やなで鮎を食う


 梁(やな)漁とは、簡単に言えば川の中にすだれを斜めに立てかけたような仕掛けを使って魚を捕まえる漁法で、日本では弥生時代からある古いものらしい。
秋に産卵のために川を下る鮎を捕まえる方法として日本全国の清流にあったと思われるが、現在では鮎料理を出す観光の場として残っている。

古くからの漁法を漢字で「梁」と書き、観光のものは平仮名の「やな」として区別しているらしい。

梁漁  やな
(参照・Wikipediaより)

 この梁漁、仕掛けは大掛かりになるが、一度作ってしまえばあとは魚が勝手に落ちてくるのを待つのみという何とも消極的な漁法で、川を全部せき止めてしまえば下る魚は一網打尽になるはずなのだが、やはりそんな行為はダムの魚道に網を張るに等しく、人道的に許されまい。おそらくそんな仕掛けを作れば下流の人々が総攻撃、やがて神の怒りに触れ(大雨によって)跡形もなく流されてしまうことだろう。


ここ矢作川水系にもいくつかのやな場があり、夏の休日となれば水遊びの観光客で大いに賑わう。

川口やなは、猿投グリーンロードから矢作川を15分ほど上流にさかのぼったところにあり、所在地が上川口なので上川口やなとも呼ばれる。

川口やな
(藤岡観光協会のページ。現在は合併して豊田市。)



走っていると突然現れるのぼりの数々。

ここまで来る道中、案内看板は少ないが判りやすい。


通りから川のほうへほんの少し下ったところにぽつんとある。




建物は新しく綺麗で、立派なトイレもある。

すぐ目の前が川(当たり前か)、川遊びにはもってこいの場所。


山間の静かなところ。

川のザーという音以外は聞こえない。




この場所にはライブカメラがあり、24時間川の様子を見ることができる(当然夜は真っ暗です)。


上川口やなライブカメラ
たまに調子悪くて昼間でも真っ暗なことがある。



あの電柱の上にあるのがカメラか。
 

こういうライブカメラのあるところ懐中電灯のオフ会をやって全国中継をやったら面白いことになるのかな?
いや、川の様子のための監視カメラだから下手をすると通報されかねない。




さすがに9月末のこの時期、水遊びをする人々は全くなし。

観光のための梁は人が乗って水遊びを楽しむ場所であり、魚を捕まえる本気モードではない。
実際に捕まえるにはもっと目の細かいすだれにする必要があるらしい。

実際の梁漁としては、観光のピークである夏の暑い時期ではなく、秋の水温が低くなってからのほうが全盛期なのだとか。

近づくと流れは結構激しい。
竹でできた梁の上は、乗るとしなるのでちょっと怖い。
さすがに水は冷たいので足をつける気にはなりませんでしたが、迫る川の流れを目の前で眺めると妙な気分。
自分が立っているのは川の真ん中。
水に濡れていないのになぜここにいるのだろう。


時を忘れて見入ってしまう。

ここに鮎がボトボトビチビチ落ちてくるのか・・・。



しばらくぼーっと眺めていたら、気がつくとすっかり夕暮れ、腹も減ったので食いますか。


食堂は平日にもかかわらず幾組かの家族連れがいました。



ちらりと厨房をのぞき見たところ、焼いてる焼いてる。

炭火で焼いた香ばしいかほりが漂ってきます。
最盛期にはいったい一日に何匹の鮎がここで食われるのだろうか。

メニューは鮎づくし!
 
鮎のから揚げ、塩焼き、田楽、炊き込みご飯、刺身(オプション)などがあった。
この他にうなぎも焼いていた。



骨まで柔らかくて美味い!



最初は頭や尻尾は残していましたが、意を決して噛み付いてみると香ばしくて美味い。

ぐわーっ!




結局、骨や尻尾や頭まですっかり食ってしまいました。


何も残らない。






すっかり満腹になって帰る途中、下流にある広瀬やなを覗いてみた。

広瀬やなは名鉄三河線(現在は廃線)の旧三河広瀬駅のそばにあり、矢作川にかかる広梅橋の上から見下ろすことができる。



やなは夜の21時頃まで営業しているので、晩飯を食いに訪れるのもまた趣がある。

期間は7月半ばから10月末頃まで営業している。

※営業時間、期間についてはやなによって違うので、お出かけ前には必ずご確認を!


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