Purity(ピュアティ)ウクレレ工房探訪
いつでもどこでも演奏が楽しめる練習用のウクレレ「どこでもウクレレ君(仮名)2号」は完成を間近に向かえ、あとはフレットを打つのみとなった。
フレット材を入手するに当たって、知り合いのビルダーが工房をリニューアルしたというのでお邪魔するついでに分けていただこうという魂胆。
そのウクレレ工房は愛知県日進市、地下鉄の赤池駅から徒歩数分という場所にあります。
駅前の繁華な場所よりほんの少し離れた場所だが、閑静な住宅街とういよりもまほろびっくすな景色が広がる。(田園地帯にあると言いたいのか?)
(昔から住宅街といえば閑静、たんぱく源といえば貴重と決まっている)
画像は製作記のブログより引用。
背景に広がる景色が何とも味わい深い。
いきなり夜の写真。
わざわざブログから画像をお借りしたのも、話に花咲いて夜になってまったので景色の写真が撮れませんでした。
今回お邪魔した工房、製作者の家入滋郎氏。
気さくで人懐っこそうな見た目のそのまんまの人で、よく職人にありがちな気難しさは感じられない。
しかし製作に関しては極めて真面目で、注文されるオーナーと対話してできるだけ希望に沿ったウクレレを作ろうというこだわりはなかなか見事なものだ。
顔見知りなので挨拶もそこそこ(というより早く中を見たいので)、早速案内していただきました。
改築されたばかりなので新築のような綺麗さ。
この改築もすべて家入氏自身が手がけたという。
明るくて作業のしやすそうな工房だ。
予想よりも広い。
広いと何かと工具を取りに行くのが大変だったりするらしい。
工程によって机が分かれている。
普段台所で作業するしぶーのにとってこの規模のアトリエはうらやましい限りだ。
ううむ・・・。
さすが日曜大工とは規模が違う。(あったりめぇだろ!)
ん?ノミややすりが壁にくっついてる。
磁石を使って整理整頓されている。
鉄の道具類はその手があったか。
しかしどこを見てもきちんと整理されている。
工房にお邪魔するにあたってネタ的に面白いので「わざわざ片付けないでくれ」と言っておいたのだが、期待を裏切る綺麗さだ。
一工程終わるごとに片付けをするらしく、散らかった道具類もおがくずもほとんどない状態だった。
ずぼらなしぶーのと対照的、どこまで真面目な人なのだ。
部屋の中央には移動可能な島式の作業台。
中にはクランプ類がきっちり整理されていた。
あちこちに創意工夫があり、感心させられる。
あれ?そういえば今まで訪れた工房と何かが違う。
しぶーのは今まで数多くの楽器工房を見させていただく機会があったが、多くのギターメーカーやウクレレ工房によくある風景がない。
オアフ島にあるケリーウクレレの工房
大抵の工房には作りかけのボディやネックがたくさん積んであり、それらをジョイントしてゆくのだが、ピュアティウクレレの場合はネックとボディを同時に組んでゆく方式を採用している。
いわゆるスペイン式というクラシックギターの伝統的な製法で、ボディのサウンドをダイレクトにネックに伝えるというメリットがある。
この工房では月産3本のペース、手掛けてからおよそ2ヶ月かかるらしい。
一工程ごとに乾燥する時間が必要なのだとか。
トチの木を使った製作途中の表板。
この段階ではわかりづらいが桜の花のインレイが入っている。
塗装をするとさらに綺麗に浮き立つ
日本の材料を使い、お花見にぴったりのウクレレというコンセプト。
何とも発想がユニークだ。
扉を開けると奥の土間には工作機械がたくさんありました。
この工房は意外と奥が深い。
元々はガレージだったような場所、個人でここまで揃っているのは何気にすごい設備ではないか?
色々そろえているうちにこんなになってしまったという。
ここで製材工程から可能だ。
製材前の魅力的な材料が色々あった。
こんなところに作りかけのウクレレが・・・。
注文品ではなく、訳あって製作途中で止まっているウクレレたち。
工房を訪れた人の中にはこのキットの状態を購入して「趣味の製作」を楽しむ人もいるらしい。
廊下を挟んで向かい側、作業する部屋とは別に応接室がありました。
作品展示室を兼ねた応接室で、わざわざ工房とは別にしてあるそうです。
ここで先生を招きウクレレ教室も開いている。
展示してあるウクレレを色々と弾かせていただきました。
なかなか、ピュアティウクレレは音量がある。
製作者の家入氏のこだわりで、生音での音量をコンセプトにしているあたり、しぶーのの好みでもある。
これは、ネックだけウクレレ!
考えることはみな同じ。
だがこれはネックの見本なので調弦して演奏はできない。
古民家を改築したのでこの奥には台所もある。
ここで宴会も可能だ。
そういえば気になるあの作業場所がない。
どこで塗装をしているのだろう?
ハワイの工房でもアパートの廊下でやっていたり、個人工房でも庭先でやっていたりするのでここも専用スペースはないのか?
うをををっ!これはすごい、萌えだ!
そう、住居ではなくここは工房専用の場所なので洗面所と風呂場を改装した塗装専用ブース!
うん・・・、ここさえあれば夜中だろうがいつでも塗装ができるのか。
(趣味ではなく仕事で作っているのだから普通に昼間にやればいいではなか?)
そういえばそうでした。
今日はフレットをお分けしていただく目的だった。
恥ずかしながら「どこでもウクレレ君1号」を見ていただきました。
この形には妙にインスピレーションが沸いたようで、今後の製作のヒントにでもなれば嬉しいですね。
どこでもウクレレ君(仮名)の初号機と未完成の2号機。
今回製作した2号機は延長フレームをつけたことで立つことができる。
本っ当にどうでもいい機能だが。
お忙しい中、ついつい話しに花が咲き、気が付けばすっかり暗くなってしまっていました。
さて、その後どうなったのか?
どこでもウクレレ君2号(仮名)は無事にフレットを打ち込み完成しました。
このどこでもウクレレ君2号、当然のことながら音は鳴りません。
まあ、ボディがないのだから当然ですね、ペチペチとした小さな音です。
しかしながらご時世、音の出ない楽器の需要は必ずあると断言できる。
これならば夜中でも心置きなくジャカジャカと練習ができるのだ。
その他に興味深いのは、こんなものでもテーブルや何かの上に乗せて弾いた場合、共鳴してかなり大きな音になる。
ある意味どんなものが良く響くのか、また消音効果が高いのか、格好の実験材料になってくれる。
そして、普段は耳を澄ませばやっと聴こえるほどの大きさだが歯に直接触れた場合、頭蓋骨に大きな音が鳴り響く。
んご?
これは耳の聴こえなくなったベートーベンもとった行動。
歯ブラシや杖を接触させてピアノの音を直接聞き取った方法、骨導音というやつだ。
「骨導音ウクレレ」
また変な楽器製作の野望が見えてきた。
糸電話方式にするのか、針金なら曲がっていても可能らしい。
電気的なピックアップではなく聴診器で音を聴くのはどうか。
もしそんな楽器を道端で弾く者があれば、ものすごい不審者。