山口堰堤


山口堰堤と言えば、まず最初に浮かぶのが岐阜県本巣市山口地区の根尾川にある農業用水の為の堰堤。
釣りの世界ではちょっと有名な場所らしい。

しかし今回目指す山口堰堤は瀬戸市の海上の森、赤津川にある。
人々がよく行く海上の森の散策路から外れている為、あまり話題にならないが、山間にひっそりとあるらしい。


地図で見てみると、確かに川の形が不自然に胃袋だ。
→Yahoo地図より←

この膨らみ、そして直線的に狭くなる川幅、間違いなくここには人工的な川をせき止める何らかの建造物があるに違いない。

航空写真で確認すると、確かに何やら建造物が存在する!
→Yahoo地図より航空写真←



愛知の山には砂防ダムが多い。地質の関係か、巨岩と砂が多く、山間部の川には数多くの砂防ダムが建設されている。

  
模範的堰堤。
そこには恐らくこんな類の古〜い堰堤が存在するに違いない!





瀬戸市海上の森。名古屋の都心から車で気軽に行くことができる里山。
公園として整備されているわけでもなく、特に何にもないけれど、それがいい。
自然散策にはよいところだ。

気のせいか駐車場が立派になっています。橋も立派になっていました。

海上の森にハイキングに来た人の車はここで停めて、徒歩ではいることになります。

もともとこの広場、銭屋鉱産と言う工場があった跡地だったが、近年ここが正式に海上の森の駐車場となったとみえる。

トイレもできていました。バイオトイレと書いてあります。
夜でも明かりが燈っています。
ちょっとどうかと思うのだが・・・。


海上の森方面行くには再び橋を渡り道路を歩いて行くのだが、山口堰堤に行くには川のほうへ進みます。


この奥にあるのだ。シュールな枯れ草原が何とも味わい深い。


実は以前に山口堰堤の噂を聞きつけ、夏場にアプローチを試みたことがあるが、ほとんど藪と化していて掻き分けて進むには困難でした。
この場所に立って耳を済ますと奥の方から「ザー」と聞こえる。
あそこにあるのにたどり着けないもどかしさ!

一応、車止めの柵がある。
「茂みを掻き分けて進む」という表現が一番合っている。

この茂みの左のほうが川にあたるが、この辺りから「ザー」という音がする。
最初はそこに山口堰堤があるのか?とも思えた。

しかしこの場所では地図と一致しない
本当の山口堰堤はこのもっと奥にあるらしい。



がさがさ突き進む。一応人の通った形跡の道はある。
やがてほどなくススキに加えて笹攻撃。人の背丈以上ある。


この時期は蛇がいないので安心だ。



途中、落ち葉に埋もれた水路跡?をまたぐ。



道が急に登りになってきた。

左の木々の間から水の落ちる音が聞こえる。
何やら見える・・・。



あう?結構でかくないか?



駐車場から歩くこと数分、たどり着いてみると結構大きな堰堤が現れた。
意外と立派ではないか!?

建設された時期や高さなどの諸元は不明だったが、堤高15メートル以下なのでこれでもダムではなく堰扱い。
見るからにかなり古い。



天端への立ち入りは禁止されておらず、自由に立ち入ることができる。
もう管理はされていない様子。いわゆる廃ダムというやつか・・・。

 

こ、こ、こ、怖えぇぇ!
ちなみに高所恐怖症です。


天端に登ると、結構高さを感じる。
通常のよく見られるダムのように、下流側がなだらかになっておらずほぼ垂直、見下ろすと結構怖い。
いつ崩れるかもわからない錆び付いた細い手すりがさらに恐怖を掻きたてる。

よく見ると下流の左岸側に水路の痕跡が見える。
途中で渡ってきた水路に通ずると思われる。
水路の向かう方向から、農業用とも考えにくいので、恐らく今はなき銭屋鉱産の工業用水だったのかもしれない。


左岸が少し崩落している。


下流からのアプローチができなかったので全体像が捉えにくいが、ゲートは全部で5つ、現在は稼動しておらず、右岸側にある越流部からの滝となっていた。

しかも現在は完全に堆砂によって砂防ダムと化している。いや、元から砂防ダムだったのか?
上流側にはすぐ藪が広がっていた。

 


ほとんど埋まっています。貯水能力は0。


それにしても水が不綺麗だ。微妙に泡立っている。
眺めのよい所だけに何とも残念だ・・・。


ゲートの操作ハンドルはほとんど錆び付いています。
戯れにそーっと回してみたら何と動く!
ゲートにつながるワイヤーは切断されていたので空回りするだけでしたが・・・。
(回した分だけ元に戻しておきました。)

 




堰堤の上からは一瞬、どこかの観光地と見間違うほどのプチ絶景が広がる。


だけど、この手すりは信用できんぞ。

つり橋を渡るような恐怖を感じつつ、早々と山口堰堤を後にした。
帰り道、何とか川岸まで降りて全景を拝みたかったが、道らしきものはなかった。
激草むらを突破する必要がありそうだが、軽装備だったのであきらめた。




後ほど、茂みを掻き分けている途中に聞こえた「ザー」の正体を探る為、田んぼ(私有地)の横を進んでみた。

 
ででで、電流!?


なんか有刺鉄線だらけで物々しい。
よほど入られたくないのか、過去に荒らされたことでもあるのだろうか?

説明書きを読むとイノシシ対策だった。この辺にも出るのか。

「ザー」の正体。
遠くから辛うじて撮った写真。案の定、普通の砂防堰堤だった。




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