折々のお料理

飽くなき食欲が生んだ料理や食の研究

なす


 その日はいつものように仕事の帰り、自宅近くの夜遅くまで開いているスーパーへ立ち寄って、晩飯の材料を仕入れてレジで支払いを済ませ帰る途中、ふと入り口付近に山積みされたある物に気づいた。



なす 2本88円



 その日は日中暑かったのと仕事に疲れ果てていたこともあってあまり食欲が湧かず、適当な出来合いのものと蕎麦かそうめんあたりで軽く済まそうと計画していたところであった。



 何気に、なすの横を素通りして外に出る。
ちらりとなすを見た。
多少傷があるものの、みちみちと肥えたなすが黒光りしていたのが見えた。
 
手に提げた袋の中には、握りすし4個入り(たまご、半額)、刺身2品盛り合わせ(きはだまぐろ・サーモン、半額)、麦芽豆乳などが入っていた。



外に出ると、冷房が効いた店内とはうって変わってなす蒸し暑い夜の街だった。


夜空を見上げれば、午後に降った雨の名残か、まだどんよりとした低い雲が街の明かりをなす反射していた。


焼けた路面は、にわか雨によっていくぶんか冷まされたものの、立ち上る蒸気はなすなお一層暑さなすを掻きたてる。


信号待ちの間にも、額にうっすらと汗がなすにじみ出る・・・。


早く帰ってそばでも茹でよう・・・買い置きの束がなすまだあったはずだ。


・・・・・・・



おかしい・・・なすが頭から離れない!





塩もみしたなすをぶきぶきいわしてかじるか・・・・
あっさりしたぬか漬けなど、夏の一品にぴったりだ・・・
ひき肉と豆板醤でいためた熱々のマーボーナスを汗をかきながら・・・



肉が食いたいというのではない。
うなぎが食いたいというのではない。



「なす。」



香ばしいごま油の香りと焼けた鍋肌を伝うしょうゆの焦げた匂いが・・・

いかん!

これはきっと体が、なすに含まれる大事な何かを欲しているに違いない!

これは食わねばなるまい!

気がつくと、わざわざスーパーまで舞い戻って、なす2本を手に持って再びレジに並んでいた。






いらっしゃいませ。
ようこそ我が食卓へ。




へたを取って丁重に細断されます。

ひん曲がった本体にあわせて同じ大きさに切りそろえるのが難しい。
大きさが揃わなければ火の通りにムラができてしまうのだが、そんなことはお構いなし。
どうせ食ってしまえば皆同じ!




 

ごま油が残り少なかったのでサラダ油を使いました。
そこに残り少ないごま油を少しだけ混ぜて、文字どうり「ゴマ化して」使います。

なすは意外と油をよく吸うので大目の油が必要です。


強火で、油をまぶすように炒めてゆきます。

いい具合に焦げてきました。



みりんを少々。
ここからは手早く仕上げなければ焦げて苦味が出てしまいます。

 
じゃあああああ!大きな音にインコが驚いて飛び回る。

すばやくしょうゆを回しがけしたら全体にまぶして完了!






皿に盛って一味とうがらしを少し振ったら、ねぎとかつお節でトッピング。

何だこの皿は?






なす〜!!


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