趣味の木工
趣味と実益を兼ねた木工作業の数々 |
ウクレレのブリッジが飛んだ3
しぶーの・わーるど、この趣味の木工の中で、ウクレレのブリッジ剥がれの修理も3回目となった。
しぶーの的にはウクレレ(ギター系)のブリッジの構造は剥がれて当然であり、特に珍しくもない。
綺麗に剥がれてしまったものならば跡形もなくきちんと修理も可能なので、故障とも思わないほどのものである。
(まあその間演奏できないので困るけど。)
しかし今回の依頼は今までとはちと違う。
愛器のブリッジが飛んでしまったのをよほどあわてたのか、自分で瞬間接着剤で修理チャレンジして失敗してしまったというのだ。
気持はわからんでもない。
何とか早く治したい一心で焦るあまり、かえって失敗してしまう。
製作や修理には時間をかけて丁寧にしなければならないことも多く、焦れば焦るほどマイナスになる。
結局にっちもさっちも行かなくなったので、もうショックで捨ててしまおうかと思っていたところだという。
おいおい、今は亡き中西氏のハンドメイドウクレレでっせ!
捨てるんならおいらにくれよ。
冗談はさておき、そんな貴重な名器を易々と葬っては罰が当たる。
しぶーのの未熟で多少無茶な修理でも、巨匠中西氏の作品は大事に復刻しなければ!
というわけでしぶーの工房へ入院した楽器。
ちなみに弟子の楽器。
ありゃありゃ、こりゃひどい。
なるほど、瞬間接着剤てんこ盛りで密着どころではない。
どうも一度でうまくいかずに、剥がして何度かやり直した形跡もある。
おかげで他の周りの部分も傷だらけ、トップの塗装膜も一部持っていかれてしまっている。
ブリッジが剥がれるまでは綺麗だった楽器、こりゃショックで捨てたくもなるか。
接着剤が乗ってさらに傷だらけになってしまった部分・・・。
う〜ん・・・削るしかないねぇ・・・。
以前割れの修理をした時には木の地肌まで削りすべて塗装をやり直したが、今回はできるだけ温存方式で挑みました。
なるべくオリジナルの塗装は残るように、表面だけを慎重に削ります。
ブリッジ側にくっついて持っていかれた塗装膜をパズルのように復元します。
欠損した部分は接着剤の樹脂で埋めて表面を均(なら)しました。
かなり細かい作業です。
しぶーの的にはこのような細かい作業はキライではないのですが・・・。
普段は見向きもせず勝手に遊んでいるくせに、こういう慎重さを要求する作業を始めると決まってやってきやがる。
しょうがねえな、気が済むまでしばらく遊んでやるか・・・。
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接着する面に残った接着剤も削るしかありません。
木の地肌まで染み込んでしまっているのでなるべく次の接着剤が乗るように荒らしておきます。
さて、ブリッジ側にもてんこ盛りな瞬間接着剤。
正確に言うと瞬間接着材だけとも限らず、もしかするといろいろやってしまった可能性も高い。
このようなケースは初心者のパソコンのトラブルのように、「何もしなくても壊れた」というのを、よくよく話を聞くと結構やってしまっているようなもの。
さてここで、前代未聞の不届きな実験!
「楽器に瞬間接着剤を垂らしてしまった!こんなときどうする?」
・アルコールで拭いてみる。
ちょっと拭いただけでは塗装への影響はなさそうだ。
そのかわり接着剤もまったく取れていない。
・ベンジンで拭いてみる。
ちょっとだけなら塗装へのダメージもなさそうだ。
にしても接着剤は落ちていない。
他人の楽器だからやりたい放題だな。
・瞬間接着材専用の剥がし液。
いわゆるシンナーっちゅうやつだな。
今の商品でははがし隊というらしい。
おおう!?ちょっとつけただけだが、微妙に接着剤が軟化しているようだ。
なるほど、これはさすがに専用の溶剤だ。
と、同時に塗装も溶けた。
そう、間違っても塗装面には使ってはいけないとの実験結果が出ました。
ほんの少量でも溶けてきます。
まあ、冷静に考えれば溶剤なので当然なんですがね。
でもやってみたことないでしょ?
本当にやってはいけません。
絶対にです!
とういうわけで接着剤の除去はキサゲ(スクレーパー)などを使って塗装を傷つけないように慎重に丹念に削ってゆく方法がベストということがわかりました。
接着面の処理も完了しました。
この後、塗装の足付けとしてトップ全面に軽くサンドがけしました。
ブリッジの場所を特定して貼り付けます。
ブリッジ用のクランプが手元になかったので重りで代用。
一応、乗せただけで隙間なく密着するようにしてあるのでこれでもOK。
今回はできるだけ塗装はしないように、仕上げのクリア塗装のみ。
剥げてしまった部分はタッチアップの要領で色をつけてごまかします。
マスキングしました。
今日は天気がいいので外に出てブジーとやってしまいましょう。
い○ちこのポスターのようなシュールな絵です。
塗装が終わったらすぐにマスキングを剥がします。
今回使った塗料はラッカーの艶出しクリアだが、スパッタリングによるつや消し塗装。
ほんの軽く数回、できるだけ薄く表面の保護程度にしました。
それにしてもやはり中西ウクレレはいい!
絶対的な安定感があり、きちんとチューンナップすればそれは素晴らしい性能を発揮する名器だと思う。
今回の修理はその出来もそうだが、価値ある名器を救えた事に意義があると思う。
(2014.7.1)