趣味の木工

趣味と実益を兼ねた木工作業の数々

弓の革巻き 再び


前回までのあらすじ。


イタリア人演奏家から譲り受けたE.M.PENZELの弓。

譲り受けた時には何故か革巻きの部分がない状態だった。
おそらく消耗してはずれてしまったのか、何か意図的にはずして弾いていたのか。

しかしその部分を良く観察すると何かが巻かれていた形跡がある。
ということでしぶーのがおおよその勘で革まきをしてみたものの・・・。

そのままでは微妙に弓が暴れるので、根元の方へ少しおもりを追加してみたら安定した。




というわけで、根元部分におもりを仕込んで巻きなおすことにしようか。








弓の革巻きは爪で簡単に外すことができる。
それだけ接着は弱く、普通に使っていても磨り減ったりはがれたりと消耗していく。



待て待て待て!



慌てるでない。




今回は慎重に、剥がす前にやっておくことがあるだろう。



この状態の重量を測ってみました。

このキッチンスケールは最小単位が1g。
残念ながらそれ以下の精密な重さは量れない。



というわけでもっと精密なはかりの登場。
ただしこいつは100g以上が量れない。
なんともなんとも。

おもりだけの重量はわずか0.8g、しかしたったこれだけの差でずいぶん演奏感に違いがある。




いよいよ前回の革巻きをはずして、接着剤含む革の重量。
(多少弓に残ってしまっているので正確ではありませんが)

 

革の重さだけで1.6gある。




接着剤もきれいにした状態の弓。
もともとこの状態で譲りうけた。

革巻きは失敗しても弓は無傷で何度でもやり直しが聞くので安全な修理といえる。




重心位置も測ってみました。

弓の毛を張った状態(演奏状態)で糸で吊るし釣り合った部分は弓の竿の端から220mmの位置だった。




通常弓の重量調整には銀線が巻かれるが、手に入りやすい真鍮線か銅線で代用することに。

東急ハンズで入手しました。
いわゆる何の変哲もないただの金属線です。

全体の長さは表示されているが重量までは表示されていない。
そんなに精密なものではないのだろう。



全体の重量から何とか割り出しては見たものの・・・。

コイル状の針金を伸ばすには下手をすると途中でよれてしまったり、意外と弾力があって巻くのに苦労したり・・・。






しぱーいしますた。






結局金属線は綺麗に巻くのは至難の業ということで(最終的に革巻きに隠れるので見た目はどうでもいいはずなのだが)板おもりでバランスをとることに。

 

釣具屋で仕入れた鉛の板おもり、厚いものと薄いものの二種類。

まずは厚いものでチャレンジ。
円周を合わせ、幅を狭くして重量を調節。



たったのこれだけになりました。



さて、このままだと鉛の部分と何もない部分に段差ができてしまう。

普段は革巻きの下に隠れている部分なのでうかがい知ることができないが、幾度と弓の革の巻きなおしをした経験上、銀線との段差を埋めるのに木綿糸が巻かれていることもある。



というわけで段差を埋めるのにを使うことにしました。

ががが楽譜!?
(もちろんコピーです)



上手に弾けるようにとおまじないも兼ねて、ボッテジーニのコンチェルトの楽譜を巻きましょう。
(学生時代の師匠の懐かしい書き込みが・・・)




紙の重量というのもなかなか無視できない。
たったこれだけでこの重量、なんと1.4g

あたくしにとっては計測不能なほど重く感じますが・・・。




(ボッテジーニ)『解せぬ・・・』




革も東急ハンズで入手。
ハギレ材を集めた袋だったので結構安かった。




端を処理してかぶせる革の重量を測ってみました。

むむむ、意外と重い

たしか前回の革の重さは1.6gだったはず。




このまま行くと結構な重量オーバーになってしまう。

板おもりを薄いものに変え、巻く紙の量も少なくしました。

ふっふっふ・・・まさかこんな所にボッテジーニの怨念が巻き込まれているとは誰も気がつくまい。



最終的な重量は141g。

弓としてはちょっと重い。

重心位置はほんの少し手元に寄った。

果たしてこれで演奏可能なのか?










試運転の結果、はやりこの弓では重すぎだった。
重量があるので発音は楽だが、早いパッセージになると音がつぶれてしまう。




と、いうわけで、



再び、もう少し薄くて軽い革に巻きなおすことにしました。

再び革巻きを剥がし、接着剤を含む重を測ると何と4gもあった。
(このキッチンスケールは1g単位でしか計れないのでおおよその重さ)

これでは手元に重りを仕込む以前に革巻き部分の全体が重すぎだ。



そして今回新たに入手した薄い皮。

乾燥重量でわずか1g。
これなら狙った重さにもっていける!

紙の楽譜部分も巻きなおしました。
今度は縮小コピーした楽譜だったのでほぼ1ページ分(中間部に入る前まで)巻いてあります。




そして最終重量が139gに落ち着きました。

何度も試運転しましたがすこぶる調子がいい!



ボッテジーニの怨念、恐るべし!
(本当かよ?)


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