猿投山
さるなげやま ×
さなげやま ○
愛知県の豊田市と瀬戸市にまたがり、愛知高原国定公園の西端に位置する標高628.9mの山。名古屋市内からは、猿投グリーンロードを経由して気軽に行くことの出来る低山でハイキングに訪れる人も多い。西側中腹にはこの地域では珍しい天然ラドン温泉があり、地元民にも日帰りの温泉施設として人気がある。
また古くから山嶽信仰・巨石信仰の場として崇められてきた山でもあり、山麓には大碓命(おおうすのみこ)が祭られている猿投神社がある。猿投神社の社蔵書には、「景行天皇が伊勢国へ赴いた際に、可愛がっていた猿が不吉な事を行ったので、海へ投げ捨てた。その猿が今の猿投山に籠もって住んだとされることから、"猿投"と呼ばれるようになった」とされているらしい。
可愛がられていたのに海にぶん投げられるほどの不吉な行いって、
一体何をしでかしたんだよ猿!
世間は盆休み真っ只中、晴天続きでうだるような暑さが続いているが、どうせどこも行楽地は混み混みだろう。
昔運動をやっていた名残なのか、日ごろの運動不足の解消も兼ね、たまにはあえて山なんぞ歩いて、汗をジャージャーかくのもまた悪くはない。
猿投山概念図。
かなり簡略化されてしまっていますが、いわゆる概念ですから。
可能な限り省略した結果、これに描かれていることは重要なことのみになっている。
白く描かれている道は自動車道、山の上の展望台まで行くことが出来る。
茶色い道は登山道もしくは遊歩道。
自動車の道が大きく円を描き、登山道は真ん中を突っ切っているのがポイント。
そして山頂付近で東の宮、西の宮と道が輪になっている。
実はこの猿投山、以前にも登ったことがあるが、猿投神社から歩き東海自然歩道を登り、自動車道とぶつかった所で猿投七滝遊歩道方面を下ってきた。
今回は車で山頂近くまで行き、展望台、東の宮、山頂、西の宮、猿投七滝を巡って再び車で下山するというコースを辿ることにしました。
まさにへタレコース。
まず一番ふもとに描かれた神社マーク。
ここに猿投神社があります。
これまた、なかなか立派な神社である。
登山道はこの神社の東の脇からはじまっている。
登山道ということになっているが本来は参道でもある。
最初は自動車道と重なる。
森の中の道を進んでゆくと、やがて現れるのはトロミル水車。
昔、この猿投山には陶土を精製する為、このような水車が数多くありました。
水車といえば水の力でゆっくり回りながら時間をかけて仕事をするようなイメージだが、結構な速さで回っている。
赤いドラムがゴンゴン回る様子は夜中に見ると結構ビビる。
さらに細い山道を登る。
道の脇にお倉岩という巨岩がある。
自然のものなのか加工されたのかは判らないが、見事に直線的な岩。
やがて登山道は自動車道と離れて山の中へ入ってゆく。
猿投山自体はそんなに標高の高い山ではないが、この登山道は階段がきついので有名。
一段がやたら大きいので大股で登るのに難儀する。
げっ!
こんな所にもクマが出るのか?
そういえば多くのハイカーがチリンチリン音を出していた。
他の注意看板に詳しく書かれていたが、以前に熊らしき動物の目撃情報があったそうな。
まあ、出ませんといって出るよりも出るといって出ないほうがましなので注意することにこしたことない。
仕方がない、歌でも歌いながら登るか。
(2009.7.14 追記)
2009年7月13日深夜、猿投山を巡る山道にて、実際に熊らしき生き物を目撃しました。
例えば鹿のような軽快な動きではなかった。
茂みに入ってゆく下半身が、まるで背中を丸めた人の後ろ姿のようだった。
色は茶色を帯びた灰色、短い尻尾があり。
のそのそと足を交互に動かす足はやけに太かった。
車の接近から逃げるように茂みに入っていった。
Yahoo地図より猿投山展望台付近
道が大きくカーブした先、左の茂みの中に入って行った。
このすぐ近くには、夜景で有名な展望台があるが、
行かれる方はくれぐれもお気をつけください。
登山道入り口を横目に、さらに山道を進んでゆく。
あれだけ簡略化された地図ですらふにょ〜んとなっているということは、実際にはハンドルがもげるほど曲がりくねった山道になっている。
もはやUターンもすれ違いも困難な細い道。
初心者が迷い込んだらたぶん半泣き。
一応この道は一方通行ではないが、あまりに狭い道なので暗黙の了解で左回りの一歩通行になっている。
たまに逆走する車があるが、かち合ったら困るなんてもんじゃあない。
これでもかというほどの山道を登るとようやく見えてくる、ここが展望台の登り口。
うっかりしていると通り過ぎてしまうほどの控えめな存在感。
ほんの少しはなれたところに数台の車を止める場所があります。
実は隠れた夜景スポットでもあるが、当然この山の上には街灯などない。
夜は真っっっ暗。
夜景を拝むには、まずこの階段を登らなければならない。
森の中のこの階段は夜は本当の意味で闇。
懐中電灯は必至である。
階段は全部で225段あるらしい。
225段と言われてもあまりピンとこないが、一段が30cmだとしても高低差67.5m。
余計よく判りませんが、意外とキツイ。
展望台の裏に回って後ろから見た図。
よく「木製の展望台」と説明されているが、よく見ろ違うぞ。
標高が500m近いこの展望台からは、眼下に豊田市、遠くに名古屋市がパノラマで一望できます。
素晴らしい眺望!
・・・・。
この日は曇っていたのと、夏場は木が茂ってだいぶ視界が狭くなる。
展望台からすぐの所から、東の宮への登山道。
ここに車を止めて登り始めるとしましょうか。
森の中を進む。
展望台があるくらいだからもうほとんど山頂が近く、平坦な道をのんびり歩くつもりでいたが期待は裏切られた。
結構のぼり階段が急だ。
階段は整備されているのだが、一段の高さが結構あり、見ての通り人気がない。
階段を歩きたくないが為、その脇を歩いた結果がご覧の有様。
歩いていると絶えず蜂だかアブだかハエだか、顔の周りに寄ってきて鬱陶しい!
おとなしく頭の後ろを飛び回っていればいいものを、何故に目の前に来る!?
天気は晴れ間の覗く薄曇り。
風もなく、標高の低い猿投山はちっとも涼しくない。
次々と名所や絶景が広がるというほどでもなく、残念ながら変化に乏しい。
急に視界が開けて東の宮が見えてまいりました。
こんな山の中にこさえるとは、昔の大工さんもご苦労なことである。
東の宮の横からさらに登ると尾根道に出ます。
ようやく道は横ばいに進める。
さすが盆休み、多くの登山客と出会いました。
自分よりはるかに年上の人々にゆっくり抜かれてゆく。
しかも、日常のトレーニングなのか、この山道を走っている人もいました。
世の中元気な人もいるもんだ。
あそこに見えるは名物?カエル石。
巨岩と言うほどの大きさでもないが、尾根の上にぽつんと大石があるのはシュールな光景。
わざわざ運んできたものでもなさそうだし、他の部分が侵食されて尾根に取り残されたのだろうか?
確かにかえるの形なのだが、目と口が描いてある。
誰ですか?落書きをしたのは。
相変わらず顔の周りに虫が飛び回っている。
払っても払っても、ひっきりなしにブンブン寄ってくる。
あーもう、八月蝿(うるさ)い!!
ん?
突然道が二手に分かれた。
地図にも載っていない上、案内表示も何もない。
実は二手に分かれたものの、この先で何事もなかったように合流する。
片や尾根をなぞって上に登ってゆく道、片やどうせ登ってもまた下るのだからという平坦な迂回路。
どっちを進んできたか?
答えるまでもありません(ヘタレ)。
平坦になり、山頂広場が見えてきました。
ここで少し早いがお昼休憩にしました。
塩味を効かせたおにぎりが美味なこと美味なこと!
山頂からは北側の瀬戸方面の眺望がありました。
ここまで来てようやく少しだけ風が抜け、心地いい。
山頂の案内看板の裏には、日付と時間と名前を書く表が張ってありました。
毎日、日課のようにここに来ている人々がいるようです。
しばし休憩して下山開始。
東の宮手前まで戻り、そこから西の宮方面に向かう。
山道は階段になっているところもあるが、基本的に砂地。
危険な所は少なく、手すりや柵はごくわずか。
なんか見えてきた。
ここに御船石という巨岩があります。
「おふないし」と読み、巨大な花崗岩が二つ並んだ形。
「祭神である大碓命が乗ってきた船が、石になった」という言い伝えがある。
船が石になった。
麓にある三河御船(みかわみふね)付近にも同じような巨岩があって、この岩と関連があるのだが、往々にしてこの種の伝説には無理がある。
さらにしばらく下ると、突然この山の中に似つかわしくないほど立派な石垣が現れた。
「この山で毒蛇にかまれ亡くなった」とされる大碓命の陵墓がある。
厳重に囲われている。
柵の外から覗き込んでみたが、中はただの丘というか塚というか、囲われていなければ墓と判らない。
宮内庁が管理しているのか・・・。
陵墓の所から急な石の階段を降りると西の宮に着きました。
最近建て替えられたらしく、妙に新しい。
再び森の中の階段を下ってゆく。
幸い強い日差しは木々が遮ってくれているので焼けるような暑さはないが虫暑い。
いや蒸し暑い。
相変わらず顔の周りにはブンブン虫が集(たか)ってくる。
ここで再び自動車道とぶつかる。
東の宮の登り口よりも少し離れているが、同じような登り口。
東の宮、山頂、西の宮めぐりは、休憩を含め非常にゆっくり歩いたので2時間ほどかかってしまった(健脚の人なら軽く一時間もかからないと思われる)。
予想ではもっと楽に周れるつもりだったが、予想を裏切られたこともあってか、なかなか疲労が大きかった。
さて、ここから