趣味の木工

趣味と実益を兼ねた木工作業の数々

どこでもウクレレ計画

ミニウクレレを作る!

VOL.2


ウクレレは小さな楽器なので手軽に持って行けて、いつでもどこでも楽しめる楽器。
家の中でも手の届くところに置いてあれば、いつでも気が向いたら弾くことが出来る。


しかしもっともっと小さくできたらさらに携帯に便利になるはずだ。
小さなうウクレレならばカバンの中に放り込んでおいて、いつでもどこでも気軽に演奏することができる。


実はそんなコンセプトからしぶーのは「どこでもウクレレ君1号」の開発をすでにしている。


初号機

小さくする方法として考えたのがスケール(弦長)を短くすること。
そしてさらに小さくする為に分解してたためる方式にして携帯性を高めた。

しかしこれには実際に作ってみて色々と問題があった。
まず組み立て式になると、分解した状態から組み立てて弦を張ると調弦が安定して演奏可能になるまでにかなりの時間を要する。
そしてスケールを短くすると、どうしてもいつもの楽器との違和感が否めない。


というわけで、スケールはいつもの楽器と同じソプラノサイズ、その長さは保ちつつもボディはできるだけ小さくする。


そうどうせ小さくするのなら、ボディなどなくしてしまえばいい


これは人様にお聞かせする演奏ではなく自分の為の練習用なのだ。


だから音量を稼ぐ必要など・・・ない!


弦が張ってあって演奏可能ならばできるだけ小さいほうがいい。
駅のホームだろうが新幹線の中ろうが道端のベンチだろうが、いつでもどこでもカバンから取り出してすぐに演奏ができる。

これこそコンパクトウクレレの最終形、アルティメットウクレレと言える。



というわけで、

世界最小のウクレレ(当社比)の製作に挑みます!

名付けて、

「どこでもウクレレ君2号」
製作プロジェクト!

世界最小の「ウクレレ」といえるのだろうか・・・?



と、大層な名分だが、簡単に言えば棒に弦を張っただけというきわめてシンプルなものを作ります。

今回もメインフレームとなる棒の部分の材木は、東急ハ○ズで売られていたブナの木材を使用。

このブナ材、厚さ5mm、長さが20cmしかありません。
しかるべきところで仕入れれば楓(メイプル)やマホガニーなど入手できますが、今回もできるだけ手に入りやすいその辺の材木というコンセプトでいきます。


長さがなければ継げばいいじゃない。

何と前向きな考え方!

ネックという細長い形にするに当たって、幾本もの短い材料をつなぎ合わせました。

例によって今回も継ぎはぎのボディだが、一本の長い木材よりも貼り合わせのほうが丈夫で狂いが少ないという無茶苦茶な日本刀理論で製作しました。



さて木工といえばのこぎり作業、しかし夜中にじゃこじゃこはさすがに近所迷惑だ。
こんな時に楽器部屋、この中ならば防音なので心行くまでちょちょ切れる。


マキタ、ツインバードと共に




ネックは中心になる細長い台形の木の両サイドにさらに長い木を接着して形成しました。

 

簡単に言うとアルファベットの「A」のような形。
これならば中心のパーツの精度さえしっかり出せば外寸がきっちり決まる。

しぶーのの工作の設計はできるだけ工程が簡単で、精度を出しやすいようにします。

例によって、今回もとある管楽器リペア工房を間借りして作業します。
大きなバイスがあるのでカンナがけが楽々です。



中心パーツの両サイドの平面が隙間なく出せたので接着する準備です。



先のことを考えてこの段階で糸巻きの穴を穿っておきます。


すべて手作業。すぐに止まらない電動工具は苦手なしぶーの。



テープで止めて仮組み立て、糸巻きが無事に装着できるか試してみました。

なんとこれではボディの幅が狭くて糸巻きが入りません。


でも大丈夫!


それも想定内デース!


ブッシングを外した状態であらかじめ軸に通しておけば、大きな糸巻き穴になるので斜めに入る余地ができます。




いよいよ接着して、ネックを形成してゆきます。
このネックの形はミュージシャンの好みが分かれるところだが、しぶーのはネックを握らないスタイルなので厚ささえあれば特にVだろうがUだろうがこだわりはない。



ブリッジの部分は指板に使ったパドックよりも堅い木を使うことにしました。
中西ウクレレ工房から捨てる予定だったハギレ材をいただいてきた「銘木ボックス」。
しぶーのの宝箱でもあります。




指板のフレットラインは今回も実際のウクレレから写し取りました。
このマー○ンの3Kは残念ながらしぶーの物ではありません。

マーチン社は最新のモデルを発売するにあたって伝統的な設計を大幅に見直した。
その結果和音の響きが見事に変わったモデルでもある。
長年主流だったナイロン弦ではなく、最近のフロロカーボンの弦に考慮したのかもしれない。



前回はあらかじめ幅をウクレレに合わせた状態でフレットラインを切りましたが、よく考えたら長方形の時に切っておくほうが簡単正確にできると気づいた。

マジでこの時に気付いた。(直角に線を引けば必ず並行になるからね。)

フレットの溝をのこぎりで切り、指板を張り合わせ、カンナで幅を調節したところ。



弦はヘッド側で止めることにしました。
ネックはちょん切った不恰好なものだが、ヘッドの長さも侮れない。
全体を短くする為にはチューニングはボディ側で行うようにしました。


(完成した図)

このネックの切り口に穴を穿つにはきっちりと固定する必要がある。
自宅にはあの大きなバイス(万力)がない。
というわけで椅子の背もたれに固定です。






ボディの長さはほぼ弦長いっぱいなので、ブリッジ側で折り返す形にしました。

ここには大きな力がかかるのでアルミのパイプで滑りを良くします。



弦を張って仮組み立てをします。

構想設計通りになるのか緊張の一瞬。


うむ、計画通り、心配していた弦の収まりもうまくいきました。


通常の糸巻きの位置と異なるので調弦が難しくなると思われたが、楽器のヘッドを下に持って指板と対面した状態だと意外と合わせやすかった。


奥に回せば音が上がるので違和感がない。



今回は上駒も下駒も弦幅の溝を切って弦を落とすことにしました。
特に下駒(サドル)側は小型ゆえに演奏時に手が触れる恐れがあり、溝の中に弦が沈んでいれば僅かながらブリッジミュートは回避できる。

 

しぶーのの自分楽器はすべて自分でカスタマイズするが、弦幅の溝を勘だけで切る。
例えば正確に等間隔に溝を刻んでも、弦の太さによって変わってくるので、実際に弦を張ってみて手で触った感覚だけが頼りな世界だ。



仮組み立てをして演奏してみました。

楽器の機能的には計画通りで申し分ないないのだが、このボディのまったくない状態のウクレレは右手の脇で楽器を支える部分もまったくない。

これだと演奏時に楽器が前方に倒れてしまうのだ。



というわけで折りたたみ延長フレームをつけてみました。

 

折りたたみできる仕組みのフレームです。
ボルト位置がフレームの中心でなくやや下よりなのが悔やまれますが、その反面収納時には違和感なく収まりました。
(設計段階ではボルト位置は中心だったが、その後フレームの厚みを足して増した。)




これで機能としては完成形です。

携帯性を考えて、あらゆる角を落として引っ掛かりを少なくしました。




さていよいよ仕上げに塗装です。

前回、仕上げラッカーの下に下地塗りをしたが、このブナという材木はほとんど導管の穴がない。
したがって穴埋めの下地処理がいらないので今回はそのままラッカーで仕上げることにしました。

とはいえ現在真夜中の2時
仕事家事の合間を縫って製作にいそしんでいるので(作業所が台所だもんだで)こんな時間になってしまいました。


こんな時間に外で「ぷしー」はさすがに不審者だ。
しかもこの冬空の下、氷点下では塗料もきれいに乾くまい。


再び台所に簡易塗装ブースをこしらえました。
(相変わらずこのおっさん無茶苦茶ですなあ)

冬の寒空の元、窓を全開換気扇フル稼働、塗膜も薄くできるだけ短時間で済ませました。



できました!

フレットねぇがや。


と、いうわけで、フレットを入手しなければ完成できない。

糸巻きやサドル材やブリッジ材は楽器店で普通に入手できる。
フレットのような専門パーツでも大きな楽器店で注文すれば普通に購入可能だ。

木材からバインディング材まであらゆるギター製作パーツの卸をやっているメーカもある。



ちょうどその頃、知り合いのウクレレビルダーが工房をリニューアルしたということを聞き、せっかくなので訪ねてみるのも面白い。

ちょうど大きな本番もひと段落して、気分的にも余裕ができた。
(そんな時に夜な夜な製作していたのか?)

そんなわけで自宅から車で15分ほどの場所でウクレレ製作を営む工房でフレット材を分けていただくことしようか。


ピュアティウクレレ工房探訪に続く


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