折々のお料理
飽くなき食欲が生んだ料理や食の研究 |
糸こんにゃくでご麺
ラーメンは美味である。
特に家庭で作るインスタント袋麺など、ジャンクな味は塩分カロリー共に中毒性が強い。
いくら大好物のラーメンとて、欲望のままに食していては健康を害する危険がある。
特にカロリーが気になる人は多かろう。
そこでラーメンに似て非なるもの、それで代用ラーメンは成り立つのか?
という古典的ベタなネタにチャレンジしてみよう。
結果を言うまでもないが、すでにこのような試みは当たり前のように存在している。
以前にレポしたラーメンの缶詰は普通の麺ではなくてこんにゃくだった。
まあ誰もが考え付く、あれを家で作ったらどうなるのか。
まあなんだな、いわゆるシラタキというやつだ。
見るからに麺でカロリーが少ないもの、と言えば真っ先に思い浮かぶ。
ラーメンのスープは中華のダシの元、しょうゆ、胡椒、たったこれだけでなかなかそれっぽいものができる。
特に味を濃くすればどこぞで出てくる物に近い味も再現可能だが、これでは塩分も気になる。
家庭で作るラーメンでは、脂や塩分の調節が自由と言ったメリットもある。
こんにゃくだから煮込んでも平気。
できました。
おお、見た目はなかなかそれっぽい。
うむ、食感はかなりラーメンに近い。
麺の表面はつるつるなので、なかなか滑らかな食感だ。
口の中に入り、ラーメンと認識する。
だが待てよ、よく味わうと何かが違う。
いや、これはこんにゃくではないか!?
↑
こうなる前に食ってしまうのだ!
いかにラーメンのように思えるのか、いかに脳が誤作動するかにかかっている。
まあ冷静に味わえばラーメンでないことはすぐにわかる。
わかった上で騙されるのは楽しい。
やはり麺料理としては違和感があるが、スープとしては優秀かもしれない。
なかなかよいではないか。
糸こんにゃく出ました。
正確には糸こんにゃくもしらたきも同じこんにゃく芋原料で製法の違いによって区別されるとか。
しらたきは、固まり切っていないゼリー状のものを、円筒の細い穴からところてんのように押し出したものを湯で固めたもの。
こんにゃくが穴から出てくる姿が、白い滝のように見えることから「しらたき」と名付けられた。
糸こんにゃくは、固まった板こんにゃくを細く切って糸状にしたもの。
なんとなく色の黒いのが糸こんにゃくのような気がするが、この際そこはよしとしよう。
この色、まさに蕎麦。
あっはっはっ!
見た目蕎麦よ蕎麦!
しかも味、食感共に全然違うでやんの!
ラーメンのときもそうだったが、熱々のうちに何も考えずに食してしまうに限る。
違うっちゃ違う、確かに違うのだがフィーリングよこんなもん。
脳が誤作動しているうちに食べきってしまう、なぜか妙に楽しい。
うむ、湯がいて水にさらしてザルに盛ってみた。
何だねこれは?
あっはっはっはっ!
汁の味、ねぎの味、わさびの味、海苔の味、ああこりゃ蕎麦だ。
麺の味は違うんよ、食感もやっぱり違うんよ。
でも多数決で蕎麦と誤認定。
そして訳のわからんうちに平らげる。
まあこんにゃくですからね、癖もなく決して不味いものではない。
このように擬似麺料理にしてもなんら違和感はない。
さて、こんにゃくを使った麺料理は、本来の麺に比べて大幅にカロリーを抑えることができる。
と言うことは、ダイエット食に最適ではないか!?
どうしてもラーメンが食べたくなったときに、このこんにゃく麺で呪いを払拭すれば、大幅にカロリーオフになること請け合い。
ふっふっふっふっ・・・
そうは問屋が卸さない。
断言します。
ラーメンの代わりにはなりません。
たとえば空腹の時、カロリーがまったく無い食物をたらふく食したとしよう。
その時には腹は膨れるので、ほんの一時的に満足はする。
しかしながら体は入ってくると予定していたカロリーがちっとも入ってこない。
これは一大事だ。
せっかく食べ物が入ってきたと思ったら、カロリーないでやんの!
これでは生命の危機だ、もっともっともーーーっと食べねば死んでしまう!
こうしてさらに強い食欲が襲いかかるのだ。
擬似麺は、余裕のあるときの楽しみくらいにとどめておくほうがいい。
(2018.8.12)