趣味の電気工作
怪しげな改造、改良と称しての破壊など、気まぐれに電気工作で遊ぶページ |
電気スタンドを自作する
かつて5mm砲弾型LED8灯のデスクライトを改造して、非常に手軽でよいものの、単4電池の容量の少なさや明るさの不足が気になりだしました。そこで新たな大型スタンドライトの構想をスタート。そこで理想(挫折することもあり)のスタンドの条件を考えてみました。
3W級の明るさは欲しい。
調光機能があり電池の節約ができる。
二種類以上の光源を持ち、その切り替えが出来る。
単二電池2本で駆動。長いランタイムを実現する。
電池アダプターにより単三電池も使用可能。
そんな改造に都合のよい筐体のスタンドライトはない。
だがらガワは自作することにしました。
中に仕組む回路ですが、後から組み替えたり付け足したりが可能なような設計にすることにしました。
とりあえず外身の設計は置いといて、中に仕組む回路を何にするか・・・?
L1TというFENIXのライトがあります。ヘッドの部分はL1TとL2T共通で、入力電圧が1.5Vから3Vまで対応可能、二段階調光を持つ優秀なコンバータを搭載、光源にLuxeonVが使われ3Wで駆動するかつて一世を風靡したライトです。
一つだけ難点を揚げるとすればLuxeonというLEDは品質にバラつきがあり、明るさや光の色が一本ずつまちまち。当たりハズレが大きく、当たりだと真っ白い光でとても明るい個体があります。
L1Tのヘッド部分
実はここにあるこのライト、マニアの間では大ハズレと言われる「鼻水色」、もしくは「メロンちゃん」といわれる黄緑色の光を放つ固体。分解が出来れば光源だけ載せ変えようかと試みたこともあるが、内部が接着されておりなかなか分解が出来ない。
このコンバータを使うことを決意、今回再び分解に挑むが・・・
ここ、欲しい物はこの中。
かつて溶剤を流し込んだり熱したり、色々苦労したがビクともせず。
今回再びバーナーでかなり炙ってみても効果なし。
ぐぎぎぎ・・・・!
無理に回そうとして基盤はゲジゲジになってしまった。
これ以上無理をすればコンバータ基盤までやられる・・・
コンバータが破壊され無傷な筐体が残るか、筐体をあきらめコンバータその他のパーツを救うか・・・
究極の選択!
そして選んだ道は・・・
「筐体破壊」
「ぎゃあああああ・・・・」
L1Tの断末魔
ごめんよごめんよ・・・
(衝撃映像につき自主規制)
やってしまいました。糞MODのポリシーに反します。
破壊はせず、元の機能はそのままにする。 改造する部分は新たに製作する。 いつでも元に戻すことが可能にする。 (特に高価な物は) |
・・・・・・。
ボディを破壊して救い出したパーツ。リフレクタ、Oリング、ガラスレンズ、コンバータ及びLEDユニット。
完全に破壊され破片となった外側は手を合わせてから捨てました。
おまえに逢いたくてどんなに苦労したことか・・・ヒートシンクとコンバータ基盤は簡単に取れました。
仮接続で点灯テスト。
画像では判りにくいが光源のLEDは見事にメロン色。周りが美しい緑色に包まれます。
これはこれで何かに使おう。一応Tランクだし・・・。
ん?
調光機能が効かない!?
どうも明るいモードのみしか点灯しないようである。
熱で抵抗が焼き切れたか?無理やりこじった時にどこか断線したか?
このコンバータ、肝心な部分が樹脂か何かで固められていて、見ただけでは配線がさっぱり判りません。
固められていなくてもさっぱり判りませんが・・・
仕方がないので調光にはLEDのマイナス側に抵抗を接続して行うことにしました。
・・・・
トホホ・・・何のためにL1Tを破壊したのだ・・・
試験点灯では抵抗をかませることで調光は出来たものの、この方法でランタイムが稼げるのかは定かではない。
例によって、最初についているリード線が取れてしまうと細かな半田付けが大変そうなので、
配線を守るためにリードをまとめて熱チューブで固定。
せめてこのコンバータは大いに活用して、成仏させてあげましょう。
もう一つの光源
光源にはLuxeonVの他に5mm砲弾型LEDを2灯搭載することにしました。一つの光源に対して独立したコンバータを持つ贅沢な設計。これも完成後の乗せ替えや改造がしやすいようにするための設計。
電源は同じ1.5V〜3V(直列並列切り替え式)、入力電圧の許容範囲が広くて効率のよいコンバータを探してみると・・・。
サイキット株式会社のコンバータが非常に優秀ということなので、これを使うことにしました。
・・・・・?
・・・たばこですか?
いや、その横の豆みたいなやつ。
一円玉は大きさ比較のためです。MODには使用しません(硬貨の加工変造は法律により罰せられます)。
このコンバータ、非常に優秀な上、世界最小(この当時)ということで、リード線の半田付け一つとってもとんでもなく細かい作業です。
このコンバータは、途中に抵抗をつなぐことでLEDに流れる電流を調節することが出来るという裏技があります。
すなわち調光が可能。
そのままではこの先リード線を半田付けするのにとてつもなく苦労するので、一旦ベークライト板に固定してそこからリード線をつなぐことにしました。
今回大きさ的には充分余裕があるので、できるだけ後の配線が楽なようにしておきます。
どないせえっちゅう細かさ・・・
使うのは小学生の頃から使っている30Wの半田こて。
精密作業には無謀ともいえるW数、熱で回路をやってしまわない為にも、一瞬の勝負です。
・・・・・・。
(格闘中)
写真撮っている余裕なんぞございません!
(1円玉は大きさ比較のため)
何とかできました。
裏返せば汚い半田付けですが、これ以上追求しません。
しっかりついていれば、見てくれはよしとします。
リード線をつないで一つにまとめました。
こうしておくと組み込む時にまとまりやすい。
電源とLEDと同じ色の線なので印を付けておきました。
いつものようにアバウトな配線で点灯テスト。
プッシュスイッチは電流調整用の抵抗の所(直結しました)。見事に二段階調光が出来ます。
これにて光源、コンバータともにキャストは揃いました。
あとはスイッチの配線を考えて、筐体の設計と製作、組み込みだけとなりました。
配線テストの部
ボディの製作と平行して、組み込むべき電気パーツの配線テストをしてみました。
二つの光源、二つのコンバータ、二つの単二乾電池、一つのリチウム電池(CR123A)、メインスイッチ、単二乾電池の直列並列切り替えスイッチ、電源が単二かCRか切り替えスイッチ、光源の切り替えスイッチ、光量切り替えスイッチ搭載というよくわからん設計。多機能を目指した結果、やたらスイッチが多くなってしまいました。
スイッチが多くなると言うことはそれだけ電気抵抗も増すので、回路としては不利になることは請け合い。懐中電灯と違い電気スタンドとして色々な電池や回路で点灯して見る実験も今回の目的なので、ボディの部分にはメインスイッチの加工だけにして、ゆくゆくは中身の回路部分を総入れ替え可能なように、切り替えスイッチも含め回路部分は一箇所にまとめることにしました。
一瞬、「バイパス回路で多機能部分を経由しないでシンプルな回路で駆動する」ように切り替えをつけようかとも思いましたが、さらにスイッチが増す羽目になるのでやめました。
今回は点灯実験の仮組み立てなので電池は単三電池でテストします。
メモ書きというレベルの回路図を見ながら組み立てます。専門分野の人から見れば多分間違いだらけ。
もっとシンプルになるはずとは思いましたが、自分で見てわかりやすいように書いてしまいました。
電源部分(単三電池)ができました。二つの乾電池での直列並列の切り替えスイッチつきです。
つまり出力は1.5Vと3Vの二種類になります。
すでにヤバ気な雰囲気が漂っていますが・・・。
格闘すること一時間・・・
熱中するあまり写真撮ることも忘れ・・・。
できました!
・・・・・・
本当か?
組み立てた本人ですら合っている自信がありません。
とりあえず試験点灯。とりあえず問題なく点灯、スイッチもきちんと動作します。
スイッチが多すぎてどれがどれだか迷います。
一番下に写っている光源(LuxeonV)はエミッターだけでヒートシンク(冷却台)に取り付けいないのでなるべく短時間の点灯試験にします。
この配線で正常に動作することが確認されたので、ひとまずばらします。
ボディの内部の配置レイアウトができて、ボディが完成した暁には再び組み立てられます。
一種のパズルと思って楽しく組み立てようと思います。そう考えないと、とてもやってられません。
実配線、仮組み立て
「電気スタンドを自作する〜木製筐体の製作」で製作したベークライト板にスイッチを半田付けしました。
基盤用スライドスイッチが並びます。4つとも同じものなのでどれがどのスイッチかわからなくなりそうです。
裏側は汚い半田付けなのでちょっとお見せできません・・・。
ヒートシンクが完成したのでヘッド部分を組んでみます。
裏側にはスペーサー兼5mmLED半田付け用の土台としてベークライト板を削ってパーツを作りました。
必要はないけど5mmLEDの下側にはルミノーバ(蓄光材)を仕込んでしまいました。遊び心満載の電気スタンドです。
光源が二種類なのでヘッドから延びる線が4本、目印を付けておかないとわからなくなりそうです。
アーム部分は100均で仕入れたものを分解してパーツとしました。
根元部分を補強しておきます。
ボディの製作と平行して仮配線してみました。
実際に作りかけのボディに組んでみます。
メモ書きの配線図を見ながら再びややこしい半田付けに挑む!
すでにヤバ気な雰囲気が漂ってまいりました。
もう何が何やら・・・・
ボディが完成していないのでリード線はあえて長めにしていますが、それにしても想像以上にかさむ・・・。スイッチの端子も小さいのでコードの合間を縫っての半田付けは難しい・・・。とてもお見せできる出来ばえではない。
普段のノリだったら、どこかしら気づかずに電池ボックスの縁やコードを焦がしてやる気を失うところなので、これでもかというくらい慎重に作業しました。
できました!
・・・・
これであってるのか?
何とか組み込んでしまいましょう。
組んでしまえば汚い配線も隠れてしまいます。
隠れてしまいます。
隠れてしまいま・・
圧縮!
電池は左右に単二電池、真ん中にCR123Aというリチウム電池が入ります。
一番手前のスイッチは単二電池の直列並列の切り替え。並列にすれば1.5Vの出力で、どちらか一本の電池だけでも駆動可能。
左のスイッチは電源切り替え。単二電池かCR123Aの選択。
真ん中のスイッチは光源切り替え。LuxeonVか5mmLED2灯の選択。
右のスイッチは光量切り替え。HiとLow、どちらの光源でも切り替えることができます。
つまり電源電圧や光源、あらゆる駆動方法が選択できます。
さて、それが効果的かどうかは試験点灯してみてわかります。
・・・?・・・??・・・
わかったこと。
コードが思った以上にかさばる。内部の余裕がほとんどない。
電源が3Vで駆動時、Hiモードの5mm2灯はLuxeonVのLowモードの明るさを上回る。
(単純にLuxeonVのLowモード制御用の抵抗値が大きいだけですが。)
Hiモードでは効果的に明るさが変わった直並列切り替えは、Lowモードではどちらの光源も明るさにほとんど違いがない。
以前改造したデスクライトでは直列と並列(電源電圧が3Vと1.5V)で切り替えた場合、驚異的な明るさの違いが現れたが、思うにコンバータの性質によるものと考えられる。つまり前回使ったコンバータは入力した電圧をそのまま増幅する回路なので、入力値が上がれば自動的に出力値も上がる。電池の減りと関係なく単純増幅の回路だったのだろう。
今回使用するL1Tのコンバータとサイキーのコンバータは共に入力電圧1.5V〜3VまでOKだが、電池の減りに関わらず一定の明るさを維持する性能を持つと思われる。
ということは直列3Vで駆動して合計の電圧が1.5Vまで低下してもまだまだ使用可能、わざわざ並列にする必要がなく、ダミー電池を組み合わせれば電池一本で何の不足なく駆動する。
ややこしい話はともかく、要するに今回のこのコンバータでは直並列切り替え機能は効果的でないので簡略化してしまったほうがよい、という結論に。
もう少し回路をシンプルにすることにして、あとはボディの完成を待つことにします。
いよいよ本組み立て、完成!
趣味の木工で製作していたボディが完成したので、再び苦労してボディに組み込みました。
直列並列切り替え回路は省略したのでいくぶん中の配線はシンプルになりましたが・・・
(それでも中は線がぐちゃぐちゃです。)
故障でもしない限り金輪際開けたくはない・・・。
ふう・・・やっと無事収まった・・・。
むかって一番右は電源切り替えスイッチ。単二電池2本かCR123A1本かを切り替えます。
真ん中のスイッチは光源切り替え。日亜5mm2灯かLuxeonVの選択をします。
左のスイッチは光量切り替え。ノーマルモード(Hi)、省電力モード(Low)の二種類を選びます。
スイッチ切り替えの時にいちいち面倒という理由で底の部分は蓋がありません。電池を入れると結構重い。
結局光源のLuxeonVは、もったいないので破壊したL1Tの物を使用しました。
そうでもしないと他に使い道がありません。
ヘッドの部分は隙間が開けてあります。長時間の点灯を想定してベンチレータシステムを採用。
かっこよく名前をつけましたが要は隙間を開けてそこから熱を逃がす・・・・ただそれだけです。
正直どのくらい冷却能力があるのか、よくわかりません。
とりあえず鼻水色・メロンちゃんなのでLEDが焼けたら焼けたで交換して改良するつもりです。
いまのところ光源がむき出しですが、冷却能力に余裕があるようなら散光カバーでも付けてみようかと考えています。
見事なローズウッド(ニセ)
照射テスト
ともにノーマルモード。左がLuxeon、右が日亜5mm2灯。
肉眼では5mm2灯でもかなり明るく感じる。新品の電池では単二が2本とCR123Aの明るさに差はありませんでした。
省電力モード。やっぱり左のメロンちゃんは微妙に色合いが変だ。
日亜5mmのほうが圧倒的に自然な色合い。
写真では暗そうだが、肉眼では真っ暗闇モニターオフ状態で余裕でキーボードが打てる明るさ。
手元を照らして何かをするには実用的な明るさです。
Luxeonのノーマルモード(フルパワー)の時はさすがに驚くほど明るい。
その連続点灯が心配になるほど発熱が凄そうだ。
とはいえこの電気スタンドの真の目的は「へたった電池を最後の最後まで搾りつくす!」こと。
むしろ新品の電池を食わせてやることのほうが少ないでしょう。
このスタンドの完成で、ますます無意味なスタンド生活に拍車がかかることでしょう。
スタンド生活・・・夜、わざわざ部屋の電気を消してスタンドライトのみの明かりで作業すること。
前回のデスクライト完成時からその兆候は現れていた。
前回のスタンドライトと並んで撮影。
(楽しんでます)
祝杯