ハンガーの修理


物はいつか必ず壊れる。

壊れたら直す。


そして世の中には、直す価値のないものがある。




電気製品の修理など、大抵買った方が安い

最近の家電は分解しても基板の上に集積回路がポチポチなので中身総入れ替えしかないこともしばしば。

部品代290円、技術料9,800円、送料1,500円のようなこともザラである。



さて、本日修理にチャレンジするのは・・・。



プラスチックのハンガーである。

踏んじまったとか。


どこにでもある、安物の、わざわざ直す価値もないものだ。

しかしだ、壊れたら即ごみ箱へポイというのもエコでないし、物には愛着が沸く。

直す手間とかコストとか、世の中損得ばかりでははかれない。


と言うわけで、直せるものならば自分でチャレンジしようと言う魂胆だ。



どのように修理するか?



元のシステムをそのまま故障箇所を修正するか、仕組み自体を変えて使用出来るようにするか?

つまり折れた箇所をなんとか接着するか、下からネジ止めなどの別の方法に変えて直すか。




断面は狭く、よほど強力な接着剤でもない限り家庭レベルでは難しい。

業務用のプラスチック専用のリペア接着剤などを使えばできるのかもしれないが、手持ちがない。

かといって大枚叩いて新たに入手することも本末転倒だ。



中空にして補強の鉄芯を通して接着することに。

元のプラスチック程度の強度が出せればOKだ。


熱した目打ちで下穴を開ける。

台所での作業はガスはあるし換気もできるし流しもあるし、最も効率がいい。




ううむ・・・。

すっかり老眼になったしぶーのには手元が全然見えんのよ。




中心がずれないように気をつけながら、ドリルで徐々に大きくしてゆく。



中に入れる補強の鉄芯はネジ。




反対側も同じように、ネジよりも少し大きな穴を開ける。

 

六角ビットホルダーが大活躍。




ネジの頭をカット。




エポキシ接着剤で隙間を充填、はみ出した分はアルコールで拭く。

時々画面の左隅に写る毒々しい色の液体は調味料ではなく、窓辺で育てているバジルの液体肥料。




ここで接着の極意。

やってはいけないこと。



どこまでしっかりと接着できたか確かめてみる。




過去に何度、確認のため負荷をかけてみて壊したことか。








折れました。

接着箇所が曲がっていたので、直そうと思って少し力を加えたら見事に折れました。

ドリルで中空にしたプラスチックなんぞストローみたいなもんだから、充填した接着剤が固まらないうちはほんの少しの力でも折れる。


妙に納得してしまったりして。



感心している場合でない。




幸いこの部分は引っ張り強度だけ保てればよい場所なので、さっきの接着剤が固まる前に追加で接着。

曲がりを矯正しつつ固定、このまま24時間放置。




24時間後。




どうやらしっかりくっついたようです。

本当に接着されているのか、試してみたくなる心をぐっとこらえる


シリコングリスを塗って、ハンガー上部からバチンと押し込めば完了。



のはずだったのだが・・・。



ひゃーらん。
(入らん)



なんで??




よーーーく見ると、プラスチックの切れ目の間になにやら接着剤らしき物が充填された形跡が。

つまりこのハンガー、組み立てた後に、抜け防止のために接着剤を流し込んである。



なかなか芸が細かいではないか。



のこぎりで慎重に切れ目を再現してゆく。




さあこれで、心置きなく上からはめ込めるぜ!

その後は下から接着剤を塗った爪楊枝のくさびを打ちこんで、広げた状態で固定すれば万事解決めでたしめでたしだぜ!





いえーい、折れたぜ。

まあ、プラスチックに切れ目を入れて無理矢理広げれば折れるわな・・・。




結局下から折れたパーツを接着して、抜け防止にしました。

最初から長いネジで固定するなどすれば早かったかもしれない。




しかし、色々試してみて判ることもある。

予想通りに行かないことも多い。


完成した物といえば、昨日までふつーに使っていたただのハンガー。


さんざん時間と労力をかけて、取り戻したのはただの日常


まあ、楽しかったのでよしとするか。

(2021.5.3)


趣味の部屋に戻る

TOP

inserted by FC2 system