レトロでんしゃ館
名古屋市民にとって欠くことのできない移動手段は、名古屋市遺営団が運営する地下鉄。
(地下鉄の駅から遠いところは市バスもある。)
名古屋の2015年現在の地下鉄網。
名古屋市の地下鉄の歴史は1957年(昭和39年)に1号線(現在の東山線)が栄町−名古屋間で開通。
その後名城線ができ、東山線も東西に伸び、桜通線、鶴舞線、名港線、上飯田線がある。
昔は名古屋、伏見、栄を中心に四方八方へ伸びていたが、名城線が環状化されて末端から末端への移動がだいぶ楽になった。
余談だが色がそれぞれマミ、ほむら、まどか、さやか、杏子に※例えられている。
※(ごく一部の人々の間だけです。)
愛知県の鉄道といえば忘れてならないのが名鉄。
地下鉄に比べ名鉄はどちらかといえば名古屋の外と名古屋市内を結ぶ役割のほうが強いかもしれない。
その他に今ではなくなってしまったが路面電車も走っていて、その線路跡がそっくり市バスの専用レーンとなっている所もある。
名古屋市電は1898年(明治31年)に日本で二番目の電気鉄道として開業した路面電車で、1974年(昭和49年)まで活躍したらしい。
そんな歴史ある車両が保存されているのが日進市浅田町にある名古屋市交通局日進工場内にあるレトロでんしゃ館。
別名「名古屋市市電地下鉄保存館」とも言う。
地下鉄に乗っているとよくポスターが貼ってあったので、大抵の名古屋市民は知っている。
館内の見取り図を見る限り、そんなに広い会場でないようだ。
見取り図は名古屋市交通局レトロでんしゃ館のサイトより引用
保存されている車両も6両のみ。
ん?たった6両?
しぶーのの知っている限りでも、もっともっとたくさんの車両が走っていたはずである。
しぶーのが名古屋に来た時(1990年)には、地下鉄東山線に黄色い電車が現役だった。
しかも大きく分けて二種類。
ひとつは先頭車両の屋根の角の部分が丸くなっている車両。
たぶん当時現役ではもっとも古い車両だったと思う。
もうひとつは昔の山手線のような先頭をスパッと切ったかまぼこのような前面が平らな車両。
車体全体が黄色に塗られていたその車両には、冷房がついていなかった。
そんな中、たまにやってくるステンレスの車両には冷房が完備されていた。
真夏の時期にはホームの端の暗闇から黄電が出てくるか銀電が出てくるかで明暗が分かれた。
あまりの暑さに、銀電が来るまでホームで待っていたこともある。
当然夏場の黄電は窓全開で走っていたので、車内はかなりかまびすしかった。
ほかの地下鉄(東山線と同じく標準軌の名城線、狭軌の鶴舞線、桜通線)などを含めれば、厳密にはもっと多くの型式の車両が活躍していた。
とは言うものの、全部を保存するのには無理がある。
おそらくこのレトロでんしゃ館は展示スペースのこともあり、最も古い車両が保存されているのだろう。
地下鉄赤池駅から歩いて数分。
地下鉄鶴舞線の終点にあたるこの駅から先には名鉄豊田線が続いており、乗り入れもされている。
反対の終点上小田井から先には名鉄犬山線が伸びており、その駅が終点のこともあれば先に行くこともある。
つまり線路上は名鉄犬山線と豊田線はつながっており、その間は何食わぬ顔をして名鉄の車両が地下鉄を走る。
不思議なもので、赤池駅を越えると急に名鉄の走りになる。
(線路のせいだろうか?一駅間が長くなるせいだろうか?)
ぶひゃ!
地図では目の前なのに、国道153が行く手を阻む。
あそこに見えているのに辿り着けないもどかしさよ!
少し離れた横断歩道まで遠回り、見えてきました。
まずは看板の裏にある、巨大なトンネル掘削機の断面がお出迎え。
数台の駐車スペースがあるが、当然みんな電車で行こうね!
奥に見えてきましたレトロでんしゃ館、入場は無料。
建物は新しく、オープンしたのは2000年らしい。
おお、中はどこかのサイトで見たまんま。
が、やはり実際に実物を近くで目の当たりにするとやはり興奮する。
やっべぇ!超楽しい!
この展示物、割と手を触れることを厳しく禁じておらず、質感も楽しむことができる。
うん、まあ手を触れる展示なので仕方がないことなのだが、車両や展示物はどれも磨かれて再塗装されてピカピカだった。
個人的には古い車両はもっとスス汚れて変色しているようなのが好みなのだが・・・。
夏場、この顔がホームに現れた時のみんなの落胆の様子がもうね。
新車同様ピカピカなのでこんな所に挟まってみることも可能。
第三軌条方式の集電靴(電気を集める装置)を持ち上げることもできる。
意外と強い力で押し付けられているようだ。
つか、固定されているのは木なのか?
絶縁のためなのか?もしくは何らかの衝撃が加わるような事故が起こった場合に意図的に破損させるためなのか?
おお、なんか懐かしい車内だ。
正確にはまったく同じではないが、これとよく似た車両が現役だった頃を知っている。
シンプルでだだっ広い車内、連結部分の貫通路も広かった。
真冬の早朝に乗るとまだ暖房がよく効いておらず、走り出すとともに乗客の少ない車内に風が吹いて寒かった記憶がある。
(窓は閉まっていたが、加速中は慣性の力で前から後ろに風が吹いた。)
運転席にも座ることができる。
意外と快適ではないな。
上を見ると扇風機。
昔はさぞ暑かったことだろう。
みんなが触る部分はぴっかぴか。
おかげでまったくの素人でも、どこを操作すればよいのか何となく判る。
運転席の前面(車両の前面)は意外と薄っぺらな印象だった。
自動車のような衝突の剛性とか耐候性能とかとはあまり関係ないのかもしれない。
車掌の真似事もできる。
(正直あんまり面白くない)
「ダァ シエリイェスシエリイェス!」
台車も展示されている。
電車の心臓部にあたる。
きれいに再塗装されていてこれも余裕で触れられる。
車輪でけぇ。
展示車両が少ないので甘く見ていたが、細かいところを見るとなかなかたくさんの展示物がある。
昔の町並みの写真も数多く展示されており、非常に興味深い。
ジオラマや運転ゲームコーナーもあり、子供や大人が熱心にプレイしていた。
このジオラマは名古屋の街が無茶苦茶な位置関係で再現されている。
レトロな車内には当時の広告などまで再現されていて芸が細かい。
床が板張り。
欲を言えばもっと汚れてて油臭いとよかったのだが・・・。
壁に貼られた展示物も多く、さりげなく見るものがたくさんある。
砂漠に市電?なんだそのセンスは?
運転台にあるコレは可変抵抗器そのまんまなのかい!
普段は絶対に見ることができない電車の下側も見ることができた。
よい子は真(以下略)
説得力なし。
レトロでんしゃ館、そんなに大きな施設でもなく、展示車両も少ない。
しかし実車がきちんと展示整備され、細かく見れば見るほど奥が深い。
再び時間をかけて見に来たくなる場所だった。
というわけでレトロでんしゃ館、みんな電車で行こう!
(2015.11.10)