折々のお料理
飽くなき食欲が生んだ料理や食の研究 |
キンカン(卵)の甘露煮
キンカンといっても柑橘類の金柑ではない。
見た目はそっくりだがいわゆる鶏の卵、まだ生まれる前の、かーちゃん鶏の中にいる状態の卵の黄身を指します。
一般的にはモツに分類され、プチゲテモノ料理、見た目は少々グロいがその代わり味は格別、好きな人にはたまらない料理。
近所のスーパーの肉売り場に、珍しく並んでいた鶏のキンカン。
しかもハツ(心臓)まで入ってる〜!
これはやるっきゃないでしょう!
キンカンの様々な料理法を調べると、酒に漬け込んで「慎重に薄皮を剥く」とあるが、確かに薄皮がないと見た目もきれいだ。
しかしそんなことはお構いなし、皮ごと、そのままぶち込んで煮てしまえ。
皮が破れないように扱いは丁寧に。
最初から強火で煮立たせると卵の薄皮が破れてしまうことがあるので、最初は中火でゆっくり火を通してゆく。
げげっ、不美味そう!
煮込み料理の初期状態は極めて不美味そうだ(特に肉系)。
煮物が美味そうに見えるには?
味云々ではなく、見た目で美味そうと感じるポイントは何だろう・・・?
色がついているということは長時間煮込んで味が充分染み込んでいるということ。
同時に柔らかく煮込まれているので美味いはずだ。
表面がテカテカなのは、いわゆる「照り」という状態、砂糖やみりんが効いていて甘辛く煮込まれている。
煮汁も濃縮されて食材にからみついているので美味に違いない。
・・・・。
どちらも該当せず。
鶏モツには強烈な臭みはないが、香り付けにしょうがを投入。
魚や肉の煮込料理には欠かせないアイテム。
何度か煮こぼすべきなのだろうけど、面倒なので省略。
アクや臭みも味わいのうち。
日本酒がなかったのでみりんをちょっと多めに・・・。
本みりんの少々値が張るやつだが、ここはケチる所ではない。
美味くなるのなら惜しげもなくぶち込んでしまいましょう!
ざらめを大さじ山盛り一杯放り込みました。ちょっと甘さを強調してみます。
続いて醤油を入れ、セットアップ完了。
後はこのまま弱火で半日ほど煮込めば出来上がり。
腹へった・・・。
早く食いたいので火力を上げて一気にやってしまいましょう。
しゅごーーーー!
目を離さずゴンゴンに煮立ててしまいます。
ぶくぶくぶく・・・
やがて煮汁が濃縮されて泡立ってきます。
焦がさないように時々鍋を持ち上げて様子を見ます。
おお、ずいぶん煮詰まっとる。
コップ半分ほどの水を足し、さらにゴンゴン煮込むを繰り返すこと2回。
こんなに濃縮されました。
およそ一時間ほどで出来上がり。
色もよし、照りもよし、まだまだ黄身の中に味がしみこむ余地はあるが、濃く煮詰まった煮汁にまぶして食えばちょうどいい。
冷めると煮汁の粘度が増して一層からみつくので冷めても美味い。
一見、不気味な食い物だが、要は卵の黄身。
クセは全くなく、普通の卵の黄身よりも濃厚な味がします。
美味いのでついパクパク食ってしまいます(栄養豊富な物ほど美味と感じる法則)。
尚、冷めたからといって電子レンジで暖めては絶対にいけません。
これは卵なので爆発します。
運が悪いと口に入れて噛んだ瞬間に爆発するので、必ず鍋に移して暖めなおすか、冷たいまま食ってしまいましょう。