女夫岩


日本全国には数多くの夫婦岩がある。
めおといわ、ふうふいわ、めおといし・・・呼び名は多少違えども、そのコンセプトは共通している。


夫婦は家族の基本であるし、生産の象徴であり、2つセットになるものは何かと夫婦と呼んで信仰の対象としてきた歴史がある。







夫婦岩と言えば全国的に有名なのは三重県の二見ヶ浦にあるやつ。

他に岩があるのに何故この二つが夫婦にされているのか少々疑問。
大きさも随分違うし。

ここは夏至の日前後に二つの岩の間の間から日の出を拝むことができ、背後には二見興玉神社(ふたみおきたまじんじゃ)がある。






2009年5月。

一泊二日の中津川キャンプ&ライブは両日とも激しい雨に見舞われた。




雨は好きなので気分が滅入ることもなく、楽しい宴会および演奏が出来たが、帰りしなに寄り道する観光地への制約が出てくる。


轟音を立てて流れる川。
まさに大雨。




会場へ向かう道中、道端に女夫岩の看板があり、気になっていたので帰りに寄ってみました。


Yahoo地図より中津川市駒場周辺の地図


ここ中津川にある「めおといわ」は、夫婦岩ではなく女夫岩



夫婦(ふうふ)と言う読み方は、夫も婦もどっちも「ふ」なので妙な違和感を感じたことがある。
鳥取県が「鳥を取る」のか「取る鳥」なのか一瞬判らなくなるような感覚。

それからすると「めおと」という言葉は、本来は女(め)夫(おっと)という組み合わせが最も自然かもしれない。
夫人といえば女のほうを指すが、夫という言葉の意味的には男のほうを指す。
夫の人、いかに夫婦ひとくくりで考えられてきたことか。







案内に沿って道を曲がりそのまま進むと、かなりの確立で迷う
なぜならその後、たどり着くまでに女夫岩の案内看板は一つもないからだ。

前日からの雨で川が随分増水していた。
確か去年の記憶では澄んだ水がサラサラと流れる穏やかな川のはずだったが、この日は轟音を立てていた。

女夫岩はこの川沿いの桃山公園というところにある。
この公園内には子ども科学館があり、そこの案内は出ているのだが、知らないとたどり着けない。







さて、中津川の女夫岩は街中の整備された公園の中に鎮座ましましている。

奥に見える子ども科学館のわくわくドームにも興味はあったが、真昼間におっさん一人で行くのはなんとなくはばかるので別の機会にしよう。




自然の景勝地を想像していたが、あまりに整備されているので少々戸惑う。

こんな公園にそんなものがあるのか?


ん?

奥のほうに何やら大きな岩が見える。




ふと横を見ると立派な便所があった。

なかなか見事なピクトグラムだ。
無機質なマークが書かれているよりも粋ではないか。




雨脚が強まる中、傘を差して近づいてゆく。

やはりあの大きな岩がそれのようだ。
三重県の二見ヶ浦の夫婦岩のようにゴツゴツしているイメージだったが、想像していたのよりも随分丸い


看板が立っているが、これはなかなか、達筆すぎて・・・





大小二つの岩が寄り添う姿がまるで夫婦のように見えるのか?

いや、この妙な丸まり具合、これはもしや・・・







もしや・・・







うわああああああっ!

そのまんまやないけ!

これはもう、最初に見つけた人も即座に思ったに違いない。


そしてなかなかでかい。
大きさ比較に傘を並べてみました。

おかげでずぶ濡れ。





自然界にこんな岩が見つかれば、当然人間は対になるものを探してしまう。

夫婦セットで信仰の対象にしてしまうのがおめでたい。





そしてそのまま目線を左にずらすと・・・

何と都合のいいことに同じ様な巨岩があるではないか!





ということは、ということは・・・





さすがにこれはいかんでしょう。




こんなものを健全なこのサイトに載せたらPTAから総攻撃、それこそ削除の対象になってしまうのではないか。



いやいや、これはただの石なのだ。

隣には子ども科学館もあり、天気のいい昼間なら子供たちの笑い声が絶えない、整備された公園にある。
明るく健全な場所なのだ。

隠すからそこに煩悩が生まれてしまう。
あくまでも自然の姿が基本!




・・・・。






↑男の岩           女の岩↑

男の岩と女の岩はほんの数メートルに隣接しており、向かいには社が立てられていた。
やはり信仰の対象となっているようだ。

公園内を見渡すと他にもいくつか大きな岩が見える。
それにしても都合よくこの二つが寄り添ってあったものだ。






子どもも遊ぶこの公園にでかでかと性器があるというのもすごい。
男のほうは見ただけでちそちそと判るが女のほうはどこを表しているのか?
質問されたら親はどう答えるのだろうか?



一応柵があって入れないようになっているが、やっぱり子どもは乗って遊んだりするんだろうか。
それともあの岩だけは登るなと大人たちに言われているのだろうか?


いつしか子どもは物心つき、その岩が何の形をしているか気付く時が来る。
そしてその対が何を意味するのか理解する時が来る。






社の前には梅の木があり、足元を見ると何やら看板が。

「女夫梅」

学術名ではなく通称で、2つの実が寄り添うさまがまるで夫婦のようなのでこう呼ばれているらしい。

どれどれと見上げてみる。
こんな時は得てして実際には季節外れで実物を見ることが出来ないということが多いが、幸運なことにたくさんの実が生っていた。
葉の間にある実を確認すると、確かに寄り添うようにある。
2つセットとは限らなず3つのところもあったが。






雨は弱まる気配もない。
若干の風のある中、傘を片手に写真を撮るのも苦労した。





先ほどの達筆な女夫岩の看板の裏側には由来が書いてある。

やはりあの二人か!

男女の関係は古事記にまでさかのぼる。
まあ、人類の営みの原点であり、すべての生命に共通する基本ですからねえ。



天気がよければ優雅に芝生でウクレレでも弾いてくつろぎたいところだが、いかんせんこの天気ではそれどころではない。
日曜日だと言うのに公園内には他に人影もなく、足早に女夫岩を拝むと撤収。

駐車場に戻るのにトンネルがあった。


道路をくぐるだけの短いトンネルだが、妙な仕掛けがある。

 

人が通るとセンサーでスイッチが入り、ちんころちんころと怪しげなオルゴールと壁には星座に配列された明かりが光る。

しかし短いトンネルなので中は明るく、あまり萌えませんが・・・。




さて、女夫岩も見たし車に戻って帰ろうかと思った矢先。
トンネルを抜けたすぐ横の壁には・・・。

日本一の石仏(高さ10メートル)!




現在地より後方へ250(赤字)メートル。
なんとも微妙な距離だ。

せっかく来たのだからその日本一とやらを拝んで帰ろう。
夕べの宴会で少々食いすぎたので運動もせねばならんのだろうし・・・。


250mといえばほんの数分歩けば着いてしまう距離。
しかし観光地の案内の距離は少なめに書かれているイメージがあり、結構遠いのではないか?
平地で直線距離ならばさほどでもないが、いざ行ってみるとひたすら階段登りだったりして後悔することもある。


若干の不安を抱えつつ住宅街の間の階段を上ってゆく。

この公園の裏手が小高い山になっており、どうやらその上にあるらしいのだが・・・。


土砂降りの雨の中、えっちらほっちらと階段を登る。



何やら見えてきた・・・。

思ったほどきつくはなく、すぐに山頂に到着。
さすがにこの雨の中、他に人気はなかった。

アレが日本一の石仏か。



真意のほどは定かではないが、確かにでかい。
岩から切り出したもので単体直立限定ならば日本一なのかもしてない。

どれ、ありがたいお顔を拝見するとしようか・・・。



うわっ!

・・・・。

これはモデルがいるのか?
あまりにリアルにいそうなお顔は、昔の住職さんがモデルとか・・・。



小高い丘の上の木々の間からは、中津川の町が垣間見れました。

雨は絶え間なく降り続けたが、暑くもなく寒くもなく、心地のよい湿り気だった。
静かな山間の町には川の音だけが響く。









帰り道、阿木川ダムに寄った。

堤高101.5m、恵那市外からも見える巨大なロックフィルダム。

この大雨でさぞや盛大に放水しているだろうと予測したのだが・・・

 

全然放水せず。
この程度の雨ではびくともしないのか。

ゆっくり見て回ろうかとも思ったが、風が強くて見るどころではなかった。

傘壊れたし。



そして本番の疲れも何のその、さらにイナゴの佃煮を求めて一路、どんぶり会館へ向かった・・・。


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