折々のお料理
飽くなき食欲が生んだ料理や食の研究 |
お玉の柄
我が家の台所には二つのお玉がある。
大と小の二つなのだが、一つは学生時代からのずっと愛用中のもの。
もうひとつも同じく持ってはいたが、しまいこんでいてほとんど活躍していなかったものだ。
たまたま汁物が重なった時に引っ張り出してきて使用する程度で、新品同様の状態で眠っていた。
小さいお玉というのは当然ながら一回のすくう量も少ない。
味噌汁とか、おわん一杯分に達するには何度かのアクションが必要だ。
ところが無精者しぶーのの考えでは回数が少ない方が楽である。
出来るだけ回数を少なくしようと、一回あたりの容量を多くチャレンジする。
すると決まって少しこぼれてしまい、余計なお掃除をすることになる。
結果、楽しようとして手間を増やしているだけのような気がしてきた。
お玉は大きい方がいいに決まっている。
(限度はあるが)
しかし何故に普段から小さい方をメインに使用し、この大きい方を避けてきたのか。
それはこの大きい方のお玉が新品同様だからだ。
こっちの小さい方のお玉は長年の使用で磨り減り、角が取れて丸くなっている。
つかんだ時に手になじみ持っていて心地よい。
大きい方の柄はまだ角が立っていて、微妙に指に食い込んで嫌な感触がする。
この部分の角が気にいらねぇ!
たったこれだけのことで使用するのか疎かになり、結果としてほぼお蔵入りの状態になっているのだ。
だったら削ってまえばよい。
そうじゃそうじゃおおそうじゃ!
削ってダメージ加工してしまえばよいのだ。
かつてお好み焼きのてこを買った時、まず行なったこと。
@ヤスリでへらの角の部分を削り丸くした。
A柄の部分の木もサンドペーパー手になじむように削った。
B新品の鏡面艶出しをスチールウールで艶消し仕様にした。
かくしてダメージ加工された道具は手になじむ形状と使い込まれた風格を備え、ようやく我が家の一員となった。
というわけでこの柄も削ってしまいましょう。
レトロな花柄はいかにも昔のデザインといった風貌。
ヤスリで角の部分を容赦なく落としてしまいます。
何度か削っては磨いているうちに花柄が消えかかってきたので結局全部削ってしまいました。
柄の絵柄が消えてしまった。
誰がうまい事言えと・・・。
というわけですっかり風格を身に着けた(長年眠っていた)新しいお玉は我が家のメインお玉に就任いたしました。
やはり大きい方がキャパがあり、結果としてよそう回数もこぼす回数も減り楽が出来る。
このことに気がつくまで約25年の歳月がかかった。
大は小を兼ねるともよく言うが、それでは何故最初に大きいお玉を使わなかったのか?
それは小さな下宿の狭い流しだったので、できるだけ小型のものでまとめようという経緯がありました。
(2016.11.6)