趣味の木工
趣味と実益を兼ねた木工作業の数々 |
中西ウクレレフルチューンナップ計画!
新たに楽器を入手しました。
ナカニシのソプラノウクレレ、オーソドックスな12フレットジョイント、マーチンの3型モデルになるのか?
縁にはセルのバインディングが入っている。
しぶーの史の中でオールメイプル(楓)の楽器は初めて。
トップ、サイドバック、ブリッジ、ネックもメイプル製、指板は黒檀、内部のブレイシングはマホガニーのようだ。
よく見るとサウンドホールが真ん中になく、中西清一巨匠の目分量によるお茶目でアロハな作り。
楽器の中心線が合っていれば品質的には問題ない。
要は弾けりゃいいんだ、そんなの気にしねぇ!
しぶーのの経験上だが、新品の楽器は驚くほど鳴らない。
しぶーの的には新品の楽器は半完成品。
これから弾き込んでチューンナップを繰り返し、時間をかけて完成してゆくもの、と考えている。
ちなみにここで行なうチューンナップとはほぼ「カスタマイズ」とも言える改造で、あくまでもしぶーのの好みの調整ということです。
このウクレレも楽器としての本来の性能は十分満たしているが、さらに好みの調整ということで、万人に弾きやすい状態ではないかもしれません。
楽器全体をチェック、分解して点検したところ、いくつか修理が必要な箇所を発見。
フレットの浮き、糸巻きのブッシングが空回りしていたのを修理。
浮いたフレットを接着して沈め、ペグ穴の内側を薄く接着剤を盛って修正しました。
フレットラインを平らに調整してフレットバリも削り、いよいよチューンナップ開始!
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まずはサドルの交換。
オリジナルのサドルはとても弾きやすかったが、強いタッチで演奏するとフレットとぶつかってビビりが出たため嵩上げすることに。
サドルを高くすると音量が増す。
弦高も上がるので弦の大きな振動にも耐えられる。
その反面弦を押さえる力も増し演奏は難しくなる。
さらにハイポジションを押さえたときに弦が引っ張られるので音程が上がってしまう。
しぶーのの演奏は生音重視なのでできるだけ音量を稼ぎ、かつ音程と弾き易さのバランスがぎりぎりの所を狙う。
もちろん楽器としての耐久性も考慮しなければならない。
楽器の中の表板の裏側についているブレイシングもチェック。
補強が少なく板も薄い楽器だと、高さのあるサドルでは楽器への負担が大きすぎてトップが凹むなどのトラブルが起きてしまう。
しぶーのの場合、このパワーアップに耐えられるかというのも楽器選びの重要なポイントだ。
ベストの高さを探るための実験用のサドル。
全体が斜めになっており、スライドさせて高さ低さの限界点を探ります。
実際に演奏しながら紙などを挟んで、どこまで嵩上げ可能か確かめます。
判りにくいがサドルの下にも厚紙を敷いて嵩上げしてある。
色々試した結果ベストな高さを決め、いよいよサドルの製作にかかります。
楽器屋さんで入手したサドル材。
オリジナルのサドルは手付かずで保存し、必ず新しく作ります。
大まかに形を切って厚さを合わせたら表面に蝋を塗っておきます。
これから調整のために何度も付け外しを繰り返すのですべりをよくしておきます。
新品のサドルを立てる場合に気をつけるのは、彫られた溝に対してしっかり合っているかということ。
底面に隙間ができている
サドルの底面がきっちり直角で平面だと、かえって溝に合わない場合も多い。
ある程度角を落とし、できるだけ底面が溝に密着するように削ります。
さらに弦を張ったときに前方に倒れるように押し付けられるので、その方向も見越して合わせておきます。
しぶーのの好みのサドルはシンプルな横一文字。
ハイポジションの音程は演奏者がかんばって矯正する派。
最近よく見かけるオクターブ調整してあるサドル。
さらに上ナットの交換。
しぶーのは必ず上ナットを交換し、弦の間隔を自分の指の太さに合わせています。
オリジナルのナットを慎重に外します。
げっ!いきなり失敗!
ネック本体が持っていかれてしまった。
まあ最終的にはナットの下になって見えないとこなので木を埋めて修正しておくか。
今回ナット側からスケールを短くすることにしました。
本来ならば指板を短く削るのだが、この場合あくまでもオリジナルの状態を維持したままが鉄則。
というわけでL字になったナットを製作しました。
このナットで弦長も0.5mmほど短くなります。
L字のナットを隙間なく合わせ、弦の乗る溝を切る作業。
弦の幅も適当に合わせて切っていきます。
まだ合っていないの状態。
センターや間隔もバラバラ。
弦溝を等間隔に切るのは非常に難しい。
たとえ等間隔に溝を切っても、弦の太さが違うのでアンバランスに見えてしまう。
実際に弦を張って、演奏中の方向から眺めて、時間をかけて試行錯誤しながら最も違和感がない間隔にそろえます。
違和感のない状態まで揃えました。
この段階ではまだ溝は浅く、弦高も高い状態。
仕上げに向けて最終調整。
上ナットの溝を徐々に深くしてゆく工程。
他の楽器と比較しながら演奏し、サドルの高さと合わせて慎重に溝を深くしてゆきます。
調弦を繰り返し、気温の変化による変形も見ながら数日かけて行ないます。
最終仕上げ。
サドルをスチールウールで磨いたり、ラインやすりで弦の溝のバリ取り。
最後に指板に油を塗って磨き、弦も新しくして完成!
このメイプルのウクレレは音量こそあまりないものの余韻が長く和音がきれいに響いてくれるので、シンプルなソロ演奏に向いているかもしれない。
今後の成長が楽しみな楽器ができました。
あとはこれでもかというほど弾きまくり、育ててゆきます。
自作エイジングマシン稼動中。
型紙を作りピックガードの製作。
試運転に「真夏の果実」を弾いてみました。(冒頭のみです)