折々のお料理

飽くなき食欲が生んだ料理や食の研究

リコリス菓子

リコリスという言葉を調べてみると彼岸花のことが出てくる。
あの秋になると土手やあぜ道によーけ(たくさん)咲いとる赤い花か。

確かにあれを食する習慣はない。
あまり美味しくなさそうな外見と、確か子供のころにだと聞いた覚えがある。
したがって馴染みがないのも致し方ないと納得してしまいそうになったが、どうやらそうではないらしい



リコリスというのはスペインカンゾウというこれまた馴染みのない甘草の根のことで、それとアニスオイルで味付けされたものの総称をリコリス菓子というようです。
つまり、甘味料として使われている薬草、といったほうが判りやすい。
そして気になるのはアニスオイル
これまた調べてみると中華料理で使うスターアニス(八角)とは別物ということだが、両者とも似た香りでアニスの代用品としてスターアニスが使われることもあるらしい。

アニス≒スターアニス

ということはリコリス菓子の味は知っている味ということになる。
八角(スターアニス)は独特の清涼感のある香辛料で、歯磨き粉のような香り。



wikipediaより「リコリス菓子」

日本では人気は低いが、北アメリカやヨーロッパで古くから親しまれ、子供から大人まで幅広い人気がある。食感は飴よりグミに近く、光沢を帯びた真っ黒な色をしている。黒い色は食品着色料カーボンブラックで着色される。グミの様な歯ごたえはゼラチン、光沢は蜜蝋を添加することで出している。米国ではひも状やチューブのように長い製品が多い。オランダや北欧ではサルミアッキのような塩味がありアンモニア臭のするリコリス菓子が好まれるが、これらは塩化アンモニウムで味付けがされている。製造元や地域によっては、グミの様な歯ごたえが無い硬い飴のリコリス菓子も製造されている。

米国、英国、オーストラリアにはレッドヴァインズ(Red Vines)のような赤いリコリス菓子もある。これにはイチゴやチェリーなどのフレーバーが添加してある。liquorice(リコリス)は本来、英語で植物のリコリス(スペインカンゾウ)を意味する単語だが、米国ではリコリス菓子を指す言葉としても使われる。







さて、しぶーのはこのリコリス菓子、サルミアッキにて体験済みである。
世界一不味いという不名誉な称号だが、妙に気に入ってしまったので海外に行った際に大量に買ってきてしまった。

「大人から子供まで幅広い人気がある」というのを裏付けるように、本当に普通に売られていました。




ううむむむ・・・。
いきなり見た目からしてこの微妙な代物は果たして食品と呼んでよいものなのだろうか?

 
中身が少ないのはだいぶ頂いてしまったのです。

グミとしては世界的に有名なハリボー社の製品だし、間違えて食品でないものを買ってしまったというわけでもない。
ちゃんとお菓子コーナーにあったし。
SISAというのはスーパーの名前で、おそらく自社ブランド品なのだろう。




手に持つとちょっとべたべたする。
しかし手にベタベタがつくほどでもない、ごくごく普通の堅いグミともいえる。


見た目以外は。

この手のリコリス菓子は食用カーボンで黒く着色してあるそうだ。
(なにもそんなもので黒くせんでもよいだろうに・・・)
真っ黒なんぞ食品の色とは思えない、と思ったらイカスミや海苔も黒かったのでこれはアリなのか。


匂いは黒砂糖のような甘ったるい匂い。
決して不味そうな匂いではない。
しかしよく嗅げばどこなくビニールのようなゴムのような微妙な匂い。
袋から出ていれば絶対に食品とは思うまい。



しかしこれはどうやって食すればよいのか?



剥がしてひも状にしてかじるのか?
ぐいっと引っ張るとほつれてくるが結構な力が要る。
たぶんコイル状のまま口に放り込むのだろうか。

口に放り込んでも、口どけ滑らかとは程遠く、まんま電線をかじっている感覚。

なんだこれは?

どこななく清涼感のある味はサルミアッキに似ている。
サルミアッキと違い塩化アンモニウムは使われてなさそうなのでアンモニア臭はない。

そのうちに少しずつ溶けてきて苦さと甘さが広がってゆく。

うんうん、結構苦いが味はそんなに悪くないよ(しぶーのはサルミアッキが気に入った男)。

でもこの食感はインストールされていなかった。
脳がなかなか食品とは認めてくれず、最後までパニック状態。
堅くて噛み応えがありなかなか飲み込めないものだけに、しばらくはしかめっ面になること請け合い。

正直この味は口に合いません
いや食感がなじめないのが原因か。





次なるものはこのTABU
ドライブインのレジの横のガムや飴と並んで売られていました。

箱の中にはなにやらカサカサと乾いた細かな粒状のものが入っている音がする。

よく見るとパッケージと箱の間には黒い粉がついている。
大体中の想像はついた。
(箱にデカデカと絵が描いてあるがな。)

なにやら出てきた。

一粒が小さい。
円筒形のものを輪切りにしてあるが、非常に堅く表面はテカテカとしている。
ガラスのような金属のような艶だが、持ってみてずいぶん軽いのでプラスチックのようにも見える。
匂いもほとんどない。

なんとなく判る。
日本人よりもはるかに大食漢のアチラの製品にかかわらず、妙に一粒が小さいということはそれだけ味が強烈ということに他ならない。


一気に広がる黒砂糖のような香り。
どうやらリコリスの香りはこれにちがいない。
そして続くのは恐ろしいまでの苦味
これは半端ではない。


口の中ではいつまでも堅いまま少しずつ溶けてゆく。
まるで消し炭を食べている感覚(消し炭食ったことないけど)。
小さな粒だが結構長い時間広がる強烈な苦味。
この大人の味、これは子供の菓子ではないな。

ビールは苦いし、そう考えればこの苦味も悪くはない。
後味はすっきりして口の中は爽やかだ。
何も知らずにお菓子と思って口放り込むとひどい目に会うが、それなりに覚悟しておけばアリかもしれない。
もしかするとお酒を飲んだ後やタバコの後に口の中を爽やかにするといった目的のある食品かもしれない。




続いてはこのラヱヶロールでんつ

メ○トスのように表面が糖で覆われている。




噛むとやわらかい。
うんうん、甘くて美味。


やがて清涼感があって、その後一瞬だけ脳裏をよぎる・・・これは病院の香りと思った。
やがて広がるサルミアッキ味

これは気をつけないと、中身はしょっぱさとアンモニア臭のあるあのサルミアッキである。
しかしそんなに強烈ではないので「妙な味がする」くらいで食してしまうレベルではないか?
今となってはサルミアッキにもなじんだこの味覚、普通に口に放り込みそうだが、もし何も知らない頃にこの菓子に出会っていたらなんじゃこりゃあになっていた可能性もある。

それにしても後味がオキシドールだ。
これか、一瞬病院と思ったのは。





最後はやはりリコリス菓子の王道とも言えるサルミアッキ
これはフォンランド航空の機内で売られていたもの。
機内販売のワゴンで売られていたわけではなくお土産品のリストに載っていたので聞いてみたら、棚の奥からごそごそと出してきた。

「日本人で買われる方は珍しいですね」とまでいわれたが、この一箱は250gとなかなか大きく結構重い。


ちっ、きれいに開かねぇ!フィンクオリティか?
(オメーが不器用なだけだろ!)

うおっ!びっちり入ってる!

粒も大きい。

 

っつうか、どーすんの!?こんなよーけ!


正直こんなにたくさん食べ切れるのか?
人に配るにしてもまるで嫌がらせになってしまわないか?
もはや知っている人のほうが多いので絶対もらってくれないし、一人で食べきるのに一体いつになるのだろうか?と心配していたのだが・・・。


口に放り込むと妙な甘さ。
思ったよりあのサルミアッキ独特の塩味と苦さとアンモニア臭がしない。


何かに似ている、そうだこれは昆布飴の味と食感に極めて似ている。
うんうんこれは美味いよ。

いや、不味くないよ。

サルミアッキだめな人でもいけるんじゃないだろうか?
もちろん次第に塩味とアンモニアの匂いはしてくる。
しかしこの匂い、納豆の匂いと思えばなんら不自然はない。


なんだ、よく考えれば納豆も見事なアンモニア臭ではないか!
最近は苦手な人用に匂いの少ないタイプもあるようだが、あの匂いがないと納豆として物足りない。


ああ、粘りはないけど納豆納豆




しぶーのが完全にサルミアッキにはまった瞬間であった。





趣味の部屋に戻る

TOP

inserted by FC2 system