念願の実弾射撃


 ハワイへ行った時のこと。前々からやってみたいことがあった。それは実弾射撃。昔から男の子らしく?モデルガンなんぞにも興味があって一度本物の銃を撃ってみたかったのだ。

 早速空き時間をみつけて、ガイドブックに乗っていたホテルの近くの大きなショッピングセンターの中にある射撃場、ロイヤルハワイアンシューティングクラブへ単身乗り込んだのだが・・・・。

写真はイメージ画像

 そこには「移転しました」の張り紙。同じショッピングセンター内の別の場所に移転したとの内容。案内図をたよりに結構歩く。後になって思い返すとそこはハワイ。案内図を見ながら結構歩いたはずなのに迷うことなくたどり着けたのは、もしかしたら日本語の案内だったのかもしれない。とにかくワイキキ界隈ではここは日本と錯覚するほど親切な日本語案内が多い。


 受付で住所や名前を書いて申し込む。コースがいくつかあった(記憶が曖昧なので若干日本的表現になっていますがご了承ください)

・・・・・オール撃てますコース。.22〜.45口径の銃すべてが撃てて合計90何発うんたらかんたら・・・・ただしエキシペンシブ
・・・・・.22〜◎×まで何発、エコノミーコース。
・・・・・小口径の競技用の銃のみで何発、女性でも撃てますコース。

 「松コースだとマグナムも撃てて大興奮デスヨ!」
 「なるほどベリーエキサイティングですか・・・」少し悩んだ末、せっかくなので松コース(記憶が曖昧なので若干日本的表現・・・以下略)を選んだ。

 待合室には他にも日本人が数名(日本人しかいなかった)若いおねーさん2人連れもいた。待っている間にいらんというのに記念撮影、断り方もよくわからないので言われるがままに全員行う。小さく「DISPLAY」」と書かれた銃で銃口は塞がれていた。後でしっかり写真代は請求されました

何の価値もない写真。いらんがな。

 続いて銃の撃ち方の説明をうける。
ダブルアクションのリボルバー(引き金を引くだけで続いて撃つことができる)でも
一回づつ撃鉄を起こして撃つシングルアクションが奨励らしい。

 

実際には両手で持って撃ちます


拳銃の簡単豆知識

 一口に拳銃といっても様々な銃があります。その威力の違いは主に「口径」で表されています。口径とは発射される弾丸の直径で、大きくなるほど弾頭が重くなり火薬の量も増えて威力が増します。単位は「インチ」で表されることが多く、「22口径」や「38口径」と呼ばれる場合は弾頭の直径がそれぞれ0.22インチ、0.38インチとなっています(ミリで表されることもあります)。22〜45口径が一般的。


 待合室に座っていると奥のガラス戸があって、ガラス戸のさらに奥は曲がっていて見えないが先客が撃っている音が聞こえる。「パスッ!」「パスッ!」「パンッ!」「パンッ!」意外と乾いた音だと思った。
 その間待合室にいたおねーさんの連れと思われるおねーさんが戻ってきて話をしている。「意外と大丈夫だったよ。」そんな内容。そうか、婦女子でも簡単に撃てる物なのか・・・。




そんな中いきなり

「ドカンッ!!」

飛び上がるような大音響。

ガラス戸がビリビリと音を立てて振動した。




今のは何!?




続いてまた

「ドカンッ!!」

腹のそこから響くような轟音。

「パスッ!」「パスッ!」と乾いた音の合間に聞こえるやたら大きな音。

 瞬時に理解した。彼女たちはコース(記憶が曖昧なので若干日本的表現・・・以下略)だったのだ。競技用の小口径の銃は音も小さく衝撃も小さい。

小口径の弾はこんなにちっこい




うわああ・・・・こりゃ恐ろしい・・・

 他人の音ながらそれはそれはすごい衝撃なのがわかる。だんだん怖くなった。あれほど撃ってみたかったのに、なんだかこのまま逃げて帰りたくなってきた。

 自分の番が回ってきた。案内されるまま仕方なく射撃場に入った。


 射撃場は廊下のようになっていて壁に窓が並んでいた。その窓から向こう側に撃つ。コンクリートの広い空間の向こうには砂の壁ができていてそこに標的があった。距離は10〜15メートル位だろうか。標的はワイヤーが付いていて手元のハンドルで引き寄せることができ、係員が採点をしてくれる。銃に弾を込めたり標的のセッティングや採点などはすべて係員がするので、ゴーグルとヘッドホン型の耳栓(名前がわからない)を着けてあとは案内されるままに撃つだけである。銃は何本ものワイヤーで厳重にくくりつけられていて銃口がとんでもない方向には向かないようになっていた。足元には殻薬きょうがザラザラ転がっていた。


 最初は小口径の銃。予想どうり音も衝撃も小さい。パスッ!パスッ!という乾いた音が、しかし・・・




確実に銃口から弾丸が飛び出しているのが実感できる




手に衝撃があった直後、遠く離れた紙の的から「ビシッ!」と音がして穴が開く。目を凝らして見たが、弾の軌跡は見えなかった。

.22口径といえば手のひらにすっぽり収まるような小さな銃、わずか数ミリの弾丸だが、これが猛烈な勢いで飛び出しているのだ。当たったら死ぬ・・・そんな感じがした。いや、こんなもんで撃たれたくない!

 

恐らく靴の中にでも入っていたのだろう、ショッピングセンター内(射撃場の外)に落ちていました。もちろん空薬莢、弾頭はついていません(弾頭は自作しました)。小口径のリボルバー(リムファイヤー式)のものらしい。

 小口径の銃は衝撃が少ないとはいえ、的の真ん中に当てるのはすこぶる難しい。スコープ付きの銃も撃ったがきっちり標準を合わせればいいというもんでもないらしい。実際に鉛の弾丸が距離を飛ぶので理論どうりには当たらない気がした。

凄そうなスコアですがスコープついてましたから。

 一つの窓で撃っている間に係員は別の窓のところでセッティングをしている。その窓で全弾撃ち終わると係員を呼び、的の採点をしてくれた後、次の窓の前に案内される。





 何発撃っただろうか?結構撃った気がする。気のせいかだんだん衝撃が増しているような、いや、事実口径はだんだん大きくなっている。
 よくわからないうちに案内される「これ、38口径です(日本語だし)」見ると小さなリボルバーがあった。「おお、これはモデルガンで持っているのと同じだ。」いわゆるチーフというやつで(たぶん)、ポケットにすっぽり入るような5連発の小さな銃だ。なんとなく親近感があったのでつい気軽に撃ってしまったのだが・・・・

チーフ。S&W(スミスアンドウェッソン)の小型リボルバー。

「ドカンッ!!」

 ものすごい音に驚いた!
あの音の正体はこいつだったのか!

 正確にはこれから撃つ銃はすべて大口径、更なる試練が待ち構えている。それにしてもちっこいくせになんと恐ろしいヤツ!伸ばした手の上で爆発が起こっていて、猛烈な勢いで弾丸が飛んでいく・・・・。何とも恐ろしい光景である。

 357マグナムも撃った。とんでもないものだと思った。一発一発、撃つのが気合がいる。本当にこんなもん向けられたらびびって腰を抜かすかもしれない。へタレと思われてもいい、この音の大きさはハンパではない。




 もう帰りたかったが、あと少しの辛抱だ。続いてコルト45ガバメント(コマンダーだったかもしれない)、モデルガンを持っているのでなじみの銃のはずだったが・・・。さすが大口径だけあって反動も強い。重い弾丸が飛び出しているという実感がある。どんなにしっかり持っても引き金を引いた瞬間、銃口が上を向く。

 飛び出した空薬莢が壁に跳ね返って顔に当たる。周りが煙くさい。銃が熱くなっている。一つ一つのアクションがリアルだ・・・

  

これが    →    こうなる

銃口が「ぴょん!」って上を向く。(実際には両手で持っています)

撃ち終わって採点の人が何か言っていた。「△◎%$※&@:#!(すげぇじゃねえか!)」多分そんな感じ。スコープが付いていなかったが全弾命中していたらしい。知るかそんなこと。もう、当たるとか当たらない以前の問題だった。

 

GOODなのか?左様でございますか・・・・





 いよいよ最後に.44マグナム。モデルガンと同じ8インチ銃身のゴツイのがあった。みんなこれを撃ちたいんだろうなあと思った。あと6発、がんばって撃とう。敵は最強のリボルバー、渾身の力で握り締めて反動に打ち勝ってやる!

上が44マグナム。下は38口径

でけーよ。すごい重いし。





「・・・・・・」






 何といいましょうか、一発目を撃って銃を置きました。大の男の力でもこれはキツイ!強いて喩えるなら「そこでプラカードを持って立っていろ、今からそこにボールを当てるからな・・・」という感じの緊張感。なんのこっちゃ。

 引き金を引くのが恐ろしい!

 残り5発。一発打つごとの休憩がいる。気を取り直して撃鉄を起こす。構えるものの、怖くてなかなか撃てない。えいや!と気合を入れて引き金を引くと、気合以上の大音響と反動

 最後の一発が不発で係員にもう一回セットしてもらったというおまけつきで、ようやく全弾撃ち終えた。




. 44マグナムを撃った人にはその空薬莢をお土産にくれる。係員が弾倉から空薬莢を取り出す時、薬莢が中で膨らんでいるのだろう、なかなか出てこなかった。さすがリアルだ。

(再現映像)

強く押すと空薬莢が「ニャム〜ン」って出てくる。銃が熱そうだった。

 

手前の一つは、別の時に入手したダミーカート(擬似弾)

 ロビーに戻ると先ほどの採点シートを「記念に額に入れないか?額代がいくらの・・・」といわれたので断った。(そういえば店の人、ぜんぶ日本語じゃん)


 射撃場から出ると外はとっても静かだった。ハワイの太陽がとってもまぶしく感じられた。
 それにしてもあんなものが普通に所持できるアメリカという国は恐ろしいところだ(ちなみにハワイでは所持できない)。

これは間違っても、冗談でも銃口を人に向けてはいけない、
おもちゃにしてはいけないものだと痛感した

 アメリカ映画や刑事物ドラマなどでは派手にドンパチやっているが、画面やスクリーン上の出来事なので実感が沸いていない人が多いだろう。すれすれで弾丸をかわして物影からさっと身を出して撃つ、冷静に考えるとなんと恐ろしい光景だろう!当たれば死ぬ!そんな恐ろしいものをぶっ放す姿をとても格好のよい姿に思えなくなってしまった。

 この日以来、あれほど好きだったモデルガンに触らなくなってしまった・・・。

なるほど、モデルガンには実弾は入らないのか・・・

半田を型に流して弾頭を作ってはめ込み、擬似弾にしてみました。


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