折々のお料理
飽くなき食欲が生んだ料理や食の研究 |
きぬかつぎ
長い冬が惜しみつつも終わり、寒さが緩み春風がふきだした頃、地元のスーパーに並び出した。
そのコーナーに突如と現れたのは「きぬかつぎ」。
サトイモは数あるイモの中では好物だが、何故か食卓に上る回数は少ない。
皮を剥くとか仕込みをするとか、そういう準備が面倒とか、いたって単純な理由。
そうだ、単純に茹でて食っちまえば手間はかからない。
この売られていた「きぬかつぎ」はきれいに洗われていたのでそのまま鍋に直行。
水を張った鍋にぶち込みます。
根菜類は水から茹でるという基本に則ってその後点火。
ゴンゴンに茹でます。
時々箸でつついて茹で加減をチェック。
手ごたえで表面が柔らかくなったかどうかを確かめます。
箸でぶっ刺して確かめる方法もあるが、あまり頻繁に行うと芋が穴だらけになってしまう。
茹で加減は基本的にお好みなのだが、硬すぎれば皮を剥くのがちょっと難儀する程度、柔らかければぬめぬめとして箸でつかみにくくなる。
個人的にはちょっと茹ですぎたくらいの柔らかめのほうが好み。
茹で上がったあちあちの状態、手で皮を剥いてしょうが醤油でいただいちまいます。
この他のおかずは冷奴におからにサラダに納豆、減量のため今日もヘルシーメニュー。
「きぬかつぎ」
「衣被ぎ」「絹担ぎ」と言われることもあるこの料理、頭に絹をかぶった平安時代の女性の衣装が由来とされている。
サトイモの皮の一部を剥いて茹でるなり蒸すなりした料理。
石川早生(いしかわわせ)という名前の品種の子芋を限定して呼ぶ場合もあるのだとか。
調べてみると旬は秋口。
と言うことは今の時期(春先)に出回っているのは何故だろう?
スーパーには季節に関係なく大量の食材が並んでいるので旬という感覚が薄れてしまっている。
山積された量と値段の安さが唯一のバロメーターになりつつある。
ということは、そのまま茹でるだけではいかんのだにゃあか?
皮の一部分を剥く。
これをやらずして「きぬかつぎ」とは呼べまい。
再び同じものを仕入れてきました。
この状態が「きぬかつぎ」の名の由来でもある。
あとは何も考えずにひたすらゆでます。
皮の一部を剥いてあるために茹でている湯がぬめぬめ。
おお、確かにこの方が皮が剥きやすい。
きぬかつぎの料理法を調べると、味付けは塩だけというものも多いが、個人的にはしょうが醤油の方が好み。
実際には箸でぶっ刺して左手で皮を剥くのだが、箸の使い方のマナーとしてはご法度。
箸の作法の中でのタブー「刺し箸」というやつ。
ところで・・・普通のサトイモの小芋とどこが違うのだろうか?
サトイモの品種は細かく分けるとアジアを中心に200種類以上あるらしい。
日本国内で生産される代表としては土垂(どだれ)、石川早生(いしかわわせ)、セレベス、八頭(やつがしら)、エビイモなどがある。
あるといわれても正直、見ても判らないしどれもふつうのサトイモとして区別はなかった。
特定の品種をきぬかつぎと称するならば理解できるが、料理名だとすると、このきぬかつぎと並んで売られている普通のサトイモで同じような料理は出来るのか?
普通に並んで売られていたサトイモ。
土がついたままの状態。
原産地は書かれているが品種名までは書いてありません。
庶民的には微妙な味の違いはあれどどれもサトイモで、数多い品種は育成方法や収穫時期など産地の気候風土に合わせた品種改良によるものではなかろうか。
流しで丹念に洗います。
見る見る流しが砂だらけ。
洗っても洗っても水は濁る。
さすが千葉県産、土が赤茶色。
関東ロームというやつか?(ほんとうか?)
芋を洗うようとはよく言ったもので、がしがしとこすり合わせてよく洗います。
ようやくきれいになりました。
心なしか皮が薄く、色が青い。
新じゃがのように皮後と食えたりするんかな?
(ジャガイモの青色の皮には毒成分が含まれているらしいので注意。)
皮の一部を剥いてきぬかつぎ状態に。
形の不揃いさが妙に笑える。
大事な実験といういとで、晩飯に連日イモが続いております。
毎日でも全っ然構いませんが。
さっそくいただいちまいましょう!
あちあちあち・・・
心なしか皮が薄い気もするが、同じように楽に皮がむける。
かなり手がイモイモになりますが。
わざわざ「きぬかつぎ」と称して売られていた(旬でもない時期に)のは、売る側の親切心なのかもしれない。