折々のお料理

飽くなき食欲が生んだ料理や食の研究

豚肉の切り落としを極める!?



スーパーで売られている豚肉の切り落とし

いわゆる細切れ、通称豚コマというやつだが、不揃いなのを除けば安くて旨い肉だ。




独立した部位を切り取った端の部分、切り落としには部位が混在していることもある。



例えば同じロースの切り落とし

片や脂身が多く、片や赤い部分がほとんどだ。

このように切り落としの肉の中には色々な部位が混在している。
言わば玉石混合だ。



幸いなことに近所のスーパーの肉売り場では、このように部位ごとの切り落としが売られている。



ということは、豚肉の部位と肉のランクの違いが判れば、数ある切り落としのパックの中から最も自分好みのものを選ぶことだって可能ではないか?





まずは豚肉の部位のお勉強から始めますか。



正直に白状しよう。

今まで「豚肉なんぞどの部位も同じだろ」ということで、その違いなど考えたこともなかった
焼いたり煮込んだりと、料理によってその形状や脂身の分布といった形の違いくらいしか気にしていなかった。



しかし体の機能に違いがあるように、部位によって味は同じはずはない。




お肉といえばハム屋さん

日本ハムのサイトにある画像と説明を引用してみた。

・・・・・・よく運動する部位なので、肉のきめがやや粗く、少しかためで赤身の多いのが特徴です。
煮込料理に適しています。長時間煮込むと、コラーゲンたっぷりの旨味が出ます。

肩ロース・・・・・・赤身の中に脂肪が粗く混ざり、豚肉特有のコクと香りがあります。
ひき肉、角切り、薄切りなどでいろいろな料理に利用されます。しょうが焼きや酢豚にも適しています。

ロース・・・・・・肉のきめが細かく柔らかい部位で、適度な脂肪が特徴。脂肪に旨味があるので取り除きすぎないようにします。
ポークソテーやローストポークのような料理に適しています。

ヒレ・・・・・・肉量が少なく貴重な部位で、豚肉の中で最上の部位と言われます。
脂肪が少なく淡泊な味なので、トンカツやソテーなど油を使った料理でおいしく食べられます。

バラ・・・・・・肉質は柔らかく、赤身と脂肪が層になっています。
骨付きはスペアリブと呼ばれ、バーベキューで楽しまれます。
また角煮や焼き豚などの煮込み料理や、薄切りにして炒め物にするのにも適しています。

モモ・・・・・・筋肉の多い赤身の代表的な部位です。
全体的に脂肪が少なく、肉質はきめ細やかでやわらかい。
塊のままローストポークにしたり、焼き豚にもおすすめです。
よりお尻に近いそとモモは、肉質がかたくきめがやや粗いので、薄切りにしたり小さくカットして豚汁にするとおいしいです。

ほう、

ほう、ほうほうほう?

判ったよう判らないような・・・。

(それにしても説明文だけでも旨そうだ。)


このうち切り落としに良くあるのはヒレを除いた部分。


モモ切り落とし

モモ肉おさらい・・・・・・筋肉の多い赤身の代表的な部位。全体的に脂肪が少なく、肉質はきめ細やかでやわらかい。
塊のままローストポークにしたり、焼き豚にもおすすめ。
よりお尻に近いそとモモは、肉質がかたくきめがやや粗いので、薄切りにしたり小さくカットして豚汁にするとおいしい。


何やら色もまだらで、いろいろな質の部位が混じった、これぞ切り落としといった模範のようなパック。



モモ肉は脂身と赤身が分かれている。

赤身の中でも特に色の濃い部分があり、魚で言うと血合いのような部分か。



焼いて味を確かめることに。

サラダ油を引いてそのまま火を通します。
味付けはまったくせずに試食。



何も味付けせずともほんのりと塩味はする。

血合いの部分(本当は何というのか不明だが)は、いわゆる獣の味だ。
食感も固く味も濃くワイルドな旨さがある。



赤身の中でも色の薄い部分は味も香りも淡白でシーチキンのよう。
味をつけないとパサパサだが、とてもヘルシーな感じがする。



反して脂身は口の中に広がる脂の感覚。
脂の味というより脂で舌がコーティングされる感覚だ。


これがいわゆる豚肉本来の味なのか。


野生のフィールドで豚を捕まえてそのまま食したワイルドな味というわけだ。


 豚 = 家畜 → 野生にいない



味付けをしないそのままの味はよく判るのだが、やはりいつもの感覚から物足りない。



即座に第2弾、同じような部位を焼き、今度は醤油をたらして味付けをしてみた。

うはははは!

モモ肉うっめぇ!


・・・。


気を取り直して次。
(フライパンは洗った)



こちらは純種のロース肉。

脂身と赤身がはっきりしており、ローストンカツの薄切りといった風貌。

豚肉の中でもちょっと高級な部類である。

見るからにしょうが焼きにでもしたら美味そうだ。


これは切り落としではない

切り落としを完全攻略するのに、いわゆる純種の肉を理解しておくのも悪くない。

食いたかっただけとも言う。





予想通り、赤身の部分は固い。

赤身の部分は歯応えがありぎゅっと旨みが凝縮した感じ。


脂部分はプルプルと柔らかく・・・

と、何とも当たり前のレポしかできていないことに気づく。


まあ、なんてったって豚肉ですもの。
いつもの。





肩ロースの角切りを用意しました。


肩ロース肉おさらい・・・・・・赤身の中に脂肪が粗く混ざり、豚肉特有のコクと香りがある。
ひき肉、角切り、薄切りなどでいろいろな料理に利用。しょうが焼きや酢豚にも適している。

脂身と赤身がはっきりしているもの、全体に脂がはいったものがあります。


これも切り落としではない。


要するにカレーに入れる肉を焼いて食ってしまいました、ということだ。

脂身と赤身がはっきりしてるものは固い食感、サシが入ったものは柔らかい歯応えで美味。
前者は煮込み料理に適しているようだ。


脂の部分は時間を掛けて火を通すと表面が焦げてカリッとして美味。




肉の脂身を食すると脳内麻薬が出るといわれている。


快楽物質である。


旨いものを食する = 幸せ

これは生命活動の根本のようなものだ。

脳のお味噌が、生きてゆく上での必要なエネルギー源を強く求めるようになっているのだ。

食べ物の手に入りやすい現代では、摂り過ぎの方が深刻だが。




こちらは肉切り落とし


肩肉おさらい・・・・・・よく運動する部位なので、肉のきめがやや粗く、少しかためで赤身の多いのが特徴。
煮込料理に適している。長時間煮込むと、コラーゲンたっぷりの旨味が出る。


脂の多いところと少ないところがある。


焼くとかなり縮んだ。

筋肉の繊維が横方向に走った肉は加熱によりよく縮むとか。
対照的に純種のロース肉は筋繊維が輪切りになった状態なのであまり縮まない。


脂が多い身は柔らかく、赤身の部分は固い。

つうか食感は違えど、味は同じだ。


美味だ。


レポになってねぇ!





ロース切り落とし


ロース肉おさらい・・・・・・肉のきめが細かく柔らかい部位で、適度な脂肪が特徴。
脂肪に旨味がある。ポークソテーやローストポークのような料理に適している。



純種のロースのように脂身と赤身がはっきりしているもの、バラ肉のように層になった部位もある。



予想するに、肉の図ではロースとバラの間にヒレ肉があるが、実はローストバラは隣り合っており、その中に少しだけヒレ肉が入っている、と考えてよさそうだ。

広げて炒めると、脂身の多い部位は縮み波打つ。

焼肉のたれと一緒に炒めれば凹凸の細部まで味が絡み、さらに凸の部分が焦げてアクセントとなる。



ロースうめぇ!





海外のお肉屋さんでは、これらのような薄切りの肉は売られていないらしい。

なので日本式の料理をしようとすると、肉の薄切りをする必要があり苦労するのだとか・・・。


バラ切り落とし


バラ肉おさらい・・・・・・肉質は柔らかく、赤身と脂肪が層になっている。
骨付きはスペアリブと呼ばれ、バーベキューで楽しまれる。
また角煮や焼き豚などの煮込み料理や、薄切りにして炒め物にするのにも適している。


三枚肉とも言われ、脂身と赤身が明確に層になっている。



薄切りのバラ肉は火を通すとご覧のように小さくなってしまう。

味をつけずに食してみると、正直キツいものがある。

育ち盛りの食意欲旺盛な子供なら大好物かもしれないが、淡白な味に目覚めた中年にはちょっと脂が多すぎる。




醤油でかるく味付けしてみました。

肉が縮んだ分、しょうゆがしっかりと絡むので美味だ。
しょうゆのこげがアクセントになって脂っこさを打ち消してくれる。



うん、バラ肉うめぇ!



このままさらに弱火で加熱し続けてカリカリベーコンのようにするとものすごく美味なのは知っている。

また、湯がいて脂を落としてポン酢をかけた冷しゃぶなど最高ではないか。




売り場にある切り落とし肉を満遍なく一通り食してみた。




豚肉の特徴として、赤身の部分と脂身の部分が分あり、赤身の部分は固く、脂身は柔らかい。

たまにあるサシが入った(霜降りになった)部位は赤身肉でありながら柔らかくて美味だ。

ロースのようにはっきり分かれている部位もあれば、バラのようにまだらな部位もある。


部位を選んで、焼いてよし、炒めてよし、湯通しよし、鍋にもよし。

固い部分でも煮込み料理に最適だ。



というか、結局どの部位も同じ感想ではないか?




結論!

豚肉うめぇ!



まあ、これらの肉は同じ肉屋のパックなので同じ豚もしくは同じ種類の肉の可能性が高い。
部位が違えども同じような味になってゆくのは当然のことかもしれない。



というわけで、これからも今までどおり、部位の違いなど気にせず買うことになった。
気にするのは「脂身の多さ」くらいか。


(2017.11.22)


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