看板の電話コレクション 2
昔の電話は黒かった。
今や携帯電話が主流で公衆電話ですら少なくなった現代、ダイヤル式の黒電話本体はすっかり見かけなくなってしまった。
そんな中、未だに街中の看板では電話番号を表す記号として古風なダイヤル式の電話が描かれている。
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その後いろいろな看板を見て回ったところ、おおよそこの二種類が二大勢力といっても過言ではない。
(この地方だけかも知れないが)
左は全体的に丸みを帯びて立体的なデザイン、ボディ下部の微妙なふくらみがおしゃれなデザイン電話を思わせる。
右は平面的で角ばったデザイン、電話機というものをより記号化されたとも言える。
どちらもダイヤル式の昔の電話機を模したデザインとなっている。
これらの絵は看板に適した数字のフォントと一致するはず。
見やすい文字と合わせて一目で電話と判る記号なのだろう。
電話機というのは看板では平面的に見えるが、実際には前後に立体的だったはず。
真上から見ると(受話器を除く本体は)正方形、もしくは前後のほうが長かった記憶がある。
平面的なものの、ダイヤル部分を四角くしただけではあるがプッシュ式の電話機を表している。
それに続く数字のフォントは既出のものともちょっと違う。
丸ければダイヤル、さすがにこの四角は回す気にはなれないのでプッシュ式とわかる。
まだ電話機本体はそのままでプッシュ式に進化を始めた時代、懐かしさを感じさせる記号だ。
よく見るとなんとアクティブなマーク!
単純に受話器をずらしただけかもしれないが、それによりけたたましく鳴っている様子が目に浮かぶようである。
電話機が生きている、アニメーションの一部を切り取ったような秀作である。
(偶然デザインがズレただけだったりして)
かと思えば立体的なマークが何者かのイタズラや事故によってズレてしまったり外れてしまったりしたものもある。
こういう立体的なものってもぎたくなりますよね?
(やめい!)
立体型は田舎のバス停とかにもよくあるね。
フォントに合わせてか、妙に鋭い受話器もある。
耳に当てる時には注意が必要と心配になるようなほど鋭い。
時代はやはりプッシュ式の電話機である。
とはいえ昔ながらボディの電話機がプッシュになっただけではないか。
ボタンまでしっかり再現された図案であるが、ボタン数は正しくは12である。
うむこの形、いまやこの形が主流ともいえる。
カールコードは省略されたのか、はたまたコードレスなのか?
いや、コードレスならばボタンは子機についているはずである。
この2つ、ただ斜め加工しただけかと思えば、ボタンの形が微妙に違っている。
どうでもいいほどの違いだが・・・。
ああ、こんな電話機ありましたねえ・・・。
今でこそ個性的なものや斬新なデザインの電話機も珍しくないが、昔出たての頃は友人宅で電話を借りた時に使い方が判らずに戸惑ったものだ。
手書きの看板には活字とは違った味わいがある。
妙に直線的な電話機。
もし立体で再現するとしたらどんな風になるのか迷ってしまいそうなデザイン。
丸みを帯びたデザイン。
受話器を乗せる部分がお釜のふたのようでかわいい。
電話機がでかいのか、ダイヤルが小さいのか。
電話機の中では最重要なダイヤルだが、デザイン化するにあたって大きさ比率がどこかへ行ってしまった気がする。
サントリー○ールド(通称ダルマ)を彷彿させる。
犬の顔にも見えてきた。
とある鉄道の通信機の箱に貼り付けられた電話マーク。
電話機は通信全般の象徴でもある。
灯篭かというほどのとろけ具合。
そもそも電話がどんなものかを忘れさせるほどのインパクトである。
日ごろ何気なく看板を見ていると違和感がないが、冷静に考えるとおかしなデザインもある。
よくあるのがダイヤル部分の透明化。
その部分は本当は向こう側が見えてはいけないような気がするが・・・。
これによりますます平面的なデザインとなってゆく。
地中に埋まった電話機、凶悪なパワーショベル、言いたいことはよく判る。
不気味に擬人化された電話機の絶望的な表情は、見るものに恐怖を与えトラウマになるほどのインパクトがあるという有名な絵。
これはPOP?な看板。
淡いパステルカラーを基調にひよこが描かれているところを見るとレディスクリニックか?
ん?
電話が笑ってるーーーー!
笑顔で電話してこいということか。
んなわきゃーない。
電話番号は数桁の市外局番+番号というのがデフォであり、固定電話で同じく域内ならば市外局番なしでもかけることが出来る。
セト!?
瀬戸市の市外局番は「0561」。
看板のスペースを稼いでいるのか?
看板主はご近所の営業が主流の商売かもしれない。
これは受話器のみ。
よく見かけるエレベータの中のボタン。
緊急時に管理センターと会話できるというボタンなのだが、当然受話器はない。
「受話器=会話するもの」のわかりやすさと、ボタンが立体になっているので万一の暗闇や目の不自由な方が手探りでも確認できる配慮なのかもしれない。
そしてやはりフリーコールも忘れてはならない。
0120番をカールコードになぞらえた秀逸な?デザインである。
そもそもFreeDialと横文字で書かれても一瞬読めない。
「フリーダイヤル」と読めれば言葉としてよく聞く言葉なのですぐ判る。
とはいえ今はダイヤル式のほうが少ないだろうに。
そしてこちらは受話器を模したものなのか?横文字も「ダイヤル」ではなく現代の形式に合わせたFreeCall(フリーコール)。
FCの頭文字を図案化したデザインは、「おーい、電話ー!」受話器を持って叫ぶ家族の姿は古きよき姿でもある。
こんな時は受話器を押さえないとこちらの音声が相手にまる聞こえなのですが。
今や常識となった携帯電話。
そしてその携帯電話ですら折りたたみ式など形が刻々と変化している。
そしてついにはスマートフォン。
しかしIT世界の時代の流れは速く、この形も5年後に通用するのか疑問でもある。
ああ、公衆電話ですね。
しかしその公衆電話ですら受話器が横についていたタイプ、テレホンカードが主流だった時代のシルエット。
電話を終えると受話器をガチャン、カードが「ピピー、ピピー」といっていた時代。
しかもそんなに昔のことではない。
具象化された記号として看板に描かれているということは、もちろん電話機として判りやすいので使用されているのは言うまでもない。
しかし実際のダイヤル式じーころ電話を知らない世代が増えている中、あとどれくらいこの記号が現役でいられるのだろうか?