趣味の木工
趣味と実益を兼ねた木工作業の数々 |
カーボン弓の塗装
車の取っ手が壊れて、その塗装をすることになったしぶーの。
その修理は何とか無事に完成することが出来、余った塗料で何かを塗ってしまおうという魂胆。
趣味の木工で、メタリック赤という奇抜な色で塗ってしまうものといえば、まず考え付きそうなものがウクレレ。
しかし以前金色のウクレレを作ったが、正直ウクレレという楽器には市販のものでもさまざまな色がある。
それだけ遊び心が多くあり、どんな色も容認してしまう寛大さがあるのだ。
今さら奇抜なウクレレを作ってみた所であまり面白くない。
というわけで・・・
バス弓。
実は所有していたカーボンファーバーの弓。
趣味の木工と銘打っておきながら、またしても木ですらないのか!
弦楽器の弓に使われる木は南米ブラジル産のフェルナンブコという特殊な木が使われている。
近年この木が非常に希少で材料が枯渇してしまっている現状の中、それに替わる新素材として開発されたのがカーボンファイバー製の弓。
独特の軽さと弾力の強さで、なかなかの性能の弓も出始めていて今後期待される分野だ。
市販されているカーボンファーバーの弓は黒色だったりカーボン柄だったり、一見して木製ではないことがわかるようになっているものが多い。
木製ではないがゆえに、その斬新さと遊び心がいっぱいの弓たち。
しぶーのの所有する弓はカーボンなのに木目模様がプリントしてあり、遠目にはカーボンと判らない。
それもあちこちが剥げて白い地肌が見えてしまっている。
ぶつけたのはしぶーのじゃないよ。
実は中古で入手した時から剥げている。
あれ?カーボンって白かったっけ?
革巻きは熱収縮チューブか?
接着がゆるくなってずらすことが出来た。
下には紙が巻いてある。
面白半分に「バランスが変えられる弓」と遊んでいたが・・・。
一見して入門用に最適の弓。
通常の本番で使うことはまずないだろうから、この弓を遊び心いっぱいのカラーリングで楽しんでしまいましょうか!
弓全体の重量はおよそ122g。
まずは分解。
素材上、表面がつるつるだとクサビが止まりにくいのでホゾ穴の内側の壁を多少荒らしておきました。
先端を少し短くしました。
バランスやデザイン的な問題もありましたが、長ければそれだけ事故も増えるので。
形成時の合わせの跡があったので今のうちに均しておきます。
塗装が剥げた部分は下の白い地肌が見えています。
銀線巻きと革巻きも外してしまいました。
あれ?
こちらの根元のほうは塗装が剥げたところに黒い地肌が見えている?
パーツもすべて外した状態での重さは51g〜52g(このキッチンはかりでは1g単位でしか測れない)。
塗装によってどのくらい重さが変わるのか興味津々。
塗料のノリがよくなるように耐水ペーパーで表面を荒らします。
カーボン弓だからってやりたい放題だな。
おんや?
棹の部分とヘッドの部分の色が違う。別々に作ってつなげてあるのか。
実はこの部分の接合が弱くなり、ヘッドが前方にお辞儀してしまっている弓をいくつか見たことがある。
そう、カーボンファーバーの弓には寿命がある。
新素材ゆえに半永久で革新的なものかと思ったが、残念ながら長年の使用で駄目になってしまうと思われる。
しかしカーボン弓の役割はそれでいいのだろう。
弱るまで使い倒し、駄目になったら買い換える。
木製の弓と違い、いつでも同じ品質の弓が手に入る安心が売りなのだ。
乾燥のための吊っておく持ち手とマスキングをしたところ。
いよいよ塗装にかかります。
塗装会場は近所の公園のベンチ。
数人の近所の子供たちが奇声を上げて遊んでいたがごめんよ風下でやるでね。
しかしこの日は寒かった。
しかも時は夕暮れ。
微妙に風のある中、一度吹いた塗料はなかなか乾かず、風で新聞紙もめくれてきてしまう始末。
公園なので待っている間も離れるわけに行かず、できるだけ早く終わらせようとした結果・・・。
重ね塗りすぎて垂れムラになってしまいました。
やはりスプレー塗料は「軽く吹いて乾かし」を忠実に繰り返さないと失敗することがわかった。
しっかり乾燥させてから再び表面を荒らし、天気のいい日に再塗装しました。
弓先のチップ(表面に貼ってある保護の為の白い板)はなく、白い地肌がそのまま覗いているので縁を削ってチップ風に仕上げました。
塗装後の弓の棹だけの重量は52gだった。
ほんの少し重くなった。
分解ついでにクリーニング。
気をつけないとこの部分でよく手を切る。
毛を張ってパーツをつけた状態で117g
外したラッピングと革巻きの重量はおよそ6g。
このまま銀線を巻いてもいいのだけれどシンプルに革巻きだけにしました。
革巻きだけだと何かと重心操作もしやすく、銀線がほつれたり錆びたりするトラブルもない。
(単に元通り巻くのが面倒だったともいう)
この弓は主に練習用なので今回は下地にディッタースドルフを巻いちゃろうか。
まさかこんな所にディッタースドルフの怨念が巻き込まれているとは誰もが気づくまい。
(ディッタースドルフ)『解せぬ・・・』
銀線の替わりなのでちょっと太目の革を巻いて総重量は120g。
最初が122gだったのでちょっとだけ軽くなりました。
とうわけで試運転。
ううむむむ・・・。
もともとそんなに食いつきのよい弓ではなかったが、さらに先端が軽くなった気がする。
弓の食いつきの良し悪しや発音は棹の弾力とバランスが命で、先端の重量だけが原因ではないがちょっとこれでは弾きづらい。
試しに先端に重りを貼り付けてみたらかなりよくなった。
およそ1g
たったこれだけの重さの違いで格段に発音が変わってしまう弓の恐ろしさ。
もちろんただ重くすればいいというわけでもない。
色々試した結果、革巻きやラッピングではなく先端をほんの少し重くしたほうがいいことが判明。
どこかに重りでも仕込めたらいいのだろうけども・・・。
どうせ木の弓ではないし、ヘッドに穴でも掘って埋めちゃろか?
おりょ?
なんだこの穴は?
毛を止めるクサビにも穴が開いているが、場合によってはビス止め式にでもするつもりだったのか?
ちょうどいい、この穴に釣りで使う重りを仕込むとしよう。
これでかなり弾きやすくなりました。
というわけで、しぶーののカーボン弓はメタリック赤というとんでもなく斬新なカラーリングで完成したわけだが・・・。
しかし、ううむ・・・。
どこから見ても遠目には普通の弓にしか見えない。
カーボンゆえに奇抜なカラーで遊び心をと思ったのだが・・・。
メタリックの赤が思いのほか暗く、よくよく見ないとわからないほど違和感がない仕上がりになってしまった。
仕事先で見せたら概ね好評なのだが、その理由が「見た目が普通に見えること」だった。
カーボン弓を仕事に使う場合は主に「非常に過酷な条件」の場合。
コルレーニョ(棹の部分で弦を叩く奏法)があったり、野外ステージやライブハウスなど・・・。
そんな時でも「あ、こいつビビッてカーボン弓使ってやがる」とバレないからだとか。
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後日
紙箱からぞんざいに出し入れしていたら強くこすれた部分の塗装が剥げてきた。
やはりメタリックの塗料はあまり強くないようです。
後日剥げた部分を修正した後、上からクリアー塗料を重ね塗りしました。
(2014.1.15)