趣味の木工
趣味と実益を兼ねた木工作業の数々 |
電動ワインダービットを作る。
コントラバスやギターは、弦を巻く部分に歯車が使われている。
急激に緩んだりもせず、微調整も楽で非常に便利な半面、弦を交換する時にはギヤ式の分だけたくさんツマミをまわす必要がある。
コントラバスは四本弦なのでそんな作業が4倍、6本弦のギターに至っては6倍である。
素手で弦交換などしようものなら、手が痛くなるほど回す必要がある。
もちろん便利な道具もある。
ハンドルがついていてくるくると回すので、慣れれば非常に楽だ。
しぶーのはもっぱらこの方式の愛用者である。
あくまでも道具を使って素手で回し、楽器の息吹を感じながら作業する。
(要は微妙な手応えね)
ところがこれがお店や製作工房だったらどうか。
弦を張る作業の量も半端ではなく、当然スピードも要求される。
というわけで、一日中弦を張っている製作工場などでは電動ワインダーなる道具を使って作業している
あるお店では時々弦の交換作業があり今まで手作業だったが、もう少しスピードが欲しいと相談を受けた。
そんならばいっちょ作ってみましょうか、ということでチャレンジしてみました。
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買えよ、と言いたいところだが、そこにはどうやら電動ドライバーなるものがすでにあるらしい。
充電式の小型で、パワーもそんになくスピードもそこそこ遅い。
逆にそれが糸巻き用には適していて、このくらいのスペックがちょうどいい。
あまりにハイパワーハイスピードでは何かあったら楽器が心配だ。
せっかくこのマシンがあるのならば、電動ワインダーを新しく買うよりもコイツを活用して先端だけ作ればよい。
先端のビットは11mmほど差し込むと磁石でぴたっとくっつくタイプ。
がっちり固定されるものではなく尚好都合。
ボックス部分を木材で作り、ビットをジョイントすれば出来そうだ。
家にある手ごろな木材を漁ってみる。
ズボラなしぶーのがまず考えることは、いかに精密な作業をせずに作るか。
物を作るというのは、きちんとしたものを作ろうとするほど作業の精度が要求される。
正確に測り、正確に切り、正確に組み立てる。
実は苦手だったりする。
出来るだけテキトー(適当ではなくテキトー)に組み立てて、最後に修正しようというのが性分。
どうやら端切れ材だけで作れそうだ。
一応板の中心線は引いたが、そのほかの角度は完全に目分量です。
糸巻きのつまみが納まる部分はY字に、ここが深すぎると回転中に楽器に触れて傷がつく恐れがある。
作業の内容が楽器だけに、事故が起こらないよう慎重に設計する必要がある。
貼り付けました。
正確に切って正確に貼る、というのが面倒なので外側にはみ出まくりです。
中の部分だけ慎重に作り、外側部分は後で削って整えるというズボラ方式です。
完全にボックス型ではなくスリットにしたのは、エレキベースのような大型で平たい糸巻きにも使えるように配慮。
電動工具にセットするにはこのビットを接着する必要がある。
工具箱の中に転がっていた半端なビットで、今は取り付けるべきその先も失われているかわいそうなパーツ。
この際生まれ変わって新たな道具として活躍していただこう。
接着はエポキシ接着剤。
強度的にもおそらく大丈夫。
もしこの接着力を上回る力がかかった場合に、むしろこの部分が壊れてくれた方が楽器が守られる。
我が家にあるインパクトドライバーにセットして回し、慎重に中心を割り出しました。
実は今回の製作作業の中で最も気を使ったのかこの軸の接着。
回転工具だけに、中心がずれていてはよろしくない。
軽く塗装したらなかなかそれっぽくなりました。
内側には養生のため皮を張って完成。
グイーンと片手で巻けるので非情に使いやすいと大好評でした。
今回はたまたま端切れ材やジャンクパーツがあったのでほとんどコストはかかりませんでしたが・・・
まともに材料を集めて作るとなると買ったほうが安い。
(2016.12.6)