折々のお料理

飽くなき食欲が生んだ料理や食の研究

玉子丼



親子丼が好きだ。

あの半熟でトロンとした卵、甘くてギトギトしたしょうゆと砂糖のハーモニー。




カツ丼もまたしかり。

ご飯にしみこんだ甘い卵は、TKGよりも濃く暖かくて美味だ。




肉を卵でとじた丼料理。

濃い目のきりっとした味付けはしぶーの家(実家)ではあまお目にかからず、どちらも店屋物のメニューという位置づけだった。






スーパーで素敵な鶏もも肉をゴット。

もう親子丼になる運命のような肉。




たまねぎは半月櫛型切り。
行平鍋にダシ、しょうゆ、みりん、ざらめ大さじ1、チューブのしょうがを数センチ。

しぶーの的にはしょうがの利いたギトギトに甘いのが好み。
甘ったるいしょうが糖で煮込んだようなものだ。

しょうゆと甘いたまねぎと卵のコンビネーションは、発明した人に感謝したいくらいだ。




昔小学生時代、国語の教科書の中で親子丼が出てくるお話があった。

かなりあやふやな記憶を頼りに検索してみると、恐らく「山へ行く牛」だったか、自信はないが。

砂糖が貴重な戦時中、以前はもっと甘くておいしかったというもの。


親子丼が甘い、当時その感覚はなかった。

今なら判る、甘い親子丼は美味。




鶏肉に火が通ったら素早く卵を割り入れ、ほんの軽くかき回す。

(注・・・二人前です)




鍋の縁からぶくぶくと沸騰してきたら、焦げ付かないように鍋全体を回す。

黄身と白身がムラになっているほうが何故か美味そうだ。




適度に半熟の状態で火を止めご飯の上に載せたら完成。

三つ葉がないので切り海苔を乗せました。

三つ葉こそスーパーで少量買えればいいのだが、大抵立派な束で売られている。
おかげで余った分を使い切るまで冷蔵庫の中で伸びるし。





このしょうゆが甘辛く染みた卵とたまねぎはご飯が進む進む・・・。

それって、玉子丼でえんだにゃあ?
(訳:いいんじゃない?)






そういえば母校の大学の学食ではメニューに玉子丼があった。

たまねぎととき卵を片栗粉で伸ばし、粘度の高いふかひれスープといった風貌。
具もそれだけで決して豪華なものではなかったが、ビンボー学生にはそこそこ人気のメニューだった。

カツ丼の注文があれば波打つトンカツをご飯に乗せ、上からその玉子丼をかけるという簡易スタイルだった。





たまねぎはショートレインボー。




鍋にたまねぎダシしょうゆみりんざらめ大さじ2としょうがを入れて強火でごんごんに煮る。

めんつゆ使うと楽でいい。




だしはだばだばに多めで、片栗粉を用意。




とろみのついたたまねぎスープの中に卵を投入、かき混ぜる。




ぶくぶくと煮え立つ卵。

ううむむむ・・・正直あまり美味そうではないな。

なんか見覚えのあるものができあがった。




こっれてギンビス料理ではないか?






とーとつに出てきた「ギンビス料理」とは何か。



聞き覚えがないのは無理もない。

ギンビス料理とはしぶーの家(実家)父が作る創作料理の総称

命名はしぶーの父。





しぶーの家(実家)は男も女も台所に立つ。
しぶーの父の料理は休日の朝に振舞われることが多かった。


いつもいつもいつも冗談ばかり言い、食事の時は大層ご機嫌しぶーの父は自ら振舞う料理をこう呼んだ。

単純に語呂だけの感覚で、「山賊料理」とか「ジンギスカン料理」のようなつもりであったに違いない。
しかもそれはたまたまそばにあって目に入った、自分の好みの菓子の名を引用したと思われる。

要は「美味いぞ」と言いたかったのだろう、たしかにギンビス料理は見た目はアレだったが味はよかった。





ううむ、まさか自分もギンビスを作ってしまうとは・・・。




出来上がったものは、記憶にある学食のものとも少し違う。

見た目が少々アレだが、味はなかなか美味だった。

ふわふわトロトロの玉子丼はこれはこれで・・・。

いかん、ギンビスにしか見えんくなった。


現在の新しぶーの家では、「見た目がアレだが味は美味」という失敗料理の総称になっている。
もちろんあのギンビスとは何の関係もありません。






気を取り直して、後日再び玉子丼にチャレンジ。

たまねぎは半月櫛型切り、どうも見た目も大事のようだ。




今日はしかもヒレカツ(半額)がゴットできたので、簡易カツ丼にチャレンジだ。




あらかじめオーブンで軽く加熱しておいたカツをパイルダーオン。




♪しょうがで煮込んだ正月〜。
♪味噌を絡めた御園座〜。

しぶーのが料理中に口ずさむ(訳のわからん)創作歌。





うむ、甘くてギトギトの卵はサクサクのトンカツとあいまって美味なこと美味なこと。

家庭でこの味が簡単に再現できるのはいい。





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一人前を手早く調理し、ご飯の上に乗せるにはやはりこの鍋の出番か。

この小さな鍋は親子鍋という。
我が家にもあったのだけど、出すのが面倒だっただけ。


一人前の丼ヘッドを作るには向いている。


卵を投入したらほんの軽くかき回し、縁から沸騰しだしたら数秒ごとに鍋全体を軽くゆする。




だばだばのつゆの上に卵が乗っている状態にしておくと丼に移しやすい。

鍋を傾けるだけでご飯の上に平行移動できる。




あっという間に、甘くて美味い玉子丼の出来上がり!

ちなみにしぶーの嫁はここまでの甘さは苦手で、大量には要らんそうだ。


(2018.3.24)


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