折々のお料理

飽くなき食欲が生んだ料理や食の研究

カップ味噌煮込みうどんの比較



名古屋人のソウルフード「味噌煮込みうどん」。
土鍋をつかって調理されたのようにアチアチのうどんは、一般家庭では忠実な再現は難しく、外食ご馳走メニューの一つだ。

この味噌煮込みうどん、普通のうどんとはかけはなれており、名古屋地方以外の人々にはあまり評判はよろしくない。



しかし名古屋民は赤だしみそ汁と同様、ごくごく普通に食するのだ。

特に気軽に楽しめるようになっているのが、カップめんとしての味噌煮込みうどん。

中部地区の人ならば知らぬ人などいないと断言できる「寿がきや」から発売されている、名古屋名物味噌煮込みうどんカップ。
名古屋だしと断言するほどの特徴のある、赤みそにかつお節とムロ節を使ったコク深い濃厚スープ。
いつでもどこでも気軽に、名古屋から遠く離れた異国の地でも味噌煮込みうどんが楽しめる大事な一品だ。


そうまでして食いたいのか?名古屋人。


さて、名古屋人は「全国区だと思いこんでいたが実はローカルだった」というこの寿がきやの味噌煮込みうどんカップ、じつは二種類ある。



某コンビニとコラボレーションされたニューパッケージデザイン。

この不気味なほど目がでかい女の子は、今さら言うまでもなくスガキヤのスーちゃんである。
これがかわいいと思えてきたら名古屋に住む資格がある。

 

どちらも同じものだろうと思っていたが、(減量中なので)気になるカロリーを見たところ356kcalに391Kcal、結構違いがある。

ということはこの2つは別物ということになる。





味が違うのか?





比べてみたところ、麺には違いは見受けられない。

どちらも同じ様に具材の袋と液体スープの袋に分かれている。



カロリーが高いということは、コンビニコラボ商品には何か特別な具でも追加されているのだろうか?
製造コスト的にも最も簡単でよくありそうな違いではあるが・・・。

 

粉末スープと具材にはこれと言って大きな違いは見受けられず。



お湯をかけてみたら、かしわ(鶏肉)だと思っていた具材は実は油揚げだった。
少し損した気分。

 

待ち時間はどちらも5分。

一般的なカップうどんの待ち時間と同じで、その間に液体スープの袋を上に乗せて暖めておくというテクニックは欠かせない。




ただ、普通の一般的カップうどんと違うのはこの液体スープというのが味噌なのである。
(シャレじゃないよ)

名古屋のコンビニでおでん買うと希望者にはこんな味噌つけてくれるんだぜ。(←本当)



液体味噌スープを溶かしてみたところ、これといって違いが見受けられない。

香りはどちらも同じ赤味噌のコクのある香り。

これはどちらも美味そうだ。



おんや?

最初は特に違いが感じられなかったが、混ぜてゆくうちに右(コンビニコラボ)のほうはとろみが増してきた。

 
ストロボによる光の加減で濃さに違いが見えるが、実際にはおおむね同じ色。



麺に絡む味噌の濃度が違う。
片やサラサラとした味噌、片や粘りのある濃い味噌。
微妙に食感が違う。



どちらも魚くさいだしの香りが効いていて美味い。

個人的にはコンビニコラボ商品のほうが濃くて好みか。
(高カロリー=美味、と感じる法則)



というわけで、この2つにははっきりとした違いがあった。



よく見たら「濃厚」とか「とろみとコク!!」ときゃあてあるだにゃあか(書いてあるではないか)。



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そんな中、カップうどんと言えば忘れてはいけないのが東洋水産。


「Smiles for All.すべては、笑顔のために。」
のコーポレートスローガンを掲げ、「マルちゃん」の名で親しまれている有名ブランドである。

会社から送られてこんかな?

んなわけねーだろ。


赤いきつねをはじめとする様々なシリーズを出すメーカとして、カップうどんとの老舗のプライドにかけてラインナップに入っている。

「褐色のかしわ味噌」とかにしなかったのも、全国区のつもりではなく近年のご当地ブームに乗った商品ラインナップだからだろうか。




以前調査した「カップうどんのつゆは関西関東で違う」および「カップうどんのつゆ、境目はどこなのか?」では関東仕様(E)と関西仕様(W)のふたつで比べてみたが、2011年現在さらに九州地方向けの「西向け」と「北海道」仕様があるらしい。




だしの効いた濃厚仕上げ!
つよゴシ麺。

よしよし、基本はしっかり押さえているようだ。

ロゴがなんともい言えん味をかもし出している。



粉末スープのもと(七味付き)、フリーズドライ具、液体スープと分かれている。
多くのうどん製品を作るうえでの合理化によるものだろうか?

さらに麺の上にはフリーズドライ卵も乗っている(実はカマボコも沈んでいた)。



粉末スープと具材を入れたところ。
面倒なので七味も入れてしまった。

斜め切りのねぎが見事である。




待ち時間は同じく5分、フタの上で液体味噌を温めるというテクニックも共通。

スガキヤに比べてほんの少し味噌に酸味が強い気がする、正統派の赤味噌の味。

全体的にとろみがあって美味い。

しかしこれ、残念ながら名古屋でもなかなか手に入らないからなぁ・・・




ついでながら、これも忘れてはならない。

中部地区のスーパーやコンビニなら必ず置いてあるこの袋麺。

やはり「寿がきや」である。


コンビニにあるということは夜中に禁断症状がでた場合でも対処できるという心強さがある。

そうまでして食いたいのか?名古屋人。


パッケージの写真には豪華な鍋や具材が写っているが(調理参考写真といういやつ)中身は袋ラーメンと同じ、麺とスープというシンプルな内容。


こちらのスープは粉末。

 

沸騰したお湯で麺をほぐし、粉末スープを入れてからさらに数分煮込むという独特の方法で作られる。
インスタントながら味噌「煮込み」を再現しようとした寿がきやの努力には頭が下がる。



どんぶりに入れて食す。

(ねぎ追加しました)


よくほぐして茹でても、所々生煮えのように固い。
この固さ加減、本物の味噌煮込みうどんに近づけようとしている感じがよくわかる。

味噌は粉末ゆえにさらさらとしているが、なかなかツボを押さえた味である。



麺は折りたたんだ様子がわかる。

これも工夫の賜物なのだろう。

うどんというよりも細長いダンゴといったほうがしっくりくる。


名古屋人以外にはあまり好評ではない味噌煮込みうどんではあるが、名古屋人にとって不可欠な味であり、これからも需要は続く。

赤味噌はコクと香りが特徴だが、一般的な味噌にある繊細な香りとはかけ離れた濃さがある。
つまり一言で「赤味噌味」としか表現できないほど独特で、香りだの食感だのが吹っ飛ぶほど強烈な破壊力がある。

味噌煮込みはうどんというよりも赤味噌を食するための単なる具材ではないだろうか?


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