折々のお料理
飽くなき食欲が生んだ料理や食の研究 |
筍の土佐煮
鬼のように暑かった夏も過ぎ、季節が変われば涼しくなる。
秋から冬へ・・・なんと甘美で魅力的な言葉なのだろうか?
暑さに苦手なしぶーのにとって暑くない季節は実に過ごしやすい。
気が付けば冬はもうすぐ、ちょっと前まで日陰を選んで歩いていた人々は日向を選ぶようになった。
そうだ、煮物の季節。
夏の間は避けがちだった煮物を思う存分楽しめる季節になった。
筍といえば春先だが、今は便利な水煮が年中売られていてありがたいことだ。
食材から季節感がなくなってゆくことの賛否はともかくとして、寒くなると煮込んだ料理が恋しくなる。
筍の料理と言えば土佐煮。
一体何が土佐なのか。
調べてみると単純明快、土佐地方(高知県)特産のかつお節を効かせた煮物、ということなのだそうな。
そういえば地名の入った料理は他に筑前煮とかあったな。
筍は固いほうが美味い。
この筍の水煮では、先端の柔らかい部分と斑斑のある根元の部分ではどちらが美味いか?
単純に好みの問題なのだが、しぶーのは竹でも食ってろと言われそうな固い根元の部分が一番好みなのだ。
調理するに当たって色々とジレンマがある。
あまり細かく切ると火の通りが早くなってしまう。
味を染み込ませるために長時間煮込むとせっかくの根元部分まで柔らかくなってしまう。
ならばやってみましょう!
うはっ!でかっ!
縦の方が長い。
どうなるか判りませんが、とにかくやってみましょう。
作るにあたっていろいろと手順がありますが、水を張った鍋に筍、ダシの素、しょうゆみりんさとう酒、とりあえずすべての材料を鍋にぶち込んで一気に煮てしまおう。
煮込み時間を出来るだけ短縮する為に結構濃い目に味付けします。
これで簡単インスタント土佐煮の出来上がり!
うっ!?
そういえばかつお節入れてねぇがや。
【原材料】
たけのこ(水煮)
だしの素(鰹風味) ←
しょうゆ
砂糖
みりん
酒
まあなんとかこれでいいか・・・。
強火で出来るだけ短時間、本来の煮込み料理とは反する方法ですが試して見ましょう!
ごんごんに煮ることわずか10分。
さっき切ったばかりのまな板もまだ乾かぬうち。
うほっ!
頼もしいほどの大きさと固さ!
では、さっそくいただくとしようか・・・。
ぐっ!
ぐわっ!
あちくて食えん・・・。
出来立て熱々のでかい塊はかじる余裕もなく、大口をあけて挑むも熱さに撃沈。
しかも煮込みの浅いたけのこは縦方向には噛み切れず。
仕方がないので箸でぶっ刺しかち割って一口大にしよう。
ふむなるほど、中心部分はほとんど味が付いていない。
これはほとんど水煮そのまま食しているのと変わらない。
歯ごたえ的にはしぶーの好みのごりごりだが、味付けと食べやすさという面ではちょっと問題がある。
なるほど、やはり何事にも限度があるということか。
というわけである程度冷めてから鍋からつまみ出しました。
塊数が少ないのでたいした手間でもない。
半分に切って一口大になりました。
切ってみるとやはり中はほとんど色が付いていません。
もう一度鍋に戻し、再び強火で数分間だけ煮ます。
煮物を短時間で仕上げるには、中まで味が付きやすい一口大にして一気に煮てしまうに限る!
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(2013.11.19)