折々のお料理

飽くなき食欲が生んだ料理や食の研究

冷蔵庫が壊れた


冷蔵庫が壊れました。


よりによってこのクソ暑い夏真っ盛りの時期に。
いやいや、電化製品など得てしてそんなもので、負担の大きい時期だからこそ壊れたのだともいえる。

幸いにして我が家はすぐ近所にコンビニやスーパーがあるので食料品の大量の買いだめの必要がなく、この単身用の小さな冷蔵庫で事足りてきた。
そして外食する場所も多いので、本当にいざとなったら自炊すら必要の無く餓死する心配は無い。



さて、ここから数日間どうしようか?



新しい冷蔵庫を買いに電気屋に走りたいところだか、不幸にも仕事が立て込んでいて時間が取れるのは一週間後。
それまで冷蔵庫の無い生活を余儀なくされた。




突然訪れた冷蔵庫の故障。


食べるものに困ることはないのだが、困ったことは食べるもののことである。(← !?)



そう、いくら小さいといえども、冷蔵庫内にはいくらかの食料を備蓄している。
これらの野菜類、肉類、冷凍食品等、数日中にすべて消費しなければならない。



しかし、考えてみれば日ごろ電気の便利さにどっぷり使っていて、電気なしでの生活は考えられないほどになっている。
この電気に支配された文明生活で、災害や停電などでひとたび電気が奪われた場合に、その影響は計り知れない。

これはある意味都市サバイバルのシュミレーションとなりうる。




さて、冷蔵庫の電気が落ちた場合、まず冷凍庫の中のものが溶けてくる。
今回の故障もこの冷凍庫の解凍水が漏れ出てきたことで発覚した。

溶けて水の出るものはすべてバットや皿に乗せ冷蔵庫に移動、冷気で少しでも延命させるとしよう。
開け閉めは出来るだけ避け・・・とはいうものの、普通に調理をしようとすると材料調味料合わせてどうしても開け閉めの回数が増えてしまう。




ひとまず対策を立ててから改めて故障の状態を確認する。
カチッと音がして電源は入るのだがどうやらコンプレッサーが作動していない。
裏のモーターに触ると凄い熱を持っていて、素人的にも完全に故障しているのがわかった。




さて、夫婦二人では一度に食べ切れる量などたかが知れている。

実際になってみて判ったが、電源の落ちた冷蔵庫は思ったほど保冷効果が無い
停電などで締め切った状態でもせいぜい4〜5時間程度ではないだろうか。
この真夏の最中、どうがんばって保存してもリミットは48時間

近所に知り合いでもいて冷蔵食品の避難所でもあればいいが、近場に知り合いがいない。
仕方がない、すべて消費することにしよう。


野菜類はちょうど買い置きが減っていた頃なので残りは微々たる量、なんとかなった。

問題はこの山盛りの枝豆
冷凍の枝豆を常備しておき、毎日少しづつ楽しんでいたものだ。

思いっきり2袋分、これも何とせねばなるまい。

ぷちぷちぷちぷち、流しで皮をむくことひたすら。
口で受け止めるのと違ってあらぬ方向へと飛ぶ。
そして意外と強く押しつぶす必要があり指が疲れる。

ようやく全部剥けました。
もうしばらく無限エダマメなんか見たくもないぞ。



この日の夕食は山盛りつけ麺、山盛りシュウマイ、なめこのみそ汁、えだ豆、マフィン、野菜サラダ。

栄養バランスや組み合わせなど考える余裕などない。
とにかくこの先の食事で、どうやって効率よく消費するかにかかっている。



いくら好物とはいえ、さすがにご飯の代わりに「主食枝豆」はきつい。
残った枝豆はスープにでもしてしまおうか。



ちょっとやそっと煮込んだくらいではドロドロにはならず、薄皮と中身が分離して妙な出来映えに。

かといってこの暑い中更に煮込む気にはなれずちょっと後悔。



さすがにこの暑い夏場、冷たい飲み物が何も無いというのはきつい。
近所のコンビニや自販機ですぐに手に入るのだがこの室温ではすぐに温まってしまう。

保冷水筒に氷水を作り暑さを凌いだ。

正直これにはかなり救われた。



肉類、卵は食べ切れなかった分はせめて火を通してから保存。
クーラーボックスに移し替えて氷でも入れておけばもっと持ったのかもしれないが、そんなことをする暇も無く常温になってしまった。
このままでは恐らく半日ほどで完全に微生物にいただかれてしまうだろう。

とにかく生のままではそう持つまい。
とりあえず火を通す。
卵はゆで卵にした。

 

ソーセージとベーコンとシュウマイと卵がぎっちりのおかずボックス。
およそ育ち盛りの子供ならば大喜びしたであろうスペシャル脂脂弁当、これと(すっかり溶けた)冷凍のグラタンという弁当昼食は夜まで満腹感が続いた。

どんなに大好物でも山盛り積まれては食べられない。




調味料関係も大量に出てきた。
こんな小さな冷蔵庫なのに奥のほうはすっかりカオスとなっており、狭い冷蔵庫を更に狭くして使っていたことが判明。
ある意味整理するのにちょうどいい機会となったかもしれない。

処分するものは処分、残りはビンを綺麗に洗って常温保存。

本来いるべきところではないので妙な違和感。
ただでさえ暑いのに、冷蔵庫が使えない状態でガスを使った調理をする気にはなれず。





この冷蔵庫、今をさかのぼること二十数年、学生時代に人から譲り受けたもの。
そこから一日も休まずに我が家で稼動してきた年代ものである。


扉が開放された状態。平常運転中ならば考えられない光景。


今ではすっかり我が家の生活の中にはまり込んでおり、その一角に違和感はない。
いつもそこにあり、開ければ必ず冷えており、その仕事っぷりに疑問を感じたことも無かった。
失ってみて初めてわかるその大切さ。
もはや冷やす能力を失った冷蔵庫はただの箱ではあるが、この箱には長年の思いが詰まっている。


磁石も例外なく張り付いている。


非常に美味だったので忘れまいとして貼っておいたパッケージ(今は無き雪印食品!)。





常温になった冷蔵庫からはすでに微生物の活発化した臭いがしてきた。
長年の使用で相当汚れているが、せめて最後にきれいにして葬ってやろう。

 


今や家電は古いものを修理するよりも新しいほうがエコな時代だが、まだ生きているものを処分するのは気が引ける。
最後まで我が家の大事な大事な食品庫として活躍したことに誇りを持って成仏してくれ。

捨てるものなのに内部を除菌。
最後までお前は立派な冷蔵庫だ。



中も外もすっかり綺麗になりました。
せめて活躍中に奇麗にして欲しかった、そんな声が聞こえる。
聞こえん聞こえん。

長年の汚れは完全には落ちないが、オプション装備品(磁石など)を外し新品同様、こんな姿で我が家に来たのだ。
引越しの時(近所だったので業者を頼まず)にはこいつを抱えて夜の住宅街を歩いた。






主を失った場所にぽっかりと開いた空洞。
心の隙間のようである。
なんのこっちゃ。
改めてその隙間の小ささから、我が家の冷蔵庫が小型なのを痛感する。






とりあえずその場所にはまって冷蔵庫の気持ちになってみる。




古い冷蔵庫は電気屋に引き取ってもらうのに結構な金額がかかる。
リサイクル法なので仕方が無い。
電気屋曰く、メーカーによっては更に高額になる場合もあるらしい。
格安の海外メーカー品だと、買うときには安くても廃棄す時に泣きを見るかもしれない。





かくして我が家に届いた真新しい冷蔵庫。
在庫が無くて店頭展示品で少々キズありだが気にしない気にしない。

お目当ての白色がなかったのが残念(白物家電なのに)だが、実際に設置してみるとこの色もいい感じ。
う〜ん、未来だ。


これで晴れて自宅で冷たい飲み物も保存できるし氷も作れるし生ものを買って帰ることが出来る。
ごく普通の生活に戻っただけなんだけど、この便利な生活には感謝しなくちゃなあ・・・。

新しい冷蔵庫の就任式典の後、再び結成されたブレーメンの音楽隊状態。
前よりもちょっと標高が高くなりました。

我が家では新しいものを使用する際にしきたりがある。→やかん式




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