趣味の電気工作

怪しげな改造、改良と称しての破壊など、気まぐれに電気工作で遊ぶページ

楽器鳴らし込み機

ビコビコビコーン!

という効果音とともに脳内再生されるドラ○えもんの道具風の機械。


楽器は演奏することによって音がよくなる、音量が増すなどいわゆる育ってゆくというのはよく知られたことである。


楽器で鳴らされる音は空気の振動、その空気の振動を作り出すのが楽器。
その楽器にも良し悪しがあり、よく振動するのがよい楽器、というものすごく乱暴な前提で話を進めていきます。

ならば振動を加えて演奏したような状態にすることにより、弾き込んだ楽器を再現しようという魂胆。




振動する物といえばこんなおもちゃがある。
虫の形を模した電動玩具だが、玩具コーナーではなくペット用品コーナーにあった。

猫の玩具として人気らしい。

これがスイッチを入れると激しく振動して、地面を這い回る動きはまるで虫そのもの、ひっくり返っても自力で起き上がって動き回る。



中が透けて見える。
強力なモーターに偏心重りをつけて回転させ、全体を周期的に振動させる、いたって簡単な原理だ。

ちょっと見ないうちにこんな小さなモーターが出来ていたのか。
きっと携帯電話の普及で作られたのだろう。



楽器に押し当てると、ブーンという音がひときわ増幅される。
さすが楽器である。

 



こいつを破壊すれば超小型のモーターが出に入るが、とりあえず同じ原理の試作品を作って試してみよう。

色々と問題はありそうだが、まあ実験的なものだしまずは作ってしまうとしましょうか

しぶーののいつもの悪い癖が出ましたね。
「とりあえず作業してまいましょうか!」



わざわざ材料を買うのも勿体無い、ジャンクボックスの中から適当な部品を発掘。

モーターゲット!


モーターにつける偏心重りは何にしようか。

円盤状で中心に穴がないもの、金属を加工して作れなくもないが、ここで多大な労力をかけるのもいかがなものか。


とりあえず見つけたのが裁縫箱の中のボタン。
これでも一応きちんと目的通りに働いてくれた。

この重りは固定せずに、後々つけ替えれるようにしておきました。
余談だがボタンを二つつければ振動が大きくなると思ったら、お互いに反発しあってバランスが取れた。


これでは振動しない。



外箱は以前工作に使ったハギレ材。

単純に中にモーターが入ってコードがつながっていて電気を流すとブーンと細かく振動するもの・・・。
ううむむ・・・これは青少年にはあまり見せてはいけない玩具のようなものでは・・・。



いつものように製作は行き当たりばったりのしぶーのだが、楽器に固定する部分は慎重に考えた。

いくら柔らかいものでガードしても振幅が小さくとも、楽器に接触した部分が長時間にわたり楽器を攻撃し続ける。
その影響を考えるとかなり危険だ。



弦にしっかりと挟み込み2本のボルトで固定することにしました。

少々オーバースペックな気がしますが、振動中に少しづつ緩むこともあるし、万一楽器が傷つくなどの事故があったら悔やまれない。
これでもかというほど安全に考慮しました。



試作品なので適当でいいのですが、作り出してしまうとどうしても性と言うか、きちんと仕上げしたくてならない。

結局しっかりニスまで塗ってしまった。



動力源は乾電池。
電池ボックスは後付けで、つなぐ大きさによって駆動時間を稼ぐことが出来ます。
今回は試作品なので単4電池のボックスを両面テープで固定しました。

中はモーターだけでスイッチもなく、電池を入れれば動き出すとてもシンプルな構造。



単4電池1本でおよそ1時間半動きました。
並列で2本にすればおよそ3時間駆動します。



実際に発売されている製品の説明書では数日間作動させるとよいと書かれているらしいが、とりあえず実験的に短時間で試して見ましょう。




ウクレレにつけてみました。

念のため布を挟んでありますが、弦に固定されて浮いているので楽器のボディとは接触していません。


万が一にも、弦が緩まないという保障はないからね。

ブーンと音を立てて振動すること約90分。
最初は低いF(ファ)の音をたてていたが、電池の消耗と共に音程は少しづつ下がり、Es(ミb)くらいになったあたりで止まった。

モーターの回転速度によって振動の速さも変わるので、発せられる音程も変わってゆく。
(モータが早く廻れば甲高い音、ゆっくり廻れば低い音。)



さて、実際に効果はあったのか!?

弾いて確認中。


どけよこの野郎。

ううむむむ????



効果あるようなないような・・・。
実際にはこの楽器、日夜バンバンに鳴らしていて年中マックス状態、あまりその違いが判らない。





続いて場所を替え、とある場所のギターで試させてもらいました。

写真がぶれているのではなくびりびりと激しく振動している様子。

表板には接触していませんが、時々激しく共振して弦がびりびりと音を立てて暴れるので布を挟んで止めています。

作動させてから電池が尽きるまでおよそ3時間。




さて、効果のほどは・・・。




うむ、確かにある。



気のせいだ、と言われればそれまでだが、確かに弾き込んだ様子は再現されている。
この実験は楽器に詳しい数人で検証したが、実際に効果はあった。




そもそも楽器を弾き込むことでどのくらい変わってゆくのか?

管楽器でも、他人にしばらく貸していたら全然違う楽器になって戻ってきたという話もよく聞く。
楽器は演奏する人の癖や特徴を吸収し、楽器自体の個性となって育ってゆく。


長年使った楽器が少しづつ変化してゆくと言うのはわかるが、どのくらいの時間で楽器の状態に変化が現れるのか?



ギターやウクレレのような弦楽器は、新品の完成したばかりの状態では驚くほど鳴らない。
弦を張り、音を鳴らしてゆくと、みうみるうちに箱が鳴ってくる

その時間はどれくらいか。
実はほんの数秒で効果が出てくる。



ある楽器メーカーでは、完成して出荷前の楽器を入れておいて音楽を聴かせる専用の部屋があったり、加工前の材料の段階で経年変化処理をするメーカーもある。

自宅で楽器をスピーカの前に立てかけておくと言う話もよく聞く。

(小型のスピーカーを楽器に直接取り付けて音楽を聴かせるという方法も考えた。)





コントラバスにつけてみた。

うええ、でかい音!

さすが箱が巨大なだけある。
ブーン!という低い音が響き渡る。



これでは実際に演奏しているのと変わらんではないか!


まあ実験なのでしばらく我慢して作動させてみようか。


防音室の中で作動させたのでさえ、なにやら冷蔵庫の低いうなりのような音が聞こえてくる。

取り付ける場所を変えれば音は静かにはなるが、肝心のボディへの振動も少ない。
やはり駒付近に取り付けるのが効果的のようだ。

あまりにご近所迷惑なので30分ほどでやめて効果を確認。




果たして効果のほどは・・・。




ああ、うむ、なるほど。




確かに効果がある。




この楽器も日夜弾いているので見違えるほど音が変わったわけではないが、弓にかかる抵抗が増えた気がする。

抵抗が増えたと言うと弾きにくくなったような気がするが、逆に手ごたえがしっかりとして弾きやすくなった。



これはいい。





しかし、この器具を使って鳴らし込んだ効果が実際に演奏したものと比べていかほどのものなのか?

弾くことの出来ない楽器を鳴らし込むのには効果的ではあるが、短時間の演奏でその効果が覆えされる差だったらどっちを優先するか人それぞれである。



楽器の歴史は長い。
色々な研究がなされてきた中、このような発想は当然試みられて来たに違いない。


レッスンで先生に楽器を手渡してほんの数分だけ模範演奏をしてもらったら鳴るようになっていた、と言う話は多くの音大生から聞く意見である。


ここで気になるのは、正しい鳴らし方によって楽器が理想的に育つということならば、むやみやたらに振動を加えるのではなく効果的な方法があるのではないか?
同じ周波数の振動を加え続けるのは果たしてよい効果が得られるのか?
もしくは何らかの悪影響があったりはしないだろうか?

昔どこかで読んだ説では、一定の音程を持たないホワイトノイズ(テレビやラジオでよくある「ザー」という音)を聞かせるといい、という説もあるらしい。


しかし、このしぶーの自作のチャチなマシーン、このまま使い続けて果たして吉と出るか凶と出るかは定かではない。


しかしこの短期間の実験で確実に「効果」はあった。



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実際に売られている製品。
静音性や取り付けアタッチメントなど、当然しぶーのの物とは格段に違うと思われます。
色々な楽器用があり、それぞれ楽器に適した周波数とか調節できるのだろうか?



駒の下側につけてみた。
これなら作動させたまま演奏が可能だ。

うん、演奏は可能だが、全然だめだなこりゃ。


すでにある音程で鳴っているボディに別の振動が加わると、お互いに干渉しあうのか音が広がるどころか打ち消しあう。

機械の振動する音と演奏の音程が微妙にぶつかるので実に気味の悪いハーモニーになること請け合い!


(2014.12.11)


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