趣味の木工

趣味と実益を兼ねた木工作業の数々

ウクレレのフレット調整


ライブの予定がひと段落したので、弦交換を含めて一斉お手入れ。

忙しい期間にはなかなか細かい所まで目が届かないので、年に数回の弦交換のついでに徹底的にメンテナンスをするようにしている。



点検した所、第4フレットが浮いてきていることが判明。
ここしばらく、ローフレットでビビリがでることがたまにあったが、てっきり弦のせいだと思っていました。


弾けば磨り減りもするし、指板が痩せれば浮いてくることもあろう。
フレット自体は消耗品なので、磨り減ったら抜いて新しく打ち直せば問題ない。


今回、フレット自体はそんなに消耗していない上、きれいに抜けたので、同じ物を再び打ち直して使うことにしました。



フレットの断面は横から見て判るように、かまぼこに足がついたようなもの。

フレット金具の足の部分には抜け防止のため引っかかりの爪が出ている。
これで抜けてくるということは指板側に原因がある。



フレットを抜いた溝を接着剤で固めて狭くした後、再び打ち込みました。




ネックの豆知識

 弦楽器はネックに関するトラブルが実に多い。強い張力で弦を張ってあるのだから、長年使えば変形して当然でもある。
 製作段階でネックを仕込んで指板を貼る前の状態では、指板(を貼る)面は完全フラットに調整されています。ボディの表板の面と指板の面では同一平面か若干前倒し(仕込み角)がつけられています。


指板が付けられる前のウクレレ。
ナカニシウクレレ生みの親、中西清一氏。
 

 ネックは通常、弦を張って演奏すると弦の張力に従って起きてくることがほとんどで、前に起きてくることを順反りといいます。

 弦楽器の指板はわずかに順反りのほうが都合がよく、順反りだと弦の振動する幅に余裕ができ、ナット(上駒)やサドル(下駒)を低めに調整してもビビリがでにくい。このためフレットのないバイオリンやコントラバスの指板は意図的に順反りがつけられています。

 マホガニーのネックに黒檀などの固い木を貼り付けてあるネックは温度や湿度の影響で変形しやすく、二枚の金属を張り合わせたバイメタルのように収縮膨張率の違いで変化します。
 指板は横方向には収縮膨張するが(このため乾燥する冬場にフレットバリが出やすい)長さはほとんど変化せず、裏側の材料の収縮膨張に合わせてネックが前後します。
 夏場はネック側が膨張して順反りになりやすく、冷えて乾燥する冬場は逆反りになりやすい。どのくらいの変化があるかは、楽器の個体差や張ってある弦の張力によって差があります。

 フォークギターやエレキギターのネックは、金属弦の強い張力を支える為に中心に鉄芯が埋め込まれていて、ボルトの締め具合で反りを調節する仕組みになっています。






しっかり打ち込めたのを確認して、もはやこれ以上沈みも浮きもしない状態になったら高さを調整します。

 

平面金属やすりや砥石を使って摺り合わせを行います。

カードなどの直線部分を当てて確認します。
3つのフレットに乗せ、もし真ん中のフレットが飛び出ていればグラグラ揺れるはずです。




やすりでフレット上面を削っただけだと平らなので、フレット専用のやすりを使ってかまぼこ状に削ります。

 



最後にサンドペーパーで表面を磨いて完成。



修理が終わったらメンテナンス。
糸巻きの調整、ボディの磨き、指板に油を塗って乾燥させ磨きます。



今度の一斉調整は年末の予定。

やるたびにあちこちが消耗しているのがよく判ります。
楽器は長年使うものだけに、お手入れが欠かせません。


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