葦毛湿原
♪ 夏がく〜れば思い出す〜はるかな尾瀬〜遠い空・・・
(江間章子作詞 中田喜直作曲「夏の思い出」より引用)
今年もやってきました、夏!
暑さの苦手なしぶーのにとっては少々酷な季節であるが、こんな時期には豊かな自然のを愛でるに限る。
都会の喧騒を離れ、雄大な自然に囲まれた高原の尾瀬の景色はまたひとしお。
え?違う?
そう、ここは東海のミニ尾瀬と呼ばれる葦毛(いもう)湿原。
愛知県の豊橋市の東の山沿いにあり、豊橋市内から車でおよそ15分。
市街からもわりと近い。
やってまいりました、葦毛湿原駐車場。
湿原まではここから歩いて750mあるらしい。
案内板に何故かいくつもの杖が立てかけてある。
誰かのものというよりも、ご自由にお使いください状態。
ふと嫌な予感が走る。
わざわざ杖があるということは、もしかするとここから750mは結構きつい山道なのではないのか?
だがどこの案内にもそんなきつい道だとは書かれていなかった気がするので、気を取り直して進む。
しかも杖なしで。
歩きやすい森の中の道を進む。
この日は薄曇りだったせいか鬱蒼とした森の中は結構暗かった。
時折虫がぶんぶんと顔の周りに寄ってきたが無視した。
湿原入り口らしき広場に出た。
ここから広い平原が広がっているかと思えばそうでもない。
森の中なのでまずはにも見えない。
おお〜懐かしいなあ〜ゴミゼロ運動!
530でゴミゼロってか!!
これは昭和50年にここ豊橋市で始まって全国に広まった運動で、まさにこの葦毛湿原近辺のゴミ問題から始まった運動らしい。
運動が始まった数年後、奥三河の小学校へ通っていたしぶーのはこの運動のことを知ることとなる。
一般公募から決まったこの530運動の名称とそのステッカーは小学校の教室で配られた。
たしか丸い図柄に530と描かれたシールだったと思う。
シールを配った担任の先生はニコニコ顔でクイズを出した。
「さてこの530は何と読むでしょう!?」
我々は当時小学一年生、「ゴミゼロ」などと駄洒落を楽しむ余裕など全くなく、全員が「ごーさんぜろ」「ごーさんれい」「ごひゃくさんじゅう」しか出てこない。
挙手してボケをかますお調子者もおらず、次々に指名しても一向に答えは出てこない。
やがて先生は不機嫌になり、順番に児童を指名して
「ごーさん・・・」
「違うっ!」
「ごひゃく・・・」
「つぎっ!」
もうそこには恐怖しか残っていなかった。
すっかり怒り口調で聞かされたゴミゼロ運動の説明に児童たちは
「なんだそのつまらん駄洒落は。こんなもんで怒られていたのか。」
と思った。
そんな出来事も良い思い出・・・。
さて、尾瀬といえば木道。
足元には水が流れている。
湿原入り口広場からは森の中を進むが、やがて森が開け雄大な景色が広がる。
おおっ!いかにも高原の景色!
遠くに見える山々、広がる湿地平原、その中に通る木道、まさにここは尾瀬ともいえる。
(しぶーのは尾瀬に行ったことがない。)
湿原というから平野かと思っていたが微妙に斜面になっている。
木道の下にはにじみ出る水が。
懇々と沸き出でる清水という感じではない。
木道の上にはトカゲが日向ぼっこ。
歩いているとちょろちょろと逃げてゆく。
さっき通った道を引き返すとまた逃げてゆく。
人がいなくなるとまた出てくる。
湿原独特の植物や動物がいるのか、屈んで写真を撮っている人がたくさんいた。
狭い範囲だが、見渡す限り森と山。
東海のミニ尾瀬というにふさわしい、こじんまりしたよい場所だ。
結局杖を使うほどの険しいコースはなかった。
例えばこの先に東海自然歩道などの登山道がつながっているのでは?と思ったが、どうも山の上にはNHK中継地点があるだけのようだ。
往復およそ1.5km、時間にしてのんびりと1時間程度。
特に険しい道もなく、四季の動植物に触れながらお年寄りが気軽にウォーキングを楽しむコースとして人気の場所のようだ。