえのきシメジなど、鍋の材料がまとめて展示されていた。
「外が冷えてきた、いかにもみんな今夜は鍋食うぞ」って感じで、行動が読まれている・・・。
豪快にぶった切り、鍋に入れて茹でます。
強火で容赦なく。
本来ならここで、この湯を捨てて新たに茹でなおす、いわゆる下茹でということをするのだが、面倒なのでこのまま続行します。
あとで余分な脂をとればいいや・・・。
今日は極力簡単な方法で作ります。
臭み消しに、しょうがを投入、チューブのしょうがは便利だ。
酒がなかったのでみりんをどばどば・・・。惜しげもなく使ってしまいましょう。
しょうゆをどぼどぼ・・・。量も計らずに適当です。
もちろん味見はしますよ。
せっかくなので香り付けに八角をひとかけら入れましょうかねえ・・・
あんまり入れると歯磨き粉の香りの角煮になってまう。
う、ううううむ・・・なんか不美味そうだ。
甘いそばつゆに肉が浮いている状態。
ここで普通なら「落し蓋が」と言いたい所だが、面倒なので省略。
煮崩れようが食えればいい、出来るだけ簡単に作れることに越したことはない。
しばらくゴンゴンに煮込んだ後、一旦火を止めて冷まします。
上のほうには脂が浮いてる。
放置すること数時間・・・。
おお、固まっちょる。
さじで余分な脂をすくいとります。
余分な脂ってなんだよ!
人間が太らせといて、余分とは失礼な!
この方法ではほとんどの脂を除去して極めてヘルシーな角煮を作ることができるのだが・・・
豚の脂身は脳汁が出るほど美味。
全部すくい取らずにある程度は鍋に残しておこう・・・。
残ったラードはチャーハンにでも使うべか・・・。
再び点火。
本当は半日くらい弱火でとろとろ煮込むのがベストなのだが、晩飯に食いたいがために火力をあげます!
焦がさないように、中火でごんごん煮込むことおよそ3時間・・・
お、何となくそれらしくなってきました!
途中、味見をして甘味が足りなかったので砂糖を投入。
煮詰まっては水を足しを繰り返し、さらに煮込むこと1時間。
多少固さが残るものの箸で柔らかく切れるほどに。
ようやくできました!
いつも思うのだが、食い物の写真を美味そうに撮るのは実に難しい。
ストロボを焚いてよいのやら、ないほうがよいのやら・・・。
ストロボなしで撮ってみました。
う〜ん、美味そうだ・・・。
匂いまでお伝えできなくて残念です。
では実食!
うひょ!
うひょひょひょひょ!
ふははははは!
うめえ!
何故か笑いがとまらない・・・
(食卓に響き渡る不気味な笑い声)
そして喜びもつかの間・・・
がーん。
あっという間になくなってしまいました。
手間隙かけて料理しても、ものの数分でなくなってしまう。
なくなると少し悲しい・・・。
この一瞬の幸せのために、何時間もかけて料理を仕込むのだ・・・。
実はまだ半分ある〜♪