折々のお料理
飽くなき食欲が生んだ料理や食の研究 |
パンチンすると美味
パンは美味だ。
さすが、世界中の飢えを満たしている食品だけのことはある。
そして焼きたてのパンがどんなに美味なのか、もはや説明の必要もないだろう。
残念ながら日常その辺のお店で売られているのは、工場で焼かれて包装された状態でお店に届き並べられたもの。
つまり焼いてからかなり時間がたってしまっている。
そんなわけで冷たくなってしまったパンをレンジでチンして(温めて)食するのを推奨していることもある。
温めてもおいしい!
(本当は大きな声で言いたいんだろうな。)
暖かいパンが食べられる、これだけでもありがたい話であり、冷えた状態に比べると味も香りもワンランクアップする。
しかしそれは本来の姿に戻るとでも言おうか、パンはかわいそうなことにマイナススタートな食べ物なのだ。
コンビニでは親切丁寧に暖めてくれる。
暖めてもらえる装置は電子レンジ。
袋の内側に着く水滴。
この電子レンジで加熱した時、水分が気になる。
(水分を温めるという電子レンジの仕組みの宿命。)
暖かで香りもいいが、焼いた時の香ばしさが減ってしまっている。
そこで大活躍するのがオーブントースター(名古屋仕様)。
年賀状の撮影に使用した蛙と蛇がいる。
もし買ってきたパンを自宅でそのまま食しているのなら、ぜひオーブンに放り込んでチンして欲しい。
しないと人生損している、と言うのは言いすぎだが、ほんの一手間で確実に美味になること請け合い!
ベーコンエピ
しぶーのの好物、フランスパンとベーコンの共演、麦の穂を模している。
一口づつちぎって食べやすい。
フランスパン系をそのまま齧るのはかなりきついものがある。
バゲットサンドにしても軽くチンすると香ばしさやわらかさが復活する。
素晴らしく美味である!
声を大にして言おう。
中はふっくら、表面はパリパリ、卵も砂糖もバターも牛乳も使わない、小麦本来の味と香り。
フランスパンをチンすることはもはや常識ともいえる。
カレーパン
パンの中にカレーを詰め込んでパン粉をつけて油で揚げるというとんでもない発明によるクオリティの高い惣菜パン。
カレードーナツとも言う。
うんうん、これは美味だ。
書き損じの楽譜を使うなよ
表面がかりっとしていて、揚げたて感がよみがえる。
中のカレーが暖かくなるまで時間かかかるので、オーブンの温度は若干低めのほうが安心かもしれない。
温まったカレーはスパイシーな香りも引き立つのでぜひお勧めだ。
あんドーナッツ
同じ揚げパンならこのあんドーナッツも忘れてはならない。
ただし表面に砂糖がまぶっていないやつ。
んも?
確かに暖かくなるのだが、劇的に美味になるかといえば微妙なところである。
冷えていても美味であり、頭の中でお菓子という位置づけなのかもしれない。
ピッツァ系はもはや言うまでもない。
オーブンこそが本来のおうちである。
ただ一度溶けたナチュラルチーズは再加熱では溶けないので、まったく出来立ての食感というわけにはいかない。
白身魚フライバーガー(タルタルソース)
もはや○○バーガーという言葉にプライドはないのか?→過去記事「ハンバーガー」
このパンは標高が高いので分解して過熱しました。
なるほど、まあ美味にはなる。
パンがふんわりしている。
しかし、あのコンビニで暖めてもらったときのような水分でクシャクシャとなった感覚がないので妙に寂しさを感じる。
あれはあれで風物詩なのかもしれない。
このようにラップでくるまれた惣菜パン。
コロッケパン焼きそばパンとならんで青少年の絶大な支持を得ている。
炭水化物に炭水化物という無茶な組み合わせだが、成長期に欠くことができない栄養源。
これらも電子レンジ向きともいえる。
空腹のこのご時世、オーブンなんかで手間と時間をかけていられるかい!
コンビニで暖められた柔らかいクシャクシャの状態かもしくは冷たいままかぶりつく、そんな青春の思い出が美味にさせている。
話をオーブンに戻そう。
パイ系、デニッシュ系は必ず加熱して欲しいと思う。
これはもう絶品である。
バターなど落とせばお店で出てきてもおかしくないほどのクオリティになる。
表面はパリパリ、中はしっとり・・・と、どこかで聞いたような食感が見事によみがえる。
ただしパリパリになった分だけ食べるときに崩れやすく、手で持つよりも皿に盛ったほうが安全だ。
美味くなったと喜んでいるが、これがパン本来が持っていた実力なのだ。
お店に並んだパンは、多少なりとも手加減してくれているといってもいい。
もし出来立ての状態のクオリティのまま販売されていたら、世の人々の胃袋が大変なことになるだろう。
オーブンで暖めると多少の差はあれ、ほとんどのパンは美味になると言ってもいい。
パンが暖かい、というだけで美味い。
しかしオーブントースターで暖めるときには、ものすごく気をつけなければならないことがある。
それは・・・。
焦がしてしまった。
ガーン!
確実に美味になると信じていただけに、その期待と絶望との相転移は半端ではない。
このように盛り上がったパンは上の電熱器まで距離が近くなってしまうのでその危険が高い。
もともとオーブンで焼いたものだしちょっとの焦げくらい、取り除いて食べればいいのでは?
しかし部分的に焦がしてしまったパンは強烈な苦味を発し、その香りはパン全体にまで及んでしまう。
つまりせっかくのパン全体が台無しになってしまうこともある。
焦げようがどうしようが結局食べるのだが、焦がしてしまったパンは確実に不美味なってしまい本来の味が発揮されることなく生涯を終える。
せっかくおんちくいただくところを、これではなんともなんとも浮かばれない。
オーブントースターの温度設定やワット数にもよるが、実際にやってみると結構すぐに焦げ目が付く。
そして焦げ目の着くギリギリがもっとも美味なポイントなのだ。
高さの違うパンの同時加熱は特に難しい。
けっしてタイマーに頼ることなく、ほんの1、2分だが片時もオーブンから目をそらしてはならないのだ。
そのひと手間で、確実に美味なパンライフが保証されるのだ。
とは言うものの、あのへろっとして噛み切れないフランスパンをじっくり口の中で噛む感覚、ぽろぽろと崩れるバンズ生地、かすかに香るバターの香り。
冷たくなったパンもまた美味だったりする。
(2016.4.3)