趣味の電気工作

怪しげな改造、改良と称しての破壊など、気まぐれに電気工作で遊ぶページ

リペアミラーの製作



修理や調整の時、楽器の中を覗くのに最適な鏡が欲しい。


現在使っているのは歯医者さんで使われているいわゆるデンタルミラー。
ステンレス製で衛生的、形もスタイリッシュで使いやすいのだけれども、鏡部分がちょっと小さい。
もう少し大きい鏡があれば便利だろうに・・・。


こんな夢を実現してしまいましょう!


東急ハ○ズで丸い鏡が売られていたのでこれを使って自作することにしました。


真鍮の丸棒、薄板。

鏡をはめ込む縁の部分は薄板を曲げて作ることにしました。
鏡の直径は3cm、これがすっぽり入る枠を曲げて作るのに、ちょうどいい心金があればいいのだけれどもない。
辺りを見渡すと偶然にもソルトミルが!


ここは台所っすから・・・。

直径3cmの円周に沿って力技で曲げてみたものの、叩いて曲げたわけではないので弾力が生きている。

 

3cmの円を作るには3cmよりも小さい円で曲げて少し広げる程度がちょうどいい。


偶然にもすぐそばにあったミニマグ(もどき)に巻きつけてみました。

真円の金型があるわけではないので、丸くするのは指とペンチでフリーハンド、いわゆる全日本まん丸選手権。


うむ、許容範囲内。何とか円になりました。

真鍮(brass)は別名黄銅とも言われ、銅と亜鉛の合金。真鍮の合成に成功した昔の人は、きっと金が出来たと大喜びしたに違いない(真鍮の歴史は錬金術の歴史よりもずっと新しいもののはずだが・・・)。


バーナで炙り半田付けしました。
使う半田は電気用のもの。
強度的にはやや弱いが、融点が低いので小型のバーナーでも楽に半田付けが出来る。
松脂が入っているのでフラックスも不要。

 
はみ出た部分はあとで削ります。


薄板を切り出し、これもフリーハンドで平面出し。


先ほどの丸枠をクリップで固定して半田付けしました。


はみ出まくっています。

 
内側にはみ出た半田はキサゲで丹念に削ってゆきます。どうせ隠れてしまう内側なので大雑把。
結構力が要ります。


 

鏡を乗せてみました。少し大きい。



さて、ここで問題が・・・。

この先、柄の部分を半田付けしなければいけないのだが、丸枠の部分が半田によってくっついて形を保っているので、柄の部分の半田付けで熱をかけたときに弾力で接合がとれてしまう。
半田付けは接着と違って順番に付けてゆくことが出来ない。
何箇所も半田付けする場合、全体に熱が加わるので一気にやらなければならない。



修正のため一旦半田を外し、接合面を直角にしました。
若干大きめの円だったのでちょうどいい大きさになりました。


小さめの円を広げて内向きに弾力がかかるようにしたので固定をせずとも形を保っています。


再び半田付け。柄をつける時に熱を加えるので仮止め程度です。


しゅごー・・・・・・・

ん?

ぷすー・・・
ぷすー・・・


おりょ?


なんかバーナーの調子が悪い。
しょうがない、仮止めはあきらめて柄の製作。


柄の部分は直径5mmの真鍮パイプ。半周ほど削って叩いて曲げて延ばし、やすりで形を整えました。
  



いよいよ本半田付け、全体を針金で固定しました。

 
バーナーの調子が悪いのでガスコンロで炙ります。



半田を接合部分の隙間に流し込むようにして半田付け完了。
 
はみ出まくっています。


再びはみ出た半田をキサゲで気長に削り、やすりで全体の形を整え、表面を磨きました。

 
丹念に磨けば鏡面艶出しになるが、どうせ実用道具、使えば傷もつくものなのでスチールウールで磨きっぱなし、小傷だらけの艶消し仕様にしました。



と、ここまでならただの鏡、わざわざ電気工作と名乗るほどのものでもない。

わざわざ柄の部分を中空のパイプにしたのには訳があった。

この中空部分に3mmLEDを仕込んで、内部を照らしながら見れるチカーミラーにしようという魂胆。






試しに鏡を乗せて眺め実習・・・。




鏡の角度や照らす方向などをテストする為に点灯してみます。


LED駆動するのはLEDレンザーマイクロ
単4乾電池一本仕様、昇圧回路で5mmLED1灯を駆動、LEDレンザーの特徴とでも言える凸レンズを搭載、照射パターンは大きなムーンレンズといった感じでしょうか・・・。
以前にLED換装に失敗してよくわからん姿になっています。



試験点灯。
 
光源にはたまたま手元にあった、昔どこかからひっぱずした得体の知れぬLEDを使用。
黄色LEDだと結構いい雰囲気で光るのだが、いかんせん暗いので白色LEDを採用することにしました。




鏡と光源を一緒にするという発想は以前から試みたいと思っていたが、光源の位置や種類は試してみないとわからないことが多かった。


鏡の前に配置すべきか後ろから照らすべきか?
鏡の手前から照らした光は視界を妨げずに対象物を照らすのか?
LEDの光源がいいのか電球のほうがいいのか?

鏡を覗いた時、光源が目に入ると眩しくて見にくいが、覗く方向から鏡に当てた光は視界と同じ対象物を照らす。
光を拡散すれば覗く楽器の内部全体が明るくなって見やすいのだが、故障箇所を診断するのに出来るだけ点に近いほうが鋭い影を落とすので判りやすい。
消費電力が少ないLEDだと電池部分が小型化できる。


色々考えた結果、「鏡を覗く方向から視界に入らずに鏡方向と横を照らす」には、軸の部分に半分埋まった光源が点発光すること。
斜めに切った軸からLEDがほんの少し頭を出した状態、「かぐや姫方式」になりました。

ちなみに光源を手元に内蔵して光ファイバーを使うというのも試してみたが、一本では暗く、束にすると光源が点にならなかったので今回は採用しなかった。
もっと細い軸を使った小型のミラーを作るときには有効かもしれない。





駆動回路であるレンザーマイクロと鏡の軸をつなぐには、レンザー側に何らかの加工をすればよいのだけれども、大きさ的には余裕があり、なるべくなら無傷の状態で行いたい。
接続の為の新たなパーツを別に作れるのなら申し分ない。


と、そんな都合のよいことを考えながらガラクタ箱を漁っていると・・・

以前、なんかの工作に使用したアクリルのパイプが笑えるほどぴったりwwww!



そしてこのアクリルパイプと、同じくガラクタ箱にあったアルミのパイプがまたまたぴったりwwww!




アルミパイプの内側をエポキシパテで埋め、鏡の軸の太さとぴったりの穴を開けました。
 
例によってフリーハンド、手真っ黒です。



アクリルパイプとアルミパイプを使って接続の為にこんなパーツを作りました。

このパーツをレンザーマイクロのヘッドの内側から通して組み立てれば無傷で鏡の軸が固定できます。



内部の配線をして組み上げました。


これで完成です!




・・・・・。




なんか妙に・・・・

 

でかいのよねぇ・・・。

やたら取っ手部分が重いし。

アイテムとしては非常に面白いんだけども、妙にゴツくて取り回しがしにくい。
 
車の整備にでも使いそうなアイテム。




この鏡の使い道からすると、点検の時に一瞬点灯させるだけなので単4電池の何十時間という長いランタイムも不要。




というわけで、何か他に手頃なパーツがないか漁ります。

何だこのガラクタは。


大きさからピコリかレンザーミニくらいがちょうどいいかもしれない。
昇圧回路が内蔵されておらずボタン電池で駆動するが、機構もシンプル、値段も安い。

 
レンザーミニもどきを使います。もどきなのでレンズは内蔵されておりません。100均で入手。



鏡筒(ヘッド方向から叩き込まれているパーツ)を使ってエポキシパテで埋めて穴を開け、軸と固定しました。
 
軸はヘッド前面から叩き込み、そのほかのパーツは後ろ側から組みます。後々の分解、光源の載せ替えも可能です。
C型のリングはスペーサーとして追加しました。



組みました!


うし!今度は軽くて使いやすい。


 
スイッチのボタンが真ん中にないのは親指で押しやすくする為。
あとは鏡を貼って出来上がり!





おお〜よく見える!



リペア関係の人に見せた所、かなり好評でした。
近々バイオリン用のさらに小型版(光ファイバー方式)、ギター用の大型版も製作予定。


いくつかわかったこと。
鏡の丸枠を半田付けする際、底板を大きめに作っておいて外側から半田を流し込めば、あとではみ出た半田の除去が楽。
鏡と軸の角度は思ったより直角に近いほうが使いやすい。
全体の重量バランスが悪いと使いづらい。
柄の部分をフレキシブルアームにすると使いやすいが見た目の格好が悪い。
100均で売っているキーライトのボタン電池はすでに液漏れしていることがある(気にしない)。


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チカーミラー(登録商標・ウソ)小型版を作ってみました


今回作ったライトつきミラーは、ギターやウクレレの中を覗くにはちょうどいい大きさと明るさだったが、バイオリンの中を覗くには大きすぎる。
もっと小型版を作ってみました。

使う鏡は直径2cm。前回の3cmよりも一回り小さい。


軸も前回よりも細い3mmのパイプを使用、内径はおよそ1.5mm。
特殊なLEDなら入りそうだが手元の光源から光ファイバーで導くことにしました。
 
光源には5mmLEDを使用。頭を落とした500CSに光ファイバーを透明エポシキで接着。
強度はないが力のかかる部分ではないのでくっ付いていればよしとします。

画像では明るく感じますが、光ファイバーを通った光はかなり少なくなります。

組んでみました。基本的な構造は全く一緒です。

二周り小さい。


小さくて取り回しが楽。
 
光ファイバーの先が光ります。
ちと暗いが、点検用としてなんとか使える明るさです。

鏡はまだはめていません(2cmの鏡が売り切れだった)。



手元から少し光が漏れるのがご愛嬌。


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