折々のお料理
飽くなき食欲が生んだ料理や食の研究 |
おにぎりの塩加減を考える
おにぎりを握るのは難しい。
ラップに包むまでは三角でした。
固く握りすぎれば高密度でガッツリ満足握りになるが、ほろりと崩れる柔らかな食感とは程遠い。
かといって握るのが弱すぎれば、持っただけで崩れてしまう。
某オーケストラで本番前に出されたおにぎり。
おにぎりを売りにしているお店、いわゆる地元の専門店のおにぎり。
メシ付きの仕事だとギャラが多いよりもちょっとうれしい。
さすがに固すぎず柔らかすぎず、具の量も塩加減も絶妙である。
おにぎりは誰もが知っている食べ物だけに、御飯の炊き加減、塩加減、握り加減と非常に高度な技が要求される。
誰でも一度はチャレンジしたことがあり、思うように出来ないことも知っている。
そしてその作り方一つで美味い不味いの差が凄く出てしまう。
大げさだが寿司並のスキルが必要なのかもしれないぞこれは。
という難しい話はさておき、おにぎりの失敗というもののひとつに、塩加減がやたら濃すぎたというエピソードがある。
アニメ作品の中でよくあるのが、料理が苦手なのにある人のためにおにぎりを作った、しかしそれは塩加減が滅茶苦茶で塩辛くて食べられない。
いかにも、不器用だが一生懸命な愛情表現としては「萌え」にあたるところのようだ。
しかし「塩辛くて食べられないほどのおにぎり」とはいかがなものか?
実は大汗かきのしぶーの、過去に山登りやハイキングの行楽に持っていったおにぎり、多分塩分を欲するだろうと予測して相当塩辛いものを作っていった記憶がある。
作っている最中に御飯粒をつまんでみるとこりゃ塩辛い、ちょっと塩入れすぎたかな?とすら思えた。
しかし山頂について汗をぬぐいながら食すると何故か物足りない。
もっと濃くてもよかったのでは?と思えることが数多く・・・。
そう、おにぎりは何故か食べる頃には塩分が減っているのだ!!
んなあほな。
冷めて温度が低くなると塩分を感じにくくなる。
塩は表面にまぶすとか御飯と混ぜておくとか色々試した。
こんなに混ぜて大丈夫なのか?というほど塩を振ったこともあった。
混ぜ御飯おにぎりを作っているときの直感で、市販のふりかけの倍くらいの濃さのものでも、現地で食してみるとそうでもなかったこともある。
茶碗に盛られた状態ではかなり塩辛くて大丈夫か?というほどのものでも平気だった。
つまり食べられないほどの塩辛いおにぎりは、塩を「殺す気か」というほどぶち込まなければならないのだ。
いくらなんでも、御飯に入れていい量くらい直感でわかるだろう。
一体どんだけぶち込んだんだ、大室○子!、逢○大河!
ほいよ、おかか好き? 感謝しなさいよ。
売られている食品には色々と表示される義務があって、含まれるナトリウムの量が表示されている。
減量をしているしぶーのにとってカロリーには気をつけていたが、そうか塩分にも気をつけるべきなのか。
高血圧などの人は常に気をつけているのだろう。
実際にはナトリウムにはうまみ調味料(グルタミン酸ナトリウム)なども含まれるため食塩がすべてではないが、大体の目安になる。
ナトリウムの量を表示されてもいまいちピンと来ない。
そこで調べてみるとこのような計算式がある。
ナトリウムの計算式
ナトリウム量(mg)×2.54÷1000=食塩の量(g)
例えばナトリウム100mgであれば、0.254gの食塩相当量ということになる。
メーカーウェブサイトなどを見て、色々なものの塩分を調べてみました。
永谷園お茶漬けのり 一食分あたり・・・・・ナトリウム858mg 食塩相当量2.2g
即席味噌汁ひるげ 赤だし(しぶーのの好み) ナトリウム724m・・・・食塩1.8g
サッポロ一番しょうゆ味・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・食塩5.6g
カップヌードル 一食あたり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・食塩4.8g
インスタントラーメンにはおよそ小さじ1杯分(5g)の食塩が使われている。
なかなかの濃さである。
塩を小さじ1杯出されて全部舐めろといわれたらたぶん最初の1舐めか2舐め目でダウンする。
でもラーメンという調味された状態では食べれちゃうんだから不思議なものだ。
だからこそ塩分摂りすぎには気をつけなければならないのか。
日本高血圧学会が勧める「1日6g未満」を目標になのだそうな。
(世界的にも日本食は塩分がきついと言われている。)
さて、コンビニで売られているおにぎりの塩分を見てみようか。
塩おむすび
おにぎりと塩分の関係を調べている中で何ともピンポイントの商品があるではないか。
熱量155Kcal 蛋白質2.6g 脂質0.8g 炭水化物34.4g Na420mg 塩にぎり 420mg 塩分およそ1g
塩とのたまうには相当自信があるに違いない。
これを買う人は確実に塩に飢えている。
期待を裏切らないでくれよ。
なるほど、具は本当に塩だけだ。
しかし何ともいえぬ絶妙な塩加減。
ともすれば具のないおにぎり(しかも海苔もない)など誰が買うのだ?とも思われる疑問に打ち勝つにはこのバランスしかない、というほど微妙。
なかなか美味ではないか。
妙に普段食するおにぎりよりもしっかり味わってしまったり。
赤飯
熱量214Kcal 蛋白質4.5g 脂質1.8g 炭水化物44.9g Na365mg 食塩0.9g
赤飯は意外とカロリーが高い。
豆の成せる業なのか、脂質も多いのはゴマの力もあると思う。
ふむ、もちもちとして美味。
小豆やゴマの香りもあって、そんなに塩がきついという印象派なかった。
むしろ薄味?とさえ思える。
食塩の量をグラムで言われてもなかなかピンとこない。
小さじ1杯が5g。
塩を指でひとつまみ=約0.3gといわれている。
さらに親指・人さし指・中指の3本の指先でつまんだ量が小さじ1/5ということらしい。
ただ、サイトによってはさまざまであり、サラサラな塩なのか多少湿っている粗塩なのか、指の太さなどあるので一概に言えず。
まあ多少目安にはなるか。
焼きおにぎり
熱量181Kcal 蛋白質3.3g 脂質0.9g 炭水化物39.9g Na750mg 食塩1.9g
結構ナトリウムが多い。
味は濃いと感じたがそんなに塩辛さが目立つものではなかった。
しょうゆとだしの香ばしさとみりんの甘さによって薄らいだのだろうか?
塩分摂りすぎに注意の時にはこのマジックに気をつけねば。
和風ツナマヨ 混ぜご込みツナご飯
熱量207Kcal 蛋白質5.7g 脂質3.7g 炭水化物37.8g Na640mg 食塩1.62g
炎天下、岐阜県の山間の小さな町で昼本番を終えた後、帰りのコンビニで買いました。
いかにも茶色い、味が濃そうな一品。
うおおおおっ!
これは美味い。
大汗かきのしぶーのにとってこの塩辛さは最高だ!
この炎天下にこのビジュアルのおにぎりを選ぶということは、きっと塩分を欲している人に違いない。
そこで中途半端な塩分だと、きっと多分物足りない味付けになってしまうだろう。
もしかするとこの商品、これ以上塩辛いと食べられない、というぎりぎりのところを狙ったものではないだろうか?
ご飯全体に行き渡った塩分と、所々追い討ちをかけるように全体に散らばった具材による塩分。
少ない数でがっつりと満足感が得られるような味付け、その満足感は「美味」と克明に記憶される。
塩分には中毒性がある。
「やめられない止まらない」というキャッチフレーズで有名なあのスナック菓子の塩分相当量は一袋90gあたり食塩2.1g。
某有名メーカーのポテトチップ「うすしお」 85gあたり食塩0.9g。
スナック菓子は塩辛さと物足りなさの絶妙なバランスを突いてきていると思う。
甘さに関しても微妙な物足りなさが招く悲劇もある。→恐怖のシュークリーム
コンビニのおにぎり相当の食塩の濃さを再現したらどうなのだろう?
しぶーの好みだったツナマヨレベルの塩分を再現してみようか。
そういえばコンビニのおにぎりには重量表示がない。
サークルKのおにぎり 実測値 115gたっだ。
(鶏五目しかなかったのでしょうがない、多分同じだろう。)
ちなみにこの鶏五目、 熱量178Kcal 蛋白質5.6g 脂質1.9g 炭水化物34.5g Na570mg 食塩1.4g
味付けはおなじみあのお茶漬け海苔。
先ほどのツナマヨ混ぜご飯(食塩1.62g)も重量115gだとすると、同じ濃さの塩分にするにはご飯の量をどの位すればよいのか?
115g中1.62g=X中2.2g ということで 115÷1.62=70.9 70.9×2.2≒156g
ということは156gのご飯にたいしてこのお茶漬け海苔一袋の塩分ということになる。
(正確には濃度というのは最終的な合計質量から計算しなければいけないが、ここは無視しよう。)
何とも妙なビジュアル。
妙にポロポロとして握りにくい。
まあそれ用ではないからな。
なんとか形にしてみました。
(二つに分けてみました。)
では早速ご賞味してみましょうか。
うん、うん、なるほど、作ってすぐの温かい状態ではかなり塩がきつい。
しかし「食べられなくもない」ほどの塩辛さ。
でもこの塩辛さ、もし最初からおにぎりを作るとした場合に、決して到達しないレベルの塩分だと思う。
ここまで塩を入れるにはかなり勇気がいる。
そう考えるとそこまでチャレンジしたあの人たちには一目置くべきなのか・・・。
そういえば塩が濃すぎたおにぎりは持ち帰ってお茶漬けにしていたな。
というわけで都合がいい、このままお湯をかけてみよう。
茶漬けにしたら意外と薄味になってしまった。
これではちょっと物足りない。
きっと作るときに混ぜていた皿や握った手について塩分のロスが出たのだろう。
茶漬けの塩分濃度はこれはこれでよく考えられているようだ。
(2015.8.4)